森博嗣さんの『集中力はいらない』を読みました。
森さんの本は『すべてが F になる』を読んだことがあります。タイトルから「何かが MAX になるんだろうな」と思いましたが(仕事柄)、そこからの展開がすごかったですね…。
この『集中力はいらない』は私の Kindle のおすすめによく上がってきていて、「いや、集中力いるだろ」と思っていたんですが、著者が森さんだと知ってからは俄然興味が出てきました。あんな精緻な小説を書くような人なのに、『集中力はいらない』とは…。昨今は、いかに集中力を養うか、いかに長い時間集中力を切らさないか、などの秘訣が語られた本が山のようにあるというのに。
私が良く読む著者の方でいうと、勝間和代さんは『集中力はいらない派』でしょうか。ご自身の YouTube でも『集中力神話を疑おう』『努力や集中はしないに越したことはない』『「集中力信仰」の幻想から自由になろう』 などの動画を出されています。動画の中で勝間さんが「森博嗣さんの『集中力はいらない』という本が好き」とおっしゃっていましたね…。これは聞き逃していました。私、森博嗣さんを「もり・ひろつぐさん」だと思っていたので…キャーハズカシー。
一方で、樺沢紫苑先生は『集中力は必要派』ですかね。最近『集中力がすべてを解決する』という本を出されていますし(まだ読めてない…)、ご自身の YouTube でも「集中して作業にあたる」とおっしゃっています。『神・時間術』『マンガでわかる 神・時間術』でも、集中力の使いこなし方、締切を設定することで集中力を高める、などのテクニックが書かれています。
中身を読んでみると、なるほどと納得することがたくさんありました。
『集中する』というのは映画『モダン・タイムス』のような工場で働く労働者に求められるスキルで、今現在ではそれはコンピュータが担ってくれています。経済的にも余裕ができた現在では、「アレも好きコレも好き」が許されるので、何か1つのことに集中しなくてもいい、という考え方です。まー、たしかにそうですね。ただ、『仕事に集中したい』みたいな悩みとは分野が違うような気もします。
そもそも人間は『集中』しちゃいけないんですよね。1つのことに集中しすぎると、他のことが疎かになって、命に関わるような事故に繋がりかねません。死なないためにも、人間は昔から集中しすぎない事が大事だったってことですかね。
集中しすぎているとその他のことについて考えられなくなるので、ある程度分散していたほうがアイディアが出やすいというのも、なるほどなと思いました。大体何か思いつくときって、ぼーっとしてるときですね…。で、それについてやんわりと長く考えていて、ふとしたときに解決策もぼーんと浮かんだりします。なるほどなー。『ペンギン・ハイウェイ』のお父さんもそんなこと言ってましたね。
私はどちらかといえば『集中力は必要派』、うちの夫は『集中力はいらない派』なんだと思います。
私は学生の時にハードルの選手だったので、10台のハードルを越えて100m を走り切るには集中しなければいけませんでした。1箇所でもとっ散らかるとコケますからね…。膝には無数の傷があります。合宿のときに400m ハードルの練習をさせられそうになったときは発狂しそうになりました。100m だってギリギリなのに400m は無理だろ…と。体力的にも、集中力的にも。
勉強するときも、できれば歌詞がなくて聞き慣れた曲をかけながらやりたいタイプ。要するに曲はあまり聞いてないんです。なので、ゲーム音楽とかクラシックとか好きなんですよねー。
一方で夫は YouTube をラジオ代わりにしながら仕事するタイプ。いつも「よく仕事できるな…」と思っていたんですが、彼にとってはそれがいいってことなんですね…。この本を読んで、ようやく腑に落ちたような気がします。
今は『多様性』が叫ばれている時代なので、自分が『集中力は必要派』なのか『集中力はいらない派』なのかがわかっていて、その性質をうまく活かせるようなスタイルを見つけて実行することが一番なんだなと思いました。どっちが偉いとか偉くないとかじゃなくて、まーぶっちゃけ、結果が出てればそれでいいというか。「この方法がイイ」というのを人に押し付けないでようにしなきゃな、というのも反省しました。
森さんの仕事のスタイルを知ることができて、とても面白かったです。1日1時間しか仕事をしないとのことなんですが、羨ましいですねー。まあ私も1日に2・3時間しか仕事しないんですけど、それは仕事がそこまでないのと、夫がコンスタントに働いて稼いでくれているからなので、ちょっと違うと言うか…ほんと、夫に感謝ですわ…。
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