有栖川有栖さんの『狩人の悪夢』を読みました。
有栖川さんの小説は『菩提樹荘の殺人』以来です。
火村英生シリーズ、作家アリスシリーズと呼ばれるシリーズの作品です。
今年に入ってから有栖川さんの小説を読み始めましたが、これが6冊目でした。すべて火村英生シリーズです。
この本は Wikipedia によると2017年に発売されていたようで、比較的最近の作品なんですね。…いや、今2024年だから『最近』と言うのはおかしいのかな…。でも、火村先生は1992年くらいから書かれていたみたいだし、『最近』でいいのかな…。
『サザエさん方式』なので、PC やスマホなど新しいデバイスがどんどん出てくる中で、それでも1990年代からずっと書かれているシリーズってすごいですね。
今回の話を読んで思ったのは、『他人からはわからない』ということでしたね…。
他の人から見て『理不尽』・『かわいそう』だと思うことも、本人からしてみたら『幸せ』で自分から進んでやっているのかもしれない。そういうのは言われないとわからないですね…。今回の事件の動機になった部分に深く絡んでいたので、なんだか考えさせられました。
本人しかわからないことは、今回の犠牲者しかり、その人が慮ったひとしかり、犯人然り。それぞれがそれぞれの思惑で動いていて、相手を思いやった行動だったり自分勝手な行動だったりしましたが、編に噛み合ってしまって悲劇につながってしまいました。
なんだろうなー…、「余計なことしなければこんなことにならなかったのに」とは、思ってしまいますけどねー…。
あとは、キーパーソンである渡瀬さんの生い立ち。なんだか、以前読んだ『犬を盗む』の松本くんのことを思い出しました。
大人のせいで犠牲になってしまう子供がいない世界になってほしいな、と思います。とても悲しいです。
謎解きの部分で、『音楽を大音量でかけていたからアリバイになった』的な部分がありました。犯人から「部屋にいないかもしれないじゃないか」という反証が出ましたが、様々な状況から論破されていました。ちょっと複雑で難しかった(笑)。
私、結構部屋の音楽かけたまま出かけちゃうことがあるんですよね…。「大した電気代でもないだろう」みたいな感じでそのままにしちゃうんですけど。帰ってきたときにシーンとしていないのが良かったり。このくせは直さないでおこうと思いました(笑)。
今回の話の最後で明るい話題が出ていますね。準レギュラーキャラ同士の結婚話です。
まだまだ探偵アリスシリーズを読み込んでいない私は「へー」くらいの感想だったんですが、やっぱり以前からの読者だったら「うわー、おめでとー!」という感じなんでしょうか?
金田一で言うと、明智さんあたりが誰かと結婚する、みたいな感じ? あ、でも明智さんは金田一くんを凌ぐくらいの人気キャラだからダメか…。じゃぁ、いつきさんあたりで。いろいろあったけど一応独身だし。
巻末に宮部みゆきさんの『解説』が載っていました。『読売新聞』とあったので、新聞の書評欄みたいなところに載ったものでしょうか? ぎゅっと短めの文章で的確に『解説』されているのが鮮やかだなーと、まさに「しびれ」ました。
Kindle Unlimited で読みました。
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