中山七里さんの『ラスプーチンの庭』を読みました。
中山さんの小説は『総理にされた男』以来です。
刑事犬養隼人シリーズの第6弾です。このブログを書くようになってからはまだ読んでなかったみたいですね。
犬養刑事自体は中山さんのいろんな小説に出ていますが、犬養刑事のシリーズ『医療事件』に特化した内容ですね。
今回の『ラスプーチンの庭』も、標準医療以外の方法である『民間医療』、更にそれが少し発展して『新興宗教』っぽい感じになっている団体との闘い、という感じでした。
終わりの解説に書いてあったんですが、この本が単行本として発売されたのが、安倍元首相銃撃事件より前の時点だったようで。あの事件で『新興宗教』の問題が取り上げられましたが、それよりも前に新興宗教(っぽい団体)への信者(患者)の肩入れみたいなものが物語として語られていたのがすごいですね。中山さんはさすが引き出しが多いです。
犬養さんは沙耶香ちゃんという娘さんがいるんですが、彼女は腎臓が悪いため人工透析をする必要があり、今は大学病院に入院してドナーを待っている状態です。今回の小説は、そんな彼女と同じ病院に入院していた男の子が治療途中で退院し、民間医療団体『ナチュラリー』で療養をしていたもの休止してしまった、というところから始まります。2人共まだ若く、ただでさえ長期入院という苦しい生活をしなければいけないのに、更に常に死と隣り合わせという状況で…。なんだか苦しいですね。
まぁ、刑事犬養シリーズは、だいたいこんな感じでどよーんとした読後感です。内容的に仕方ないんだけど。
『ナチュラリー』という、とっても胡散臭い医療団体。治療内容としては新興宗教に近いものでした。命を救う対価として高額な医療費を要求されるんですが、たまに、ごくたまに奇跡的に治ってしまう人も現れるもんだからたちが悪いです。
それにすがってしまう気持ち、とても良くわかります。夫の妹が10年近く前に亡くなっているんですが、あのときはみんな辛かったです。今思えば、期間としてはそんなに長くなかった闘病生活でしたが、最中は永遠に続くのではないか、と思うくらい長く感じました。良くなったり悪くなったり一進一退で、常に気が貼っている感じでした。それを、思い出しました。
また、その団体の教祖が胡散臭さの極みなんですが、その教祖に対して内偵をしていた人物がちょっとだけ小説には出てきました。七尾究一郎という人で、少しだけ犬養さんと電話で話をするだけの登場だったんですが、彼が出ていた『魔女は甦る』『ヒートアップ』、それに少しだけ関連していた『ワルツを踊ろう』も読んでいたので、なんだか嬉しかったです。中山さんの小説って結構こういうところがあるので、油断できないですよねー。お元気そうで何よりでした。
沙耶香ちゃんのお友達の死が発端となった事件でしたが、最終的には大きな社会現象となってしまいました。別の人物も他殺体で発見されますが、最後にあるその犯人の自供が不思議でした。バレて逮捕されることなく行けていたら、最終的にはどこに行くつもりだったんでしょうね…。結局お金を巻き上げ続けるんだったんですかね…。まぁ、その他殺体の人物も、生い立ちにはかなり同情しますが…。
犬養さんは、ドラマでは沢村一樹さん、映画では綾野剛さんが演じていました。私の中のイメージでは綾野剛さんが合うなぁ…。沢村さんは笑顔が素敵なので、犬養さんのイメージじゃない(笑)。いや、綾乃さんも笑顔は素敵ですが。
綾野剛さんの映画では、高千穂明日香が北川景子さんでした! 彼女、同じ中山七里さんの『ヒポクラテス』シリーズでも栂野真琴をやっていますよね。同じ顔になってしまいます(笑)! どっちも合うなー。
早く沙耶香ちゃんが元気になりますように。そうなったときが、シリーズの終わりになっちゃうのかな。
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