魔女の宅急便6 それぞれの旅立ち

読んだ本

角野栄子さんの『魔女の宅急便6 それぞれの旅立ち』を読みました。
先日の『魔女の宅急便5 魔法のとまり木』の続刊です。

いいですねー、最終巻っぽいタイトルですねー。
というわけで、いよいよ最終巻、でした。

ついに終わってしまいました。
とっても寂しいです。
でも、この最終巻は、『今』読めてよかったな、と本当に思っています。
仮に子供の頃に読んでいたとしても、あんまり深く刺さらなかったかもなぁ、と。
やっぱり自分も『子供の親』になって、親の子供に対する気持ちと、子供の親に対する気持ちの両方を理解するようになって、初めて染み込んでくるなぁ、と思いました。

この巻では、キキの子供である双子の姉弟ニニとトトが主人公になっています。
びっくりしたのが、弟のトトがケケと連絡を取っていたこと!

ケケは、3巻で出てきた女の子で、登場時にはキキの周りをさんざんかき乱しましたが…。
彼女も決して悪い人だったわけじゃなく、お互い仲直りというか理解し合って、ケケが旅立ったところで3巻が終わりました。
トトとケケはまだ会ったことはないものの、意外と仲良しみたいです。
まだこんな風に関わってくれるんだなーと、なんだか嬉しくなりました。
ケケは前の、何と言うか傍若無人な感じではなくなっていて、やっぱりそれなりに年を重ねた大人の女性になっているところも、なんだかじーんとしてしまいました。

トト本人は「魔女になりたい」(男の子だけど)と思ってるのに、性別なのか才能なのかはわからないですが、やっぱり彼は『魔女』にはなれないみたいで。
それが、とてもかわいそうでした。
本人が強く強く望んだとしても叶わない未来、まぁありますよね…。

一方のニニは、魔女になるかならないかでずっとモメモメしていました。
なるって決めたら決めたで、行動は早いんですけど飛び方が変で、みたいな。
なかなか騒がしい子ですね。
どちらかというとニニの方がケケに似ているというか。
そんなニニが、たった1人で一生懸命頑張って馬のお産を助けた話、結構ジーンとしてしまいました。

一番最後、ニニもトトも旅立つところで終わってしまって、2人ともいなくなってしまいました。
後のキキの気持ちを想像すると、とても悲しいですね。
『空の巣症候群』じゃないですけど、キキが塞いでしまわないかちょっと心配です。
でもまぁ、優しいトンボさんもいるし、大丈夫なのかな。

何と言うか、すごく『しっかりとした世界観』というわけではないんですが、ふわっとしてるのに存在感がすごくて、不思議なお話でした。
私自身はジブリ映画から入って『魔女の宅急便』というものを知ったんですが、ジブリ映画と小説第1巻を比べても、「全然違う話だな」という印象でした。
何と言うか、パラレルワールドみたいな感じでしょうか。
まぁ、ジブリはやっぱ影響力が強すぎますね…。
私は少女漫画雑誌『りぼん』をずっーーーと読んでいました(多分小1から25歳くらいまで)。
なので、『耳をすませば』の連載もリアルタイムでずっと読んでて大好きだったんですけど、映画ができあがったら全然違う話になっていて、本当に驚きました。
あれはあれでおもしろいし好きなんですが(トートツなプロポーズとか)、『※ただし原作とは異なります』というキャプションがつきますよね…。
今回の魔女の宅急便も、そんなイメージでした。

キキも小説の方がもうちょっと大人しくて、内向的な部分も多いように感じました。
ジブリ映画のキキも、本当はナイーブのところがたくさんあるんですけど、普段外に発散しちゃっている分、あまりフォーカスされていない感じがしました。
どちらかというと、娘のニニの方に似てるのかもしれないな、と。
トンボさんに至っては、まったく別人ですよね…という感じです。
年齢も、小説だと1個上で大人感がありましたが、映画だと同い年っぽい感じでした。
何と言うか、わちゃわちゃしている友達の1人、本当に『恋愛未満』っていう感じでしたね。
小説のトンボさんは鈍感でちょっとズレた理系の男の子っていう感じで、結構好きなタイプでした(笑)。

発売の時系列としては、小説の第1巻が発売した後にジブリ映画が公開されて、その後に2巻以降が発売されたんですね。
なので、本当に『パラレルワールド』なんでしょうね。
宅急便のお仕事という観点もすごく良かったですし、「魔女が修行に出るっていうのが、この世界にはまだまだ魔女がいるんですよ、ということをみんなに教えるため」というその役割も、なんだか素敵ですね。
「世の中が便利になっても、まだ魔女がいるのですよ、まだ不思議はあるのですよと、知ってもらう大切な役目」というのもすごくいいですね…。

やっぱり、児童文学を読むと心が綺麗になるような気がします。
読んで本当に良かったです。
角野栄子さんの『魔法の文学館』にも、いつか行ってみたいですね~。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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