法月綸太郎さんの『雪密室』を読みました。
法月さんの小説は『法月綸太郎の新冒険』以来です。

名探偵・法月綸太郎の長編です。
いままで短編は3つ読んでいましたが、長編は初めてでした。


『法月綸太郎』の登場作としては、これが最初の作品だったらしいです。
『法月綸太郎初作品』だったのに、なぜか法月さん自身の出番はそんなに多くなかった印象です。
むしろ、法月パパが主人公っぽい動きをしていましたねー。
まぁ、後半はやっぱり法月さんが活躍していましたけどね。
今回のキモは、やはりタイトルにもなっている通り、『雪に閉ざされた離れの小屋で首吊り死体が発見され、山小屋までの道のりには先に到着していて玄関で鍵が開かないのを確認している人の足跡しかなかった』という、この状況です。
今の世の中であれば、この国民全員がスマホ持っているような時代、1億総カメラマンですから、こういう状況ではこのトリックはまぁ成立しにくいんだろうなという感じではあります。
そもそも、『単独犯』だと考えてしまうと早々に行き詰まってしまう、というところがミソだなと思いました。
共犯が2人なのはたまにありますが、3人というのはなかなかなぁ。
と言っても、3人目はほとんど何もしていない状態ではありましたが。
よく見ると、玄関から離れまでは20m ほどしか離れていないとことで、だったらなるほど解き明かされたトリックが使えるんだろうな、とは思いました。
けど、1個しかないその足跡っていうのが、中にいるはずの人を案じて走ってその小屋に行ったときのものと考えられるんですが、『走った足跡』と推理で明かされたようにして付けた足跡っていうのは、付き方にすごく違いが出るんじゃないかな、とは思います。
それも、カメラでちゃんと撮っておけなかったのが、残念な結果に繋がってしまったんだろうなー。
あとは、まぁいろんなところからいろんな圧力がかけられて、『他殺説』に持っていけなかったというのはあるんでしょうね。
『種』を聞いてしまえば、「なるほど」とあっけなく思う感じではあります。
金田一少年の事件簿の『雷祭殺人事件』の足跡のトリックにも通じるものがあるなと思いました。

そして、ここの山荘に集められた人たちが不気味な共通点だったのは、本当気持ち悪いなという感じですね。
殺されてしまった真棹という女性、そもそも名前もびっくりしたんだけど(男性かと思った…)、いろいろやらかしすぎですね。
「すげぇ女だな」という印象でした。
まぁ、そもそも警察にも目をつけられていたみたいですし、こうなってしまって正直胸を撫で下ろしている人がたくさんいるんだろうな、と思いました。
まともな死に方はできないと、本人も感じていた…んでしょうか…?
最後に犯人が手紙で真相を告白をするんですが、「(自分の愛する女性が)他の男に体を貪られるのをこの目で見たくてたまらなかった。こういう思考を世人は何と呼ぶのだろう」と書いてありました。
私知ってるよ、それ『NTR』っていうやつじゃないの!?
なんだか、結局法月さんの出生の秘密的なものは大丈夫なのか、心配してしまうんですけど…。
まー、パパが法月さんと仲良しなのは、救われる気がしますね。
そして、母のまたいとこ。
こいつはーーーーー…どうか、どうか地獄に落ちますように!!!
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