大門剛明さんの『雪冤』を読みました。
大門さんの小説は『確信犯』以来です。
前回の『確信犯』を読んだとき、後ろについている解説に「是非とも『雪冤』も読んで欲しい」を書いてあったので、「じゃあ読むか」ということで読みました。意外とひねくれてそうで素直なんです、私。
読んだ結果、すごくおもしろくて。読んで良かったなと思いました。
正直、序盤に読んだときに「こういう真相なんじゃないか」とちょっと思ったとおりの真相だったんですが、本当に単なる勘だったのでノーカンということで(勘だけに、えへ)。
それよりも、あそこにいたる過程とか紆余曲折がものすごくドラマチックで、ついついのめり込んでしまいました。
しかし、主人公である八木沼さんの息子である慎一くん、ものすごい信念を待っていたんですね…。京大の法学部の学生だったから、本来であればこんなことで命を落とさずに、弁護士なり検事なりになってたくさんの人を救ってもらいたかったですが…。もったいないですね。
亡くなった恵美さんについては…潔癖すぎたところが仇となってしまった、という感じでしょうか。子供の頃の過ちは、とても痛ましい事故になってしまったし、忘れてはいけないことだとは思いますが、それとこれとは別に考えて欲しかったな、と。今回のことは正当防衛だったと主張して、正々堂々としていて欲しかったです。妹も大切な人もいるんだから、その人たちのためにもなんとかならなかったのかな…。
自分が亡くなったあとにまさかこんな展開になるなんてわかっていたら、絶対しなかったと思いますが…。
しかし、ものすごくたくさんミスリードしてきますね! 先1回1回実に騙されました。先ほど直感で真相を当てたと書きましたが、その後は毎回「やっぱりこいつが真犯人!?」と、毎回思ってましたからね。ブンブンに振り回されました。まさに怒涛の展開です。
題材となった『走れメロス』は、先日森見登美彦さんの『新釈』を読んだので、良かったような悪かったような…。
こちらは『新釈』ではないので、パンツとかは出てこないです、もちろん。
確かに、セリヌンティウスじゃないところに驚きました。そういう意味だったんですね…。最後の最後に出てきた『走れメロス』その配役で見たかったですね。
今回のキーになっていた「スンダビ」こと『Soon-ah will be done』ですが、検索して聞いてみても知らない曲でした。でも、最初と最後で描かれるように、ガラッと印象の変わるおもしろい曲ですね。これを青空の下で聞いたり歌ったりするのは気分がいいでしょうね。
八木沼さんや石和さん、菜摘さんが今後どうするのかが気になりますが、皆さん穏やかに暮らしていけるよう願います。
Kindle Unlimited で読みました。
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