英国庭園の謎

読んだ本

有栖川有栖さんの『英国庭園の謎』を読みました。
先日の『ブラジル蝶の謎』と同じ『<国名シリーズ>』です。

今回も短編集でした。
短編集も好きなんですけどね、やっぱりどっぷり長編に浸りたいなぁ、と思ってしまいます。

1つ目は『雨天決行』。
『タイトル』の由来がおもしろいのと、事件の中身が切ないのでなんだか複雑な気持ちになります。
たしかに、火村先生の洞察力はシャーロック・ホームズみたいだなと思いました。
情熱的で勝ち気な彼女にグイグイ来られたら、タジタジしてしまう人は多いかも知れないな、とは思います。
そういう意味では、犯人にはちょっと同情しますけど。
でも、殺すことはないよな…。
そして、そういう物書きの人が日記やメモを残さないことは少ないんじゃないかな…と。
どこにネタが転がっているかわからないわけですし、いつ使えるかわからないですし。
なので、日記帳が見つかれば自動的に犯人もわかってしまった可能性はありますね。
火村先生のドンピシャの推理も、少しの時間短縮にしかならなかったかもしれないです。
それでも、まぁはやく捕まってよかったですね。
『雨天決行』、本当におもしろい偶然もあったもんですね。

2つ目は『竜胆紅一の疑惑』
また碑文谷!
今までですと、『ハサミ男』『犬を盗む』『名探偵のままでいて』『占星術殺人事件』なんかで出てきた地名です。

本当に文豪たちが愛する街なんでしょうねー。
そんな中で放火事件なんて起きたらかなり物騒ですし、いろいろ続いたら「狙われているのでは?」と思ってしまう持ちもわからないでもないです。
そんな中で、火村先生がアドバイスした『未発表の新作を出す』というのはかなり良さそうな案ですね。
真犯人の要望も満たすことができますし。
ただ残念かな、真犯人はそれをシャバで読めるかどうかはわからないですけどね…。
家族がゆえの気安さなのか、ちょっとした謙遜なような感じで竜胆さんをディスるところも散見されました。
それは家族の愛ある言葉なんでしょうから、精神状態がいけない状態で悪意にとってしまっていたのは悲しいことではありました。
やっぱり、『碑文谷』という土地柄か、そういう熱烈なファンもそれなりに住んでいるのかもしれないですね。
閑静な住宅街なんでしょうけど、実はちょっと怖い場所だったりするのかもしれないな、と思ってしまいました。

3つ目は『三つの日付』。
まぁ指紋もいっぱい出ているみたいですし、状況からも犯人の犯行はほぼ確実だったでしょうから、アリスさんの証言がなくてもいずれは逮捕できたかもしれないですけどね。
ただ、よくそんな細かい日付のことなんて覚えてたなぁと思いました。
ずる賢い人はずる賢いモンですねー。
あわよくば言い逃れようとしていたんでしょうけど、残念でしたね。
外国で買ったカレンダーだと祝日が違うのかーと、納得です。
私自身も、勤めてた頃とは違って今は自由業ですから、家族がいなかったら曜日感覚なくなるだろうなーという予感はあります。
途中で出てくる『亡くなった赤星楽さん』の話は、以前読んだ『海のある奈良に死す』のことですね。

4つ目は『完璧な遺書』。
ははは。
策士策に溺れる、という感じの話でした。
今の時代では常識になっている予測変換みたいな感じですかね。
この後の展開としては、車のトランクとかをあらためられて、毛髪や何がしの痕跡が見つけられて、お縄になる、という感じなんでしょうけどね。
ちょっと張り切りすぎちゃいましたかねー。
犯罪者目線で話を見るのも、やっぱりおもしろいですね。
『金田一少年の事件簿』でいうと『タロット山荘殺人事件』的な感じです。
しかし、「てんさい」で自分の名前、「らぶ」で永井さんとはなかなかおもしろいことを考える人たちもいるもんですねー。
「めるあど」で自分のメールアドレスくらいはやりますけど、日常的に使いそうな言葉をあてるのは怖いです。
ただまあ、『単語登録』とか『予測変換』というのは、つくづくすごい発明だなと思います。

5つ目は『ジャバウォッキー』。
不思議な話でした。
きっと、知的能力自体は高い人なんでしょうね。
一種の発達障害的な感じなのかもしれない、と思いました。
でも、こんな風になってしまってかわいそうだな、と。
うちの息子は発達グレー児なので、彼の将来がこうならないといいな、と思いながら読んでいました。
いろんなこと、おもしろいことをそうやって考えられるのに、その表現方法が…何というか残念です。
にしても、やっぱりそれをわかってしまうところが、火村先生はの本当にすごいところなんでしょうね。
私は何言ってんのか全然わかんなかったです。
こうやって読んでいると、やっぱり有栖川さんは電車が好きな人なんですねー。
とりあえず身柄を確保できて、事なきを終えたっぽい感じになったからよかったですけど。
やっぱり千円札で侵入してしまったところとか、大丈夫なのかな…ってすごくドキドキしちゃいます。
まぁ、警察にお知り合いがいっぱいいるから、なんとかなると思うんですけどね。
私は根が小心者なもので…。

最後は表題作『英国庭園の謎』。
せっかく素敵なお庭だったでしょうに、持ち主はすげーーー嫌なやつだった、っちゅうわけでした。
残念ですねー。
暗号は、聞いただけではまったくまったくわからなくて、火村先生の解説を聞いてようやく理解しました。
ただ…これ…むかーーし読んだ『幽遊白書』の単行本の、話と話の間にあった『おまけページ』的な部分で、アニメのオープニングテーマ『微笑みの爆弾』を用いたクイズで同じような形式のクイズがありましたね…。
「懐かしいなー」なんて思いながら読みましたけど。
実際、犯人が言った通り2人の間に『関係』があったかどうかは結局分からないですし、これから調べようにもできないですね。
ただ、犯人が言った通りそんな感じの不意打ちだったのだとしたら本当に卑怯ですし、「写真」とか言い出した時点で殺されなかったことを幸せに思えよ、というレベルだと思います。
まったく本当に、もんのすんごーーーく性格が悪かったんだろうな、って思います。
招いた人、話を聞けた人、誰からもそんなに愛されてない感じでしたし、なんか残念だなと思いました。

これで折り返し地点ですねー。
まだたくさんあって嬉しいです。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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