第三の時効

横山秀夫さんの『第三の時効』を読みました。
横山さんの小説は『クライマーズ・ハイ』以来です。

クライマーズ・ハイ
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定期的に横山秀夫さんの作品が読みたくなります。
骨太な警察小説を欲するんでしょうか。
というわけで、評判が高かったこちらの作品を読みました。
6つの短編が入っていました。

1つ目は『沈黙のアリバイ』。
いやー、こういう輩はムカムカしますけど、なんとか解決に持って行けて本当に良かったです。
しかし、なるほど『毛髪』はこうやって『後付け』してしまえば、それが「いつのものなのか」なんてわからないんですもんねぇ。
確かにすごいです。
自分が犯人だったらこの方法はいいと思いますけど(笑)、犯人にこんなことされてしまったらたまったモンじゃないですよね…。
しかし、人を殺しておいてケロッとしていられる人間もやっぱりいるんですね。
警察は、そういうヤツとも対決しなきゃいけないんですね。
本当に大変な仕事だな、と改めて思いました。

2つ目は表題作『第三の時効』。
『第二の時効』まではすぐに分かったんですけど、なるほどこれが『第三の時効』ですか!
本当にすごいなと思いました。
実際の事件を解決する際に、『これ』が使われたことってあるんでしょうか?
現場ではよく使う手なのか、それともやっぱりみんなが驚くような技なのか。
しかし、時効のその日までずっと逃げ続けてきたなんて、本当にすごいことだとは思います。
しかも、今回のケースですと、ねぇ…。
途中で心がくじけたりすることはなかったんでしょうか。
『子供』も大きくなって、だからこそその時間にも意味を見いだせたんでしょうか。
こういうシチュエーション、自分に当てはめたくはないですけど、自分だったら…どうしますかねぇ…。
まぁ、その『相手』にもよる、のかもしれません。
そして、まさかの犯人。
私としてはまったくのノーマークだったので、本当にびっくりしてしまいました。
この人も、『ケロッとしていた』わけではないかもしれないですが、時効の日を目指してずっとビクビクしながら生きてきたんでしょうか。
しかし、残念でしたね、もうちょっとだったでしょうに。
…そして。
2010年には殺人罪の『時効』は撤廃されている、ということですよね?
(この単行本は2003年発売だったようです)
警察の方は大変かもしれないですが、一般市民の気持ち的にはとてもありがたいなと思いました。

3つ目は『囚人のジレンマ』。
『現場』に行く刑事ではなく、それらを統括する立場の課長が主人公の話でした。
現場だけでなくマスコミ対応にも追われ、本当に大変な立場ですね…。
どこの『会社』も、中間管理職的な人はいつでも板挟みってことでしょうか。
しかも、まさかこれらの事件が1つにつながるとは…という構成です。
この複数の事件が同時多発的に発生する感じ、『震度0』や『64』を思い出します。

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いやー、やっぱりさすがだなーと唸ってしまいました。

4つ目は『密室の抜け穴』。
刑事にもいろいろな人がいて、その人達が人力でやっているわけですから、そりゃミスもあるでしょうね。
しかも、それぞれの人がみんな我が強そうですから、諍い何かが起きてしまったときは本当に大変そうです。
そんな中での、「誰が抜ける」とか「誰が上に行く」とか、そういう話…それだけでも胃がギュルギュルしそうです…。
大きな組織ですからね…昇進に熱心な人も酢酸いるでしょうし。

5つ目は『ペルソナの微笑』。
今回の中で、この話が一番好きかもしれません。
事件の内容としてはひどい話ではありましたけど。
「子供だからわからない」と思っているから、幼い子にとんでもないことをやらせてしまうんですね。
本当に大人が悪いです。
『ミステリと言う勿れ』でも言われていた『セメントに物を落とされる』という感じでしょうか。
子供は覚えているもんなんですよね…。
そうやって『使われた』2人の子供が、大人になりました。
一人は刑事に。
でも、もうひとりは『使われた』んじゃなかった、と。
そして、また新たに『被害者』が生み出されてしまいました。
…これはきついですね…。
最後、怒りに任せて怒鳴り、そしてすぐに『仮面』をつけ直しました。
彼は今まで、こうやってがんばって取り繕って生きてきたんだろうな、と悲しくなりました。
この事件を解決できたことで、自分の中で少しは折り合いをつけられたんでしょうか。
そうだったらいいな、と思います。

最後は『モノクロームの反転』。
これは理科の実験のようでおもしろかったです。
なるほど、こういうこともあるんだなぁ、と。
人間の目っておもしろいですね。
目の錯覚なのか光の加減なのか、詳しいことはわかりませんが、私は『錯視』とかを見ると結構グルグルしちゃうタイプなので、納得しちゃいます。
しかし、「貸してやる」なんてことを言える人間、気持ち悪い。
どうしてこんなヤツと一緒になってしまうんでしょうかね…。
悪い男に惹かれる女性っていうのは一定数いるんでしょうけど、やっぱり自分を大切にしてくれる人と一緒になりたいですよね…。

横山さんの小説は、長編も短編もやっぱりおもしろいですね。
ここからしばらくは読んでいきたいと思います。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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