スマイリーキクチさんの『突然、僕は殺人犯にされた』を読みました。
スマイリーキクチさんの本は初めてです。
スマイリーキクチさんの著書は現在この1冊のみのようです。
もちろん、お笑い芸人としてのスマイリーキクチさんは存じ上げております。
ボキャブラ天国はタモリさんの頃しか見ていなかったので記憶にないんですが(多分、ヒロミさんと谷村新司さんの頃に出ていたんですよね?)、韓流スターのペ・ヨンジュンさんのモノマネをされているところは何度も見ました。
なので、今回のこの本のような大変な騒動に巻き込まれた経験があるとは、本当に知りませんでした。
スマイリーキクチさん(以下、キクチさん)は、1999年頃からインターネットの掲示板『2ちゃんねる』に「某事件の犯人の一人である」というデマを書かれ、それを発端に彼への誹謗中傷が起こり、以降10年間その誹謗中傷を次々と書き込む『犯人たち』と戦い続けました。
その記録が、この本に書かれています。
10年もの長い間、こんな大変な苦労をされていたなんて、本当にお辛かっただろうなと思います。
ご本人ももちろんですが、ご家族の方々、周りの友人の皆さんも。
そして、現在は奥さんになられたという、彼女さんも。
特に、彼女さんのご苦労は本当に想像を絶すると思います。
10年ですよ…女性の若い頃の10年です…。
もちろん、男性だろうが性別に関係なく10年というのは貴重な時間ですし、別に結婚や出産だけが女性のあるべき姿だとはまったく思ってはいません。
ですが、彼女としてそばにいて、結婚しようと約束していて、待たされてしまった10年。
女性の身体的な『時間制限』なども考えると、本当に辛い期間だったんだろうなと思います。
今現在は幸せに暮らしていらっしゃることを祈ります。
私自身、1998年に高校卒業して大学に入学し、その頃からインターネットを堂々と利用するようになりました。
(それまでは、友人に E メールを送るレベルでしか使用していませんでした)
その延長で『2ちゃんねる』を知り、掲示板を見て愕然としたことを覚えています。
「しね」のような悪態が臆面もなく踊りまくっている掲示板、本当に怖かったです。
日常で口にすることを憚られる単語で、両親や先生からも「言ってはいけない言葉」として教えられてきた言葉がどんどん出てくる場所でした。
…今はもう耐性ができてしまったんでしょうね、なんとも思わなくなっちゃいましたけど…。
まさに、『便所の落書き』でしたね。
でも、『有名人』だからといってそんなところにあることないこと書かれていい理由もなく、当然殺害予告なんて書かれていいわけはなく。
この、ネットに殺害予告を書かれるという『事件』、キクチさんのこの事件があったからこそきちんとしたフローが出来上がったと言っても過言ではないようですね…。
そういう意味でも、不名誉ではあるでしょうが『先駆者』としていろいろ奔走していただいたこと、本当にありがたく思いました。
2000年以前、インターネットはまだ『すべての人がアクセスできる空間』ではなく『限られた一部の人がアクセスする空間』でした。
今では考えられないことですが、警察や法的機関の人でもネットの知識が乏しいのが当たり前でした。
そういう知識をあまり持たない人たちに対して、「なぜ、インターネットに誹謗中傷を書かれることが脅威なのか」という説明をするという大変な行為を、キクチさんは何度もされたようです。
当時はキクチさんだって決して専門家だったわけではなく、ご自身で勉強してなんとか身につけた知識だったようです。
「たしかに当時ってこんな感じだったな…」と思いました。
私は大学の専攻が情報系だったので、周りには当然詳しい人ばかりだったため、こんなもどかしい思いをしたことはあまりありませんでしたけど、親や小中高の友人などと話すときには「自分の常識が通用しない」という経験を何度もしたのを思い出しました。
もちろん、そんなのはこういう知識に限った話ではなく、いろんな業界・立場で発生することがではありますが。
残念ながら、この話はフィクションではないので、「最後は全員一網打尽に逮捕、大団円」というエンディングにはなりませんでした。
何人もの人が検挙されましたが、結局全員不起訴処分。
なんともモヤッとした結末でした。
ご本人もとても残念に思われていたようですが、こればっかりは仕方ないんでしょうね…。
というか、一番最初に特定された人物、警察に呼ばれて厳重注意されたそうなんですが、その数時間後に「警察に密告するなんて卑怯だ」という旨の書き込みをしたそうです。
まぁ、その当時であればこの程度の認識だったんだろうな…と。
インターネット黎明期(は過ぎていたかも知れないけど)で、リテラシーも低い人が多く、学校等でも教育はなされていなければ、この程度でも仕方なかったのかもしれないです。
もちろん、ダメなことではありますが。
子どもたちには「おでこに貼って街中を歩けないようなことは、ネットに書き込んではいけない」と伝えています。
悪口を言うな思うなとはいいませんが、安易にネットに書き込まないように、と口を酸っぱくして言っています。
まぁ、子どもたちは今はまだ「何かを書き込む」よりも「動画を見る」などのほうが楽しいみたいです。
(それはそれで、多すぎると『ドパガキ』的な心配になりますけど)
事件としては、「その時代だったから」ということで済まされてしまうかもしれませんが、再発するようなことがあってはいけないなと思います。
そして、指先一つで簡単に犯罪者になりえるということは、肝に銘じて置かなければいけないと思いました。
…まぁ、他にもいろいろ思うことはあります。
例えば、「出版社は、自分たちが発売した本の内容に責任を持ってほしい」とか。
でもまぁ、そちらは私の専門外なので、あまりなにも言えないですね…。
10年間も戦い続けてきたその歴史を1冊にして見せていただけたことは、とても貴重でありがたいと思いました。
この本の知識が役に立つような場面に出くわしたくはない…とは思いますが、人生何があるかなんてわからないですもんね…。
貴重な経験を余すことなく教えていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。


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