今野敏さんの『禁断 横浜みなとみらい署暴対係』を読みました。
先日の『逆風の街』の続刊です。
『逆風の街』ではサブタイトルが『横浜みなとみらい署暴力犯係』だったんですが、この『禁断』からは『横浜みなとみらい署暴対係』となっています。組織の再編成で今まで『捜査四課』で『暴力犯係』だったところが『暴力団対策課』に変わったそうです。なので、サブタイトルも『暴対係』になったと。
『逆風の街』が2006年発売で、『禁断』は2013年発売です。単行本化するまでにタイムラグがあるでしょうけど、この間で組織の再編成があったんですね。2作目でサブタイトルを変えなきゃいけなくなるということは、小説内ではなくリアルでそういう組織編成があったってことでいいのかな? 連載中に(サブ)タイトルが変わるなんて、『もやしもん』みたいですね。ちょっと違うか。
諸橋と城島は、薬物中毒で死亡した大学生のヘロインの出どころを追っていくうちに、いつも情報をもらっている神野というヤクザから、田家川という暴力団の組長の男が何やら暗躍しているという情報を得ました。
さらに、偶然飲み屋で居合わせた中央新聞の記者・宮本と偶然出会い、一緒に呑みました。宮本からはそのヘロインの供給先は国内ではなく外国人が関係しているという情報をもらいました。宮本は諸橋・城島を気に入ったらしく「また会いましょう」と別れたものの、次の日宮本は他殺体となって本牧ふ頭に浮かんでいました。
一方で、神奈川県警に中国の武装警察の将校が研修に来るとの情報があり、宮本の情報のことも考え、城島は今回の黒幕はその将校なのではないかと考え始めます。なんとかして将校に近づく口実を得たい諸橋は、いつも諸橋を目の敵のように追い回す笹本監察官からの「研修の講師をやる気はあるか?」という申し出を受けることにしました。
神風会の神野さんや岩倉さん、笹本監察官などいつもの面々も出てきています。だんだん彼らとの距離感・関係もわかってきて、それもおもしろいです。
前作の『逆風の街』のラスボスは、恐怖などの感情が元々欠落している人間だったんですが、拉致されて連行されるラストはそれはもうビクビクしながら読みました。
今回はビルにいるターゲットを捜査員たちで追い詰めるんですが、部下の一人倉持さんが大活躍でステキでした(笑)。この倉持さんという方、普段はちょっと頼りない感じの人みたいなんですが、逮捕術は署内イチらしくて。そのギャップがいいですね。
最後の取り調べで諸橋さんが言った「宮本は、俺の友人だった」というセリフが、なんだかずっしりと心に残りました。
そして、田家川。ついにお縄ですね。こんなやつが本当にいたらと思うと怖いです。いるのかなぁ…?
Kindle Unlimited で読みました。
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