神さまのビオトープ

凪良ゆうさんの『神さまのビオトープ』を読みました。
凪良さんの小説は初めてです。

勧められなければ自分からだと手に取りにくい小説だと思うので、人からおすすめしてもらうのは本当にありがたいですね。
この小説は、息子の担任の国語の先生が「GW に読みました」と息子のスクログ(連絡帳 & 交換日記的なもの)に書いてくれた本なんです。
タイトルからは内容がまったく推し量れませんでしたが、気になったので読んでみました。

普段は人が死ぬ本ばかり読んでいるので(笑)、こういう話はかなり新鮮だなと思いました。
…まぁ、この本も人は死んでますけど…。

内容はすごくおもしろかったんですけど、その一方でものすごく難しい本だなと思いました。
この小説の主人公は、亡くなった自分の夫の霊と同居している女性です。
…「自分の夫が」というのはあまり考えたくないから避けておくとして、もし友人が「死んだ夫の霊と一緒に暮らしている」といい出したら…果たして私はどんな反応を取るだろうか、と。
いろいろ考えて、まー「その人との関係性による」という結論に落ち着いた…かなー。
もし、その人がとても近しい人だったら、少し心配して、状況を確認しに行って、それで本人にそこまでおかしいところがないのであれば(一緒に暮らしていると言っている時点でおかしいかもしれませんが)、生暖かく見守るかもしれないです。
逆に、それがあまり親しくない人だったら「へー、そ、そうなんだー」と適当な相槌をして、ちょっと距離を取ってしまうかもしれないです。
まー、難しいですね…。

あと、主人公の名前は突っ込んでいいの…?
『うる波』と書いて「うるは」と読むらしいんですが、なかなか珍しい…。
『夜神月』的な感じで、わざと一般の方々と被らないようにして名付けたの? と勘ぐってしまいます。
(うる波ちゃんは別にやべーことしてないですけど)
Gemini に聞いても「由来などは特にない」と言われて「うるはし(麗し)」「潤う波」などを挙げられましたが、いろいろ検索して『【(潤波・霊波)】日と月(陽と陰) のエネルギー波』と書かれているページを見つけることができました。

「神さまのビオトープ」凪良 ゆう☆”正しい”って定義は何?スイートちゃんのキャンパスライフ
うる波は、事故死した夫「鹿野くん」の幽霊と一緒に暮ら…

なるほどなー。
いろいろ大変な人生の子なので、幸せになってほしいと思うんですけどね…。

うる波ちゃんの旦那さんである鹿野くん(故人)は、なんとなくですが『スキップとローファー』の志摩くんのイメージで読みました。
なんででしょうね、よくわからないんですが、髪の毛茶髪でふわふわしてそうで、背がひょろっと高くてひょうひょうとしてそうな感じだと思ったんです。
(作中に鹿野くんを描写する表現があったかもしれませんが、自分のイメージで上書きされてしまいました)
ただし、うる波ちゃんはみつみちゃんではなかったです。

この小説は連作短編集になっていました。
プロローグ・エピローグの他に4つの話が入っていました。

最初は『アイシングシュガー』。
これはねー…。
以前読んだ湊かなえさんの『リバース』を思い出しました。

リバース
湊かなえさんの『リバース』を読みました。湊さんの小説は『N のために』以来です。この小説も、2017年にドラマ化されていたんですね!知らなかった…。湊さんの小説は本当にドラマ化されることが多いですね。やはり、ご自身が脚本も書かれるから、ドラ…

あらすじ的にちょっと似ているかな、と。
私の前職でも、中学校から長いこと付き合っていて結婚して、数年で別れてしまったカップルがいましたし、そういえば私自身も7年付き合って8ヶ月で別れたんだったー、HAHAHA。
(私はバツイチで、今は既婚子持ちです)
心変わりは仕方ないと思いますけど、『並行』はやめたほうがよかったかもですね。
タイムカプセルから指輪が出てきたというのが、ねー…。
旅行先の食事の時なんかに「ごめん、やっぱりやり直そう」って言いながら「パカッ」とやればよかったのに。
「1年間熟成させよう」なんて思っちゃったから、の悲劇ですかね…。
でもまぁ、エピペンもタイムカプセルに入れちゃってたから、どっちにしろアウトだったんでしょうか。
それとも、その場で指輪をもらえていたら、千花が覚醒してアレルギーに対する確認を猛烈に行うことで、あの惨劇は防げたんでしょうか。
タラレバなんて無意味かもしれませんが、いろいろ考えてしまいます。
千花がこの先どうなるのかがね…。
結局、佐々くんの呪縛から解き放たれることなく、ずっと悩み苦しみ公開しながら過ごしていくことになっちゃうんでしょうか…。

2つ目は『マタ会オウネ』。
私は基本的に Kindle 読み上げ機能を使って、家事なんかをしながら本を読んでいる(聞いている)ので、画面を見ていなかったんです。
なので、2人の口語の文体の違いに気づきませんでした。
ただ、会話の内容なんかから、私も秋くんがロボットだと思っていたのでびっくりです。
(いい読者ですねー)
でもやっぱり、ちょっと考えれば、『HAL』だって気づきますよね、悔しい(笑)。
この話は、かなり昔に見た『アンドリュー NDR114』を思い出しました。
あれは確か、最後にロボットにも人権みたいなものが認められて、愛する人と結婚もして、ちゃんと性行為もできるようにしてもらって…みたいな話だったような気がします。
春くんは止められてしまったけど、いつか秋くんが『復活』させる日が来るかも知れないですね。
ただ、それがその時の『春くん』なのかどうか、『テセウスの船(テセウスのパラドックス)』的な疑問もありますが…記憶は本体に保持されたままだと思いたいです。
うちはいつも夫が週刊少年サンデーを買ってくるんですが、この間ついに『龍と苺』が終わってしまいました。
後半の方がぶっ飛んでいて(失礼)、急に100年後になって、AI と将棋を打つ話になっちゃったんですけど、そこでもいわゆる『シンギュラリティ』が問題になったりしていました。
春くんは『ギュラって』いたんでしょうかね…。
難しいですね。

3つ目は『植物性ロミオ』。
この話がねー、一番難しいなと思いました。
私も女児の母親ですので、危険な青年と娘を離してほしいと強く思います。
でも、金沢くんの話がすべて本当であれば、彼は別に何もしていないんですよね。
人にはそれぞれ好みがあって、彼はたまたま『色気を出してこない年代の女児』が好きで、『色気を出してくる年代』になった女児には恋愛感情が消え失せてしまう。
私だってメガネを掛けている男性がたまらなく好きですし、「それと何が違うんだ」と言われたら答えられないです。
一方で、その相手の女児である秋穂ちゃんもかなりクセのある子でした。
まさに「知らぬは親ばかりなり」というか。
…こーゆーのに付き合わなきゃいけないって、『先生』と呼ばれる人たちは本当に大変だなと思います。
私はしんどい、「巻き込まないでほしい」と思ってしまいます…。

4つ目は『彼女の謝肉祭』。
ある意味これが一番わかりやすい話だなと思いました。
イメージとしては立花さんはエヴァのアスカで、やっぱりアスカと同じく大きなコンプレックスを抱えていて、それで全然素直になれないと。
私も、今はおばさんですが元女子だったので、女子特有の関係性とか、醜美で対応が変わる様とか、そういうのは一通りわかりはします。
ものすごく残酷な部分もありますよね…。
でもまぁ、私は高校が女子校だったので、その3年間はそういうものから少し開放されていたような気がするんですよね。
『働きアリの法則』みたいに、女子しかいない環境だとその中の何割かが男子的な役割を演じようとするような気がします。
…あくまで私の勝手な考えですが。
たびたび思うんですが、性別なんてなければよかったのになーって。
この間、横山秀夫さんの『顔 FACE』を読んだときも、ちょっとそう思ったのを思い出しました。

顔 FACE
横山秀夫さんの『顔 FACE』を読みました。横山さんの小説は『動機』以来です。こちらも再読です。購入したのが2021年なので、5年ぶりでした。やはり、内容は意外と覚えていました。やっぱり横山秀夫さんはすごい作家さんですね。以前ドラマ化された…

なんか、話がそれましたが。
鹿野くんは破局派、うる波ちゃんは成就派みたいですが、私も…破局派、かなー。
でも、破局するけど、いい友達になれるかもしれないな、なんて思いました。
でも自分だったら、破局した元彼とは仲良くできそうにないですが(笑)。
余った皮があるくらい壮絶なダイエットしたということは、以前は相当、相当ふくよかだったってことですよね…。
この年代ですでにそれって、本当に努力したんでしょうね…。
うる波ちゃんも、今の食生活改めないと結構危険なんじゃないかな、とちょっと思ってしまいました。

そして。
エピローグがめちゃくちゃビックリしました。
なんなら、一番驚いてインパクトのあった部分がここかもしれません。
そうか…そうだったのか…。
本当、「秘密のない人なんて、いるわけない」ですね…。
もちろんうる波ちゃんは言いふらすような人じゃないと思いますけど、このままそっと見守ってあげていてほしいです。
ご両親・親戚なら思うところはあるんでしょうけど、ご近所さんだったら関係ないですもんね。
今、幸せそうなら、それで良かった。
こういう人たちだからこそ、うる波ちゃんのこともそっと見守ってくれているんですね。
すごいなー。

凪良さんの小説は始めてだったんですが、お名前は『流浪の月』『汝、星のごとく』などで存じ上げておりました。
なので、これを機にいろいろ読んでみたいと思います。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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