大門剛明さんの『確信犯』を読みました。
大門さんの小説は初めてです。
先日まで読んでいた翔田寛さんの『冤罪犯』『黙秘犯』とタイトルが同じ系統ですが、狙ったわけではなくたまたまです。
広島が舞台となるこの小説、広島の街や球場が鮮やかに描かれていたので、てっきり大門さんが広島の方なんだと思っていました。ところがそうではなく、大門さんは三重県のご出身だそうです。
今回始めて大門さんの小説を読みましたが、『解説』には『作品ごとに読者の印象に残る舞台を用意』していたとありました。なるほど、表紙の賑やかな球場の写真を見れば、この話の特に終盤の『最終戦』の舞台をはっきりと想像できるような気がします。
少し話がずれますが、私も1度だけ広島に行ったことがあります。
転職先が決まって有給を消化していたときだったと思うので、2009年の11月ころだったと思います。Wikipedia を見ると、その頃には『MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島』がもうオープンしていたようなんですが…あまり覚えていないです(笑)。
町並みがすごくきれいで、ゴミもほとんど落ちていなくて、住んでいる人の矜持のようなものを感じました。私は学生時代は仙台で暮らしていたんですが、広島に行く前は「都市の規模もだいたい同じようなところだろうな」なーんて思っていまして…。ホント、旅行後には平身低頭して謝りたい気持ちになりました。それ以来行けていないんですが、また行きたいなと思います。きれいだったなぁ。
物語は裁判のシーンから始まります。裁判というものがいかにたくさんの人の人生を決めてしまうか、読んでいて恐ろしくなります。
その裁判では被告人が無罪となりました。後に判明しますが、被告人は真犯人でした。
その裁判で裁判官をしていた3人のうち2人が殺害されてしまいます。そしてその容疑者は、無罪になった被告人が殺害した男性の子供でした。
穂積直行という男性がこの話のキーパーソンの1人です。15年前のその裁判の日に判事補としてその場にいて、一瞬ではありますが居眠りをします。その日同じ判事補としてその場にいた正木響子という同い年の女性に、屈折した感情を抱いていました。その後、裁判官をやめて司法試験専門学校の講師になり、テレビなどで顔を売って政界に出ようと画策しているところです。
正直、「殺されたの、なんでこいつじゃなかったんだ…」と思ってしまうような、なんかいけ好かない、軽薄な感じの男性でした。
が、事件を追いかけるにつれて少しずつ変わっていき、最後の最後には『確信犯』的な行動でパートナーを獲得します。それがいいのか悪いのかはわかりませんが、人って変わるんだなーと驚きました。そこまでやったのであれば、『世界一の裁判制度』に向けてがんばっていってほしいです。
連日の報道を見ていると、日本には本当にそんな矜持を持って働いている人っているのかな…と思ってしまいますが…。まぁ、いるところにはいるだろうし、自分自身がそんな矜持を持ち合わせていないので言えた義理ではないのかな…。
Kindle Unlimited で読みました。
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