発達障害の子どもたち

読んだ本

杉山登志郎さんの『発達障害の子どもたち』を読みました。
杉山さんの本は初めてです。

新書ということもあり、なかなか硬派な内容でした。
「読み応え抜群」と言えればいいのかもしれないんですが…多分あまり理解できていないです、残念なことに…。
でも、分かる範囲でとてもおもしろかったです。

この本が書かれたのは2007年。
そのときの苦労が感じられるのが、『脱線ではるが disorder のこのようなニュアンスを正しく伝えることができる日本語はないだろうか』から始まるフレーズです。
これは、『発達障害』を『神経発達症』と呼び替えようという流れが出てきているので、実に杉山さんの願いが・想いが17年越しで実現されたといってもいいんじゃないでしょうか。
確かに、『障害』という言葉だと「一生治らない」「改善しない」という印象が強すぎて、親側のダメージも大きくなってしまうような気がします。
そして、本書でも出てきた『子どもの障害を認められない親』につながってしまうような気がしますね。
まだ替えられて間もないので、ちゃんと定着するかわからないですけど、『パニック障害』→『パニック症』的なイメージの転換に寄与すればいいなと思います。

本書にあった『我が国の学校教育は行事が多すぎる』というのは本当に同意です。
しかもうちの息子は、幼稚園から小学校卒業まで毎年全部担任が変わり、更に5年から6年への進級でもクラス替えがされてしまいました。
仕方ないことではあるんですが、彼にとっては5年生の時のクラスが本当に居心地が良かったみたいで、クラスが変更になった6年の1年間はいろいろトラブル続きで、あまり通学できなかったんですよね。
もちろん、本人のせいなんですけど。
本書にも『環境は変えないほうがいい』的なことが書かれていますが、たまたまとは言えそれとは逆の方角になってしまったなという感じです。
息子はこの春から地元の中学に進学したんですが、先日妹の方の小学校の保護者会で「これからは毎年クラス替えをします」と言われてしまったので、そっかーなんだかなぁ…と思っています。
もちろん、クラスに馴染めない子が2年間同じクラスで我慢することなどを考慮した結果だというのは理解しているんですが、なんとなく釈然としない気持ちもあります。
まぁ、中学校だと毎年クラス替えがあるのがデフォルトなので、仕方ないっちゃ仕方ないんですけどね。

『教師の指示に従わず、興味のある授業にのみ参加し、それ以外は参加しないという場合もある』という内容がありましたが、息子の場合はまさにそれになってしまったんですよね。
音楽や理科はどうも参加したがらなかったようです。
でも、3学期の後半はちゃんと参加していたらしいですけど。
うちの息子に限るかもしれないんですが、「参加しない」という選択肢を与えてしまったからいけなかったのでは…と思わないでもないんですよねー。
まぁ、嫌がっている時間そのものが他の子に迷惑だから、『排除』したのかもしれないですけど。
『高機能広汎性障害の児童は激しいいじめの標的となることが多い』とのことのようなんですが、この状態でも、息子の同級生たちはよくできた子が多いのか、そういうことにはまったくならなかったのは幸いでした。

ADHD の捉え方について改めて納得したのが『ADHD の多動を主とする症状は、成熟の遅れと捉えるべきものが多くを占めていて、いわば七歳の子どもが三~四歳の行動コントロールの能力であるというときに、ADHD と診断することになる』という記述でした。
確かにそうなんだよな…。
そう考えると、そのうちそれなりに育っていくような感じなので、すこし鷹揚に構えられるんですけど…どうなんでしょう? それでいいのかな?

児童精神薬領域ではなかなか保険診療で使えない薬が多い、ということも知らなかったです。
もっと合う薬があったりするんでしょうかね?
これからの科学に期待、ということでしょうか。

『窓ぎわのトットちゃん』のチンドン屋の話も記載にありました。

窓ぎわのトットちゃん
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確かに環境を変えれば集中が捗ることはあると思うので、そういう意味でもやっぱり『片付け』なんでしょうねー…。
それに加えて『おだてまくる』のがいいらしいんですが…私にできるでしょうか(笑)?

この本では何度か『世界に冠たる優れた乳幼児健診システム』というフレーズが出てきます。
日本の乳幼児健診システムは、どうやらそういうものらしいです。
私は日本のしか知らないので「そういうものなのかー」と思います。
でも、その優れたシステムの中でも、『発達障害の見極めは難しい』とのこと。
なるほどなー。
で、『放置』が一番良くない、というのがガツンときました。
確かに、どんなに賢い人だったとしても、初めてやることが完ぺきにできることなんてほとんど無いわけですから、『放置』せずに練習させなければいけない、と。
確かにそうですよね…。

『薬は必要か』論争についても書かれていて、『必要に応じて動員さればそれでよく、過小評価も過大評価も好ましくない』というのには納得しました。
やっぱり「薬を飲ませている」と言うと一定数拒絶反応を示す人はいますね。
特に年配の人。
でも、うちの息子の場合、本人も「飲んだほうがいい」と思っているみたいですし、周りの迷惑度も格段に減ったみたいなんですよね。
『100%正解』ではないかもしれないですけど、おおむね正解、となるんじゃないかと思っています。
「少しずつ減薬で来たらいいな」とは思いますが、その辺は本当に焦らず少しずつ、と言ったところでしょうか。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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