病に至る恋

斜線堂有紀さんの『病に至る恋』を読みました。
斜線堂さんの小説は『恋に至る病』以来です。

恋に至る病
斜線堂有紀さんの『恋に至る病』を読みました。斜線堂さんの小説は『廃遊園地の殺人』以来です。去年映画にもなった作品です。名前は知っていたんですが、内容はまったく知りませんでした。で、斜線堂有紀さんの作品だと知り、前回の『廃遊園地の殺人』がおも…

『恋に至る病』の続編的位置づけの短編集でした。
『恋に至る病』から5年後に発売されていますが、同じ時間軸での話のようでした。
4つの話が入っていました。

1つ目は『病巣の繭』。
『恋に至る病』のヒロイン・景の保育園時代にあった『事件』です。
この頃からすでに彼女は『彼女』でした。
語り部は景の母親なんですが、娘を愛しく大切に思うと同時に、何か底しれない気味悪さ、恐ろしさも感じているようです。
そして、それをちょっと見ないようにしている感じでした。
確かに、たった5歳の自分の子供がここまで人心掌握に長けていると気づいてしまったら…我が子ながら気味が悪いだろうな、とは思います。
そして、見なかったことにもしたいだろうな、と。
ただ、ここでなんとかできていたら…とも思ってしまいますけどね。
まぁ、仮に何か手を打っていたとしても、結局は変わらない結末になってしまってかも知れませんけどね。
この母親の話を見る限り、彼女が別に虐げられた生活をしていたわけではない、ということがわかりました。
むしろ、かなり大切にされている感じがします。
なので、彼女の性格はまさに『ナチュラルボーン』だった、ということなんでしょうかね。
それはそれで、本人もかわいそうですけどね…。
『恋に至る病』の方で、顔に傷を負った事件がありました。
あの時の傷が、まぁもうちょっとはっきりと残るような傷だったら…。
彼女の妖しい美しさに陰りが出て、その『術』も少し弱まっていたのかもしれないな、なんてすら思ってしまいます。
しかし、5歳児がここまで計算ずくでやっていると考えると、本当にゾクリとしますね。
5歳児といえば『クレヨンしんちゃん』ですからね。
…いや、しんちゃんもある意味魔性か…。

2つ目は表題作『病に至る恋』。
『恋に至る病』と逆のタイトルなわけで、「ひょっとしてあの話を景サイドから見た感じなのかな」と思ったんですが、それともちょっと違いました。
本編出てこなかった延田という男の子と、緋達という女の子。
彼らがどのようにして『ブルーモルフォ』に取り込まれていったか、最後の『結末』を迎えるまでの過程が語られています。
途中で景も宮嶺も出てきましたが、あくまで脇役という感じでした。
…しかし、高校生のいじめってこんなに幼稚なの…?
うちの高校、いい意味でも悪い意味でもお互いがお互いに興味がない感じだったので…。
私が知らないだけで、こんな感じのあったりしたんでしょうか。
でも、『相合傘を書く』とか、ちょっと幼稚すぎないかな…と思ってしまうんですけど、どうでしょうか。
ブルーモルフォに取り憑かれた人間がどういう過程を辿っていくかが描かれています。
やっぱり、『睡眠不足』であったり『依存させる仕組み』であったり、本当にすごいですね…。
この中で『BeReal』のことが書かれていました。
まさにタイムリーだな、と思ってしまいました。
(2026年5月中旬、以前よりは話題的に落ち着きましたが)
『BeReal』自体は2020年にはもうあったものだったんですね、びっくりしました。
ちなみに、『恋に至る病』は2020年に書かれた小説で、こちらの『病に至る恋』は2025年です。
『主体性がなさすぎる人間は死んでもいい』というのが、結局のところ景がブルーモルフォを作ったメインの理由だったわけですよね。
もちろん、死んでもいいなんて全然思わないんですけど、でも、『主体性』は持った方がいいな、とは思いました。
あと、睡眠時間大事、本当に。

3つ目は『どこにでもある一日の話』
宮嶺と景が『恋人同士』として『普通』に過ごした話でした。
一番最後に「景があの日僕を連れ出したのは正解だったと思う」と書かれていました。
この出来事が、『今』(=『恋に至る病』のラスト)の彼にとっての『心の支え』になっていることがよく分かります。
何というか、本当に景は不安定だったんですね…。
「怖い、怖い」といいながらも、もうブルーモルフォを止めることができないあたり、なんというか本当に病的な感じがしました。
『普通の恋人』として『普通』に過ごせたら良かったんですけどね…。
こんな小さな幸せの裏側でも、何人もの人が自殺していたんだと思うと、改めてすごい話だなと思いました。

4つ目は『バタフライエフェクト・シンドローム』。
『恋に至る病』のパラレルワールドっぽい話でした。
一番最初に宮峰がつまづいてしまった『自己紹介』のシーンなどもなく、そもそも景が自分の異常さに気づいて自主的に不登校をしている、という話です。
それでも、宮嶺が景の家に学校の配布物を届けに行くことで接点ができてしまって、2人の仲が少しずつ深まっていきます。
…やっぱりどこをどう修正しても、最後あそこにたどり着くのが確定事項なのかな、と悲しくなってしまいます。
このまま普通に『こっちのルート』で進んでいったら、『あの結末』には至らなかったのかな。
もしそうなんだったら、二人はどんな大人になっていたのかな。

Kindle Unlimited で読みました。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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