大沢在昌さんの『炎蛹 新宿鮫5』を読みました。
Audible です。
新宿鮫シリーズは前回に引き続き2回目。
もうすぐ Audible の無料期間が終わっちゃうので、
ラストスパートって感じで聞いています。
今回の『炎蛹』では、なかなかおもしろいパートナーがつきました。
植物防疫官の甲屋(かぶとや)というおじさんです。
年齢的には事務方っぽい仕事をしていてもおかしくないほどの人なんですが、
鮫島さんと一緒で現場主義。
今回『炎蛹(フラメウス・プーパ)』を一緒に探すパートナーとなります。
この炎蛹、南米から持ち込まれた宗教的な飾り物にびっしり寄生しているらしく、
これが日本で羽化してしまうと農作物に半端じゃない影響があるらしい。
それを阻止べく、2人は奮闘します。
そこに、2件の娼婦殺人事件、ラブホテルを狙った連続放火事件なんかも絡み、
複雑に入り組んでいきます…。
『炎蛹』自体はなんとか大事にならずに済みます。
それはそれで物語的にちょっと残念ではありますが(蛹で終わっちゃったので)、
仮に大事になっちゃったら『新宿』の話じゃなくなっちゃいそうですしね。
農作物の虫害、私はそこまで詳しくはないんですが、
バッタやイナゴの害(蝗害)なんかの恐ろしさは読んだことがあります。
繁殖力も強く、通り過ぎると水田が枯れている…みたいな。
物語の中でも、「米が食えなくなるぞ」と。
シンプルだけど、恐ろしい言葉です。
今回は放火犯も絡んできましたから、
『炎蛹』はダブルミーニングって感じでしょうか。
娼婦連続殺人事件も発生しているので、なかなか盛り上がっています。
植物防疫官の甲屋さんがなかなか憎めない人で。
ずんぐりとしたおじさんのはずなのになんか愛嬌がある。
自分の仕事に誇りを持ち、全力を尽くす。
今回たまたま一緒に闘う事になった鮫島さんにも敬意を払い、
彼の仕事に好奇心を持って取り組みます。
その好奇心が、最後の最後でちょっとだけ仇となってしまうんですが。
結構いいキャラクターなんですが、
Wikipedia に名前が載っていないところを見ると、
今回だけの単発キャラなんでしょうかね〜。残念。
鑑識の藪さんとも気が合いそうだし、
鮫島さんの彼女の晶にも気に入られてたのになぁ。
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