法月綸太郎の冒険

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法月綸太郎さんの『法月綸太郎の冒険』を読みました。
法月さんの小説は初めてです。

そう、初めてなんですよねー。
かなりのビッグネームなのに、読んだことがなかったんです。
有名すぎて逆に手を付けられなかった、というところもありました。
今回、運良く Kindle Unlimited で見つけて読むことができて、ラッキーでしたね。

『法月綸太郎の冒険』というタイトル、「シャーロック・ホームズみたいだな…」と思っていたんですが、まさにその通りだった…ということでいいんですよね?

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あとがきに、

たとえアナクロとそしられようと、マニアの自己満足と石を投げられようと、名探偵の第一短編集のタイトルは絶対にこうでなければならない、という愚直な思い込みのみで、ほとんど自動的に困ってしまった書名です。

とあるのは、やっぱり『シャーロック・ホームズの冒険』があまりにも有名だから、ということでいいんでしょうか?

ということで、短編集、7つの話が入っていました。

最初は『死刑囚パズル』。
なるほどー。
なかなかおもしろいというか、深いというか。
とても複雑な話でした。
死刑囚が死刑を執行される直前に毒殺されてしまいます。
普通に考えれば、「そんなことする必要ないよな」と。
そして、その理由がなかなか…。
物語の冒頭が、今日お休み予定だった看守の男性が出勤しなきゃいけないことになったというエピソードでした。
その流れが後々にまで影響してくるとは思っていなかったので、『真犯人』が明らかになったときにすごくびっくりしました。
しかしまぁこの死刑囚、死刑の直前にはもう改心していたのかもしれないですが、それまでやってきたことはかなり残虐だったんだな…と思ってしまいます。
『死刑』の問題っていうのは難しいなと思いますが…『必要悪』なのかなとも思います。
今回のケースだと、監禁されて制服などを取られてしまった女性もいるわけですが、この『真犯人』はどれぐらいの罪になってしまうのかな、と。
いろいろ情状酌量してあげて欲しいなと思います…。
にしても、この法月綸太郎さん、言い回しが独特だったり、なんだかおもしろい人ですねー。

次は『黒衣の家』。
火事が起きたら火消しの人が来てくれるから、その火消の人が好きな女性・お七は放火をする、という『八百屋お七』的な話…かな…。
小学5年生の男子にとっては、『伏せがちのおばあちゃん』や大叔母さんなんて完全に『モブキャラ』で、生死とかどうでもいい感じなんですかねー…。
悲しいですし、小5にもなってそういうことをやってしまうというのは、ちょっととんでもないことだとは思います…。
私は(というか家族全員)母方の祖母とはあまり仲が良くなかったので、「どーでもいいー」と思う気持ちはわかります。
が、「殺したい」とまでは思わない…(もう亡くなっていますけど)。
『死刑囚パズル』に比べると、動機も方法も簡潔な感じではありました。
配膳をするときに、「これは、おばあちゃんの分」と言って渡したのがちょっと不思議だな、と一瞬思いましたが、まさかここに繋がってくるとは…。
にしても、それを他の人に悟られないように生活しているそのふてぶてしさというか、根性というか…は、なかなかすごいなと思いました。
末恐ろしいですね…どうなることやら。

3つ目は『カニバリズム小論』。
「長々と何を議論しているんだろう」と思いきや、実は話し相手が…という話でした…。
びっくりしたー。
確かに、法月さんと話している人が正確に「誰」なのかという記述はなかったです。
だからといって最後にこうくるとは…と。
『カニバリズム』に対する熱意が半端なくて、論文みたいな感じでずっと喋っている人。
それを、法月さんがどういう思いで見つめていたんだろうな…と。
正直、大久保が同棲相手の人肉を食べた理由に関して、ぶっちゃけ『排泄』という目的を一番最初に思いついてしまったので、回り回ってそこにたどり着いたときにはそれもまたびっくりしました。
幼い頃にいわゆる『M 君事件』の報道を見たときから思っていたんですよね…。
『体内に入れる』ということは、確かに自分の中に取り込むっていうことですけど、人間だって動物だから必ず出しますよね…。
まさにここで出てくる感じです。
『骨を肌身離さず持っている』とかの方が、まだなんか理解できるというか…。
『彼』が「大久保『さん』」と呼ばれているということは、『刑務所』などではなく『病院』なんだろうな、と思いました。
闇ですねー。

4つ目は『切り裂き魔』。
図書館の本を切り裂いてる人を見て、その人が内部の職員だったとしても、別の職員に言ったりとか…しないですか?
あとは投書するとか…。
自分でカッターで切るというのは、最後の最後の手段過ぎてやらないんじゃないかなって思っちゃいます。
ただまぁ、この男性が本をとても愛していることはすごく伝わってきましたね。
きれいにカットしてあるところは素晴らしいなと思います。
そして、犯人。
なんでこういう行動に出ちゃうのかな…。
今まで溜めに溜めてきた思いが一気にドカンとなったとか、家庭で何かままならないことがあったとか?
いろいろ考えてしまいますが、まぁそういう方面での発散はまったく良くないことだからやめていただきたいなと思います。
今の時代、ただでさえコロナ禍なんかで「図書館の本を借りたくない」って思ってる人もいるみたいですからね…。
そんな本を見つけたら、「もう二度と行かねぇわ」と思っちゃう人も出てきてしまいますよねー。
ええと、『図書館司書が型破りな人物だと、読書量が3倍に増える』というのは、どういうロジックなのか。
要するに、彼女に会いたくて足繁く通っているということでよろしいか。

5つ目は『緑の扉は危険』。
『犯罪の陰に女アリ』とはよく言ったもので、この未亡人のように『匂い立つ美人』みたいな人は、やっぱり裏で何してるかわからないな、と。
ちょー偏見ですけどね。
これは、解決編を読んで「なるほどな」と納得した事件でした。
『金田一37歳の事件簿』で『接着剤で仮り止めする』みたいなトリックが使われていたので、最初はそれかなと思ったんですが。
ただ、『37歳』では2人がかりで開けていたけど、この話では5人ぐらいの警察官でも開けられなかったというぐらいだから、違うかと。
なるほど、この理由は思いつかなかったです。
でもまぁ、引っ越しなんかするときに、荷造りで必ず注意される項目ではありますね。
さて、法月さんは、こうやって司書のお姉さんといい感じになっていくということでよろしいか。

6つ目は『土曜の本』。
これはなかなかおもしろかったです!
有名作家さんの名前をもじった人たちが出てくるので、作者の法月さんが彼ら・彼女らと少なからず交流があるんだろうなと思いました。
肝心の謎の方ですが、オリジナルの方は正直よくわからないですが、今回の方は「この中にアイデアが思い浮かばなくて、実際にやっている人がいるんだろうな」と思いました。
でも、この情報から個人の特定までできると思っていなくて。
話を聞いて納得。
そして、その該当の人物のオリジナルの作家さんは、確か『昔、覆面作家をやっていた』となにかに書いてあったような気がしたので、それもなんか納得してしまいました。
しかし、自分の父親が作家であるということをまったく知らないなんて、あり得るんですかね。
まぁ、たまに芸能人でも「自分の子供に言ってない」みたいな話も聞くし、そういうものなんですかね。
あと、この『競作 五十円玉二十枚の謎』の一般公募で受賞したのが倉知淳さんで、先日読んだ『豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件』の作者さんでした。

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いやー、おもしろいですねー。

最後は『過ぎにし薔薇は……』。
本は好きですけど、電子書籍ばっかりで読んでいる私にとって、『本の喉』とか『天小口』『スピン』などの用語はなじみがなくて…。
そういえば、以前読んだ『ビブリア古書堂の事件簿』でも、スピンを巡って一事件あったなぁと思い出しました。

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この装丁家の女性は…大御所の作家さんに遊ばれて捨てられて、かわいそうではありますね。
こういういたずらと言うか、『犯罪未満』に手を染めてしまったのも、3つ前の『切り裂き魔』のときとは違い愉快犯というわけでもないみたいですから、だからこそ賠償を求めたりとかすることはないという流れになったんだと思います。
にしても、件の作家にはなにか天罰くだらないかなって思っちゃいますね…。
こういう人ってどこにでもいるんでしょうね、はーやだやだ。

『あとがき』に、短編それぞれについて作者・法月さんの解説のような短文が入っているのもよかったです。
ここを読んで「なるほどな」と思ったこともありました。
あと、『あとがき』の後ろに『「図書館の自由」をめぐって』として何ページか書いてありました。
図書館にこんな歴史があったとは、まったく知りませんでした。
で、まさに『図書館戦争』のような感じだな、と。
改めて『図書館戦争』を読みたくなっちゃうんですが…Kindle にも Audible にもないんだよなー。

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Kindle Unlimited で読みました。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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