湊かなえさんの『母性』を読みました。
湊さんの小説は『リバース』以来です。
いやー、なんというか…気持ちの悪い話でした。
まず「アイアタウカギリ」が意味がわからなくて。
こういうとき、Audible はやっぱり漢字で見られないのは不便だなぁ、と思ってしまいます。
『愛能う限り』と書くんですね。
「何を言ってるんだろう」と思っていました…「アタウアルパ?」と思って。
(歴史上の人物ではなく、藤崎竜の漫画の登場人物の方です)
『ピーナツ親子』という言葉をたまに聞きますが、ここまで極端じゃないにしても、こういう感じなのかな、と思いました。
私なんかは実家に帰るのも「めんどくせぇな」と思うぐらいだからよくわからないんですよね…。
自分たちの家を『夢の家』とかって言ってる時点で、もう『赤毛のアン』の世界です。
いや、それが悪いわけじゃないけど。
でも、リアルでそんなこと言ったらちょっと気持ち悪いなーって。
この間読んだ『変な絵』のおばあちゃんは「ずっと母親でいたい」っていうのが殺人の動機みたいな感じでした。
今度のルミ子は、逆に「ずっとお母さんの子供でいたい」っていう気持ちが強すぎたっていうことなんでしょうか?
ここは、いわゆる『膿家』というのがたくさんあるような地域なのかな、と思いました。
同じ状況だったら、義母ぶん殴ってると思うわ…。
よく耐えたよなと思って。
でも、その我慢って必要なのかなって思っちゃいますね…。
不要なストレスは排除したいと思ってしまいます。
私の母はよく「自分で金を稼ぐ手段があるんだったら、それ手放しちゃだめ」と言っていました。
「お金を稼げれば、旦那さんと対等に話ができるから」とも、よく言っていました。
今この年になると、確かにそうなのかもしれないなと思います。もちろん、夫と同じぐらいには稼げていないんですけど、でもやっぱり0円なのと少しでも稼いでるのは、発言権的に、私の気持ち的に違うよなーって思ってしまいます。
別に夫からなにか言われたことがあるとかは、まったくないんですけどね。
ルミ子のお母さんはすごく愛あふれる人で、娘に対して無償の愛をたくさん注いで育てたんだろうなっていう感じなんですけどね。
まー、ルミ子は『それを見習って自分の娘に』っていう方向ではなく、『もっともっと母親から欲しい』と願ってしまったところに、今回の悲劇が生まれてしまった、っていう感じでしょうか。
小さな頃からずっと他人の顔色を伺って生活し続けてたのは、かわいそうだなとは思います。
ルミ子の場合はそれを無意識のうちに苦にならずにやっていたけど、清佳の場合はそれがだんだん苦になってきてたっていうことなんでしょうねー。
まぁ、『時代』もありますね。
女の子がずいぶん強くなっていますからね。
自分に当てはめて考えると、「こんなに子どもに尽くせないな」と尊敬しつつも、「そんなに盲目的になるのもなぁ」と思います。
でも、「ほどほどほどがいい」って言うのは簡単ですけど、難しいよなー…。
では、どうするのが正解なのか?
人類が誕生してから今まで経ってるけど、そこに明確でちゃんとした『答え』があるわけでもないんですよね。
親もいろいろ、子もいろいろですから、一意に答えを決められないんでしょうし。
もう人それぞれで、それぞれ思った通りにやるしかないんでしょうね…。
難しいです。
ルミ子の田所側の甥っ子、英紀が強烈でしたね…。
たぶん発達障害かもっと重度な感じだと思うんですけど。
あそこまで凶暴だと、幼い頃は『普通』に育てるのは難しいでしょうね。
幸い、うちの息子はあそこまでではなかったので、まぁなんとか育てていますけど。
英紀のお母さんは、その部分ではかわいそうだとは思いますが、他の部分もいろいろ加味すると、「来ないでくれ」一択ですね。
いやー、私も気をつけないとなー。
朗読は戸田恵梨香さん。
以前読んだ『リバース』のドラマ版にも出演されていましたが、この『母性』が映画化されたときのルミ子役だったそうです。
ちなみに、ルミ子のお母さんは大地真央さん、ルミ子の娘の清佳は永野芽郁さんでした。
いやー…美しい3世代ですね…。
朗読もとても聞きやすく楽しめました。
私にも娘がいますし、なんだかいろいろ考えさせられる話でしたね…。
やっぱり、成長過程で親が子供に与える影響は大きいですよね…。
ただ、最初にも言った通り、まー、気持ちの悪いお話でした。
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