櫛木理宇さんの『残酷依存症』を読みました。
先日の『殺人依存症』の続刊です。

この小説も、『殺人依存症』同様1度読んでいます。
確か、『殺人依存症』の直後に読んだと思います。
なので、なんとなく大まかな内容は覚えている状態でした。
でも、そこまで細かくは覚えていなくて…。
『お墓に対する冒涜』のあたりでばっと記憶が蘇ってきて、ラストまで全部思い出した感じでした。
そこでまた苦しくなりましたね…。
でも、とてもじゃないけど中断することはできなかったですね。
「最後まで読まないと失礼になる」という気持ちと「ラストをちゃんと見届けねば」という気持ちが大きかったように思います。
1度目に読んだときは、この『カタルシス』みたいなものが強すぎて、最後の怒涛の展開にちょっとついていけなかった感がありました。
でも、今回は内容を少しずつ思い出していたので、少しだけ冷静になって読むことができました。
やっぱり最後の疑問は、「車の事故の件はどうやってやったのか」ということですかね。
考察のサイトをいくつか見て、「余命僅かな『協力者』が志願してくれたんじゃないか」という意見も見ました。
私は、ひょっとして渉太に最後の『ゲーム』を持ちかけたんじゃないかなと思いました。
あらかじめ航平と匠は殺害しておいて、真っ黒に遺体を焼いてアウディに乗せてしまいます。
渉太に運転させて、あらかじめブレーキや何かは細工しておきます。
そして、「これで逃げ切れたらそのまま帰っていい」「警察に駆け込むなり何なり好きにすればいい」などと挑発して、高速を運転させたんじゃないかなと思いました。
どうでしょうか…?
なんとなくですが、『模倣犯』のカズとヒロミが死んでしまったときのことを思い出していました。

今回思ったのは、真千代は意外と義理がたい人物なのか、ということです。
それこそ、道哉くんが亡くなってからここに至るまでに結構間が開いたのは、たまたまおばあさんの所を訪ねて話を聞いて、そこから計画を練って人を集めて今回の事件を起こしたということなんでしょうか?
この事件、ベースは例の有名大学サークルのあの事件ですよね。
実際にあった事件を報道で聞いた時も、本当に震えるぐらい怒りがこみ上げてきたし、ものすごく戦慄しました。
ちょうど私が社会人になるあたりで、横浜で一人暮らしをすることが決まっていたので、本当に怖かったのを覚えています。
被害にあった女性たちは、どれほどつらい思いをしただろうかと思うと、悲しみと怒りでグチャグチャになりますね。
そして、今でもこういうことはきっとどこかで起きてるんでしょうね。
もっと若年化している可能性もありますね。
本当に恐ろしいことです。
渉太が、その完全な『ホモソーシャル』の枠組みの中で、「別にそういう行為が好きなわけじゃないけど、盛り上げる・しらけさせたくないという動機で参加していた」というのが、まさに『同志少女よ、敵を撃て』のラストと同じ構図だなと思いました。

最後の方で「被害女性の名前を羅列されていても、誰1人の顔も浮かばない」というところが、本当に何の感情も湧いてなかったんだろうなっていう感じです。
なんでこうなってしまうんでしょうか?
自分だって『女性』から生まれてきたはずなのに、自分の母親や女性のきょうだいや娘が同じことをされたら絶対怒り狂うはずなのに、どうしてこんなに女性を粗末に扱えるんですかね。
本当に申し訳ないですけど、彼らに更生の余地はなさそうですし、このまま生還できたとしても、流す涙は『懺悔』ではなく『発覚してしまったことに対する悔しさ』なんだろうなと思ってしまいます。
前回の『殺人依存症』と比べれば、読後は比較的爽やかというか…まぁ、表現は全然合っていないと思いますが。
以前読んだ中山七里さんの『祝祭のハングマン』なんかの話を思いすような感じでした。

年若い子たちばかりが死んでしまっていたから、本当には悲しむべきだとは思うんですが…。
まぁ、今回は大変申し訳ないんですが…「ざまあみろ」と思ってしまいました。
もちろん、読み始めてまだ話を完全には思い出してない頃は、「かわいそうだな」「指、痛いだろうな」と思いましたが、そういう気持ちもどんどん薄れていってしまいました。
『鬼畜の所業』というやつだと思いました。
もちろん、真千代がやったこともですけど、この子達がやったことも、です。
『心の殺人』ですね。
…うちにも息子がいるので、『加害者側』にならないように、ちゃんと心もに育てていきたいと思います。
『ホモソーシャル』というのは、本当に厄介ですね。
それこそあと1日捜査が伸びていたら、ひょっとしたら『全面解決』にまでこぎつけられたのかもしれないと思うと…警察側にとってはとても残念な展開でしたね。
…にしても、本当に警視庁と神奈川県警って、そこまでバチバチの仲なんですかね?
「箱根駅伝で毎年協力してるじゃん」と、こたつでみかんを食べながら思うわけなんですが。
実際の捜査でも、こんな感じで徐々に徐々に明らかになっていくものなんでしょうか?
今回のケースでは、ひょっとしたら誰かがビデオで保管してたかもしれないし、そういう証拠が序盤の方でポンって出てくるようなことも、きっとありますよね。
そういう事件は『楽勝』ムードになっちゃうんですかね。
RPG のように、敵が少しずつ強くなっていくみたいな感じで、少しずつ重要なことが明かされていく方がドラマチックではありますけど、実際の捜査はどんな感じなんでしょうか。
刑事さんの知り合い、いないんですよねー…。
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