染井為人さんの『正義の申し子』を読みました。
染井さんの小説は『悪い夏』以来です。

いやー、なんかすごい話でした。
私の Kindle のサジェストの画面で、いつも『震える天秤』とともに並んで表示されていたんです。
なので、勝手に「2つ合わせて、なんか弁護士かなにかの話かな」みたいに思っていたんですけど、まったく違ってびっくりしたねー。
先日読んだ『悪い夏』の映画版キャッチコピーが「クズとワルしかでてこない」だったんですが、「『悪い夏』よりもこっちの方が、そのキャッチコピー合ってるよな…」って思ってしまいました(笑)。
いやー、びっくりです。
本当にクズとワルばっかりでてきました。
といっても、最後は大団円でしたし、よかったなと。
この小説の発売は2017年、文庫化が2021年。
それを2025年現在読んでいると、正直また『隔世の感』があるというか。
染井さんがあとがきを書いた時よりも、もっと時代が進んだ感じがしますね。
それこそ「ちょっと懐かしい」みたいになってしまってるのがすごいです。
本当に、世の中の流れって早いですね。
最近特に、ですが。
いわゆる『迷惑系 YouTuber』的な感じの主人公のジョンもしくは純と、大阪で架空請求のバイトをしている鉄平を中心に回っていく話です。
この2人が直接会うところまでもなかなかおもしろいし、直接対決は…まーなんだかちょっと肩透かしな感じでしぼんじゃいましたけど(わざとだと思います)、その後の『共闘』も胸熱でしたねー。
そして、エンディング。
…ちょっと泣いてしまいましたよ。
やるなーと思いました。
ジョンの妹・蘭子を含む『仲良し3人組』のうち、1人の彼氏が大学生、しかも医大生のボンボン。
…ということで、なんとなく先が読めてしまったんですが、まさにそういう胸糞悪い展開になりつつありました。
最近、リアルでもそんな話ばっかりで、本当にお腹の中がぐるぐるしていましたね…。
「多分、助けに行く展開になるんだろうな」とは思いましたが、といっても果たしてどうやって行くのか!? と。
だって、物理的に無理じゃないですか…。
それがなるほど、こういう方法かと。
もうむちゃくちゃだなと思いました(笑)。
でも、ちゃんと結局目的は達成できました。
さらに、頼んでおいた警察も来てくれたわけで、本当に上々だったんじゃないかなと思います。
物語とはいえ、若い女の子が傷つく展開は嫌ですからね。
まぁ、ラストで萌子が持っている『チケット』が、ちょっと哀愁を誘う感じでした。
萌子は多分、鉄平に会わない方がいいだろうなという感じはしますね…。
なんというか、『オリンピックの身代金』の島崎くんと良子ちゃんみたいな感じかなって思いました。

やっぱり、一瞬運命が交差しただけで、『一般人』と『あちら側の人』が長い間連れ添うのは無理ですよね。
でも、憧れる気持ちも、まぁわからなくもないです。
2回も助けてもらったわけですしね。
ラストでは、ジョン・鉄平・仲良し3人組・樋口のその後はわかりましたけど、肝心の西野や沙織、医大生たちのその後は書かれていませんでした。
まぁ、そこまで細かく書くのは蛇足なんでしょうけど…。
でも、どうなったのかはちょっと知りたい気持ちがありますねー。
どうか、きつっい鉄槌がくだされていますように。
特に、医大生たちは全員退学になっていてほしいなと思います。
果たして、今回の事件が、彼らにとって『何回目』だったのか、だとおもいますけど。
本当に胸糞悪いです。
手口が鮮やかすぎる。
それこそ、先日読んだ『監禁依存症』のようなことに発展しなければいいね、と思いますけど。

『悪い夏』に比べると後味がすごくすっきりしていたので、そういう意味ではこちらの方が好みかもしれないですねー。
おもしろかったです。
最後の最後の、結末も良かったです。
Kindle Unlimited で読みました。
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