宮部みゆきさんの『模倣犯 3』を読みました。
先日の『模倣犯 2』の続刊です。
本当にカズが哀れでしかたない物語です。
カズや鞠子のように真面目に生きてきた人間が、どうしてこんな天文学的な確率でひどい犯罪に巻き込まれなければいけないんでしょうか…。
本当に理不尽だなと思います。
カズとヒロミはとっても仲のいい幼馴染で、確かにたまに喧嘩はしたかもしれないけど、それは彼らの世界の中でちゃんと均衡が取れたものだったんだと思います。
外部からの無理やりの干渉がなければ、このまま2人でいい幼なじみとして成長して、大人になって、やがて穏やかに老後を迎えただろうにと思います。
ピースさえ転校してこなければ。
まさに神様のいたずらとしか言いようがないんでしょうかね…。
死ぬ直前まで、その最後の瞬間まで、ヒロミに語り続けていたカズが。
優しくて勇気があって正義感の強いカズが、幸せになれない世の中なんて。
本当に辛いです。
カズは確かにちょっとどんくさくて、ちょっと太めで冴えなかったかもしれないけど、きっとそこをいいと思ってくれる女性にいつかを巡り合えただろうに。
…これから2巻分でカズの汚名は雪がれますが、そこまでの道程で残された家族がすごく辛い思いをするのを知っているので、読み進めるの辛いですね…。
でも、ここまで来たら、それを見届けるまではやめられないですね。
ヒロミに関しては、やっぱり私が思っていたよりも両親がひどくて、かわいそうな生い立ちだったなと思いました。
もしかして、カズが先生に視覚障害のことを見抜いてもらえたとき、先生に「ヒロミも辛い目にあってるんだ」って一言ちょっと漏らしてあげていれば…運命が少し変わったかもしれないなと思ってしまいます。
もちろんカズのせいではないし、タラレバなんて言っても仕方ないんですけどね。
でも、もうすでにその頃にはピースとつるんでいたから、ダメだったかもしれません。
死に向かってのドライブの最中、もう少しだけ早くカズがヒロミに踏み込んでいたら、そのまま練馬の自宅に帰れたのかもしれないですね…。
そう思うと、本当に悲しい気持ちでいっぱいになってしまいます。
2人が、少なくてもカズが、救われる道はなかったのかな…?
被害者の女性たちはもちろんですが、本当に本当に気まぐれで巻き込まれた木村さん。
彼の家族も、これからずっと苦しむんだろうなと思うとやりきれないです。
真一くんの方もなんだかごちゃごちゃしてて大変そうです。
めぐみは本当に自分勝手で、しかもそれが自分勝手な行いだということをまったく分かっていないというところが、また自分勝手ですね。
「こんな人間いるんだな」って呆れてしまいます。
甘やかされて育った結果なんでしょうか。
父親があんなことをしなかったら、自分勝手を許してくれる男性と結婚して幸せに暮らしていたんでしょうか。
『ソロモンの偽証』の垣内美奈絵を思い出します。
ただ、美奈絵は最後は改心しました、多分。
めぐみは…。
彼女に自分が自分勝手だって、わからせる方法ってあるんですかね…。
難しいですね。
犯罪って何で起きるんでしょうか。
双方がいきりたってて衝突しあった事件とかならまだわかりますが、この事件みたいに完全に通り魔的な犯罪は、起きないでほしいなと心から思います。
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