幸村百理男さんの『東大理三の悪魔』を読みました。
幸村さんの小説は初めてです。
正直いうと、『なんだかよくわからないけどすごく不思議な話』でした。
別に誰かが死ぬわけでもなく、なにかものすごい事件が起きたわけでもないんですが、まさに『天才と秀才の邂逅』というサブタイトル通りの話だったな、と思いました。
主人公・ノボルの側からの物語を見ているので、かわいい『彼女』になんとか接触を図ろうと涙ぐましい努力を図ろうとしている彼の姿を追いかけることになりますが、実は彼女の方も接触を図りたかったとわかって、ちょっとくすぐったい気持ちになりました。
しかし。
真っ暗い部屋の中で1日中過ごすとか、半狂乱状態で一晩中苦しむとか、なんだかとてもかわいそうだなと。
人知を超えた知能を持つとそうなってしまうのでしょうか?
大学のお友達と話している内容とかもなんだか全然わかんないし、改めて『東大理三』というのは異次元なんだなと思いました。
みんな、こんな会話している人たちばかりなんでしょうか…。
『IQ が30違うと会話が成り立たない』なんてまことしやかに言われていますが、あながち嘘じゃないんですかね…。
私のほうが発狂しそうです。
「間宮と接触していると自分の知識も高められる」というところが、なんだかちょっとだけ『アルジャーノンに花束を』を思い出してしまいました。
彼女がいなくなってしまったらもとに戻ってしまった、というところも、なんだか。
後半はずっと聖書の解釈の話で、一次元二次元三次元となんだかまた『三体』を思い出した感じです。
話の内容がどんどん私の知能の範囲からかけ離れていくところなんかもね…。
最後、間宮が英語脳になってしまって、ノボルにつらく当たったところは私もつらかったですね。
あんなに彼女のために尽くしたのに、この仕打ちか…と。
でも、最後の最後で少しだけ情を見せてくれたところに、希望を感じました。
どうなんでしょう、この先ずっと日本語を忘れて、そっち側の人間になってしまうのか?
何かのきっかけで、元の『彼』もしくは『彼女』に戻るのか?
…まぁ、このままなんだろうな…とも思いますが、ノボルにとっても間宮にとってもいい未来が待っているといいな、と思います。
しかし、1997年、今から30年近く前か…。
私はまだ高校生でした。
こんなにパカパカたばこを吸う世の中だったんですかねー。
私は特に女子高だったからかもしれませんが、喫煙者とはほとんど縁がなくて。
ヘビースモーカーの父はずっと単身赴任でしたし。
まぁ、大学に入学して、「たばこ吸う人って結構いるんだなー」と思ったのは覚えているので、そういう時代だったんですかね。
樺沢先生も「たばこの害がきちんと立証されるまで50年くらいかかっている」とおっしゃっていたし。
とにもかくにも、不思議なお話でした。
こういう難しいことを日常的に考えられるような賢い人達が、日本を正しい方向へ導いてくれるといいな…と思うのでした。
この間の都知事選を経て、余計にそう思いました。
Kindle Unlimited で読みました。
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