本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません 短編集3

読んだ本

香月美夜さんの『本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません 短編集3』を読みました。
香月さんの小説は『本好きの下剋上 ハンネローレの貴族院五年生I』以来です。

本好きの下剋上 ハンネローレの貴族院五年生I
香月美夜さんの『本好きの下剋上 ハンネローレの貴族院五年生I』を読みました。香月さんの小説は『本好きの下剋上 33巻』以来です。今は個人的に『宮部みゆき祭 in Audible』の開催中だったんですが、本好きの下剋上の新刊がでたとあって、差...

短編集は3年弱ぶりなんですねー。
ハンネローレの話を4ヶ月前に読んでいたのでそんな気はしていなかったんですが、本編が終了してもう1年…。
早いなー。
でも、まだ続きは出るみたいなので、嬉しいです。

今回は21個も短編が入っていて、かなりボリューミーでした。
もちろん、今回もとってもおもしろかったです。
特におもしろかったのをいくつかピックアップして感想を書きます。

一番最初のベンノさんの話。
元恋人のリーゼのことは、存在自体は知っていましたが…。
リーゼが『身食い』だっていうこと、知らなかったです。
スルーしてたのかな…。
それを知って、ベンノさんはいつもマインをどんな風に見てたのかな、と思いました。
リーゼは身食いで長く生きていけなかったけど、マインはそれを自分の武器(?)にして、結果的にはアウブにまで成り上がったわけですしね。
それを見て、ベンノさんがマインを変に恨むような人じゃなくて良かったと思います。
もちろん、そういう人だからこそこうやって長い間パートナーとして一緒に歩んでいけるんでしょうけど。
マインとリーゼを重ねて、それがいい方向に行って良かったケースなんだと思いました。
リーゼがもし生きていたら、今頃どんな風になっているかなーと、ちょっと想像してしまいます。

ハルトムート視点の話。
本編で、ハルトムートが実はローゼマインの『過去』をすべて知っていたとカミングアウトしてきたとき、本当にびっくりしました。
こいつ、そんなことまで調べたのか、と…。
まぁ、それでも「尊敬している」と言い切るあたり、本当に狂信者ですね。
でもやはりというか、フェルディナンドたちにはいろいろ釘を刺されていたんですねー。
確かに、このメンツから責められたら、命の危険を感じますよね…。
彼が落ち着いて、ちゃんと自分の分別というか役割を守って生きていけてよかったなと思います。
私、ローゼマインの側近の中では、結構ハルトムート好きなんですよね。
こういう変な人、見ているとおもしろいです。
でも、友達にはなりたくないですけどねー。

ルッツのお母さん、カルラ視点の話。
『カルラ』という存在は、正直あまり認識していなかったですけど、ここに書かれているのは『息子を思う母親の気持ち』でした。
すごく共感できるところもたくさんあるな、と思いました。
子供が4人もいて、しかも全員男の子で。
それぞれがいろんな成長を遂げて、しかも一番末っ子が一番出世しそうな感じになっちゃったから、いろいろ複雑な気持ちではあると思うんですけどねー。
やっぱり、どの子もみんな大切で大好きなんだと思います。
複雑なようでいて単純なこの気持ち、わかるような気がしました。

エックハルト視点は、各表紙のメモにも書いてありましたが、罵詈雑言を垂れ流す様子が妙に人気だとのこと。
私も読んでいて、なんかスッとするところが何回もありました。
本当にバカ女ですからね…。
いろんな雑言があるなと、ちょっとボキャブラリーの豊富さにびっくりしたというのもありますね。
読んでいた当時は、「アイツ、後ろからぶった斬ってやれたらどれぐらいすっきりするかな…」という感じでした。
それが過ぎ去った今を知っているから、「もう少しで光が見えるからがんばって」と思えますけど、この頃は本当に大変だっただろうなと思います。

トゥーリ視点。
一番最後のルッツの言葉、なんかいいですねー。
この2人、ともに初恋に敗れて、なんか余り物みたいな感じにはなっちゃっていますが、この2人はほんと幸せになってほしいなって思っています。
『本好きの下剋上』を読み始めたときは、マインとルッツがずっとパートナーとして『幸せに』なっていくといいなって思いながら読んでいました。
でも、マインの魔力が増えすぎてしまって、それだとこの世界では添い遂げることができないというのを知ってからは、まぁ仕方ないんだなぁ…という感じでした。
トゥーリももちろんすごくいい子なので、是非ともルッツは幸せにしてあげて欲しいなと思います。
とりあえずちょうどいい組み合わせだからくっつけられたのかもしれないですが、ふたりとも仲良く末永く暮らしていってほしいです。

自分としては意外だったんですが、トラオクヴァール視点も読んでよかったなと思いました。
最初は王族は本当嫌いで、なんて自分勝手な人たちばっかりなんだろうと思っていました。
彼らにも彼らなりのつらさがあって、やっぱり『持たざるもの』が治めなければいけない苦労が書かれていて、大変だったんだなぁと改めて思いました。
ツェントからアウブになったことで、自分の領地を自分で満たせることがわかって、本当に嬉しかっただろうなって。
もっと早くからその喜びを知っていたら、もうちょっと精力的に生きられたのかもしれないなと思うと、かわいそうだなと思えました。
挿絵のトラオクヴァールがちょっと年配な感じだったので…。
辛かったんでしょうね、ちょっと切なくなりました。

ダームエル視点。
やっぱり、マインの過去を知っている存在として、自分の恋路を犠牲にしてもローゼマインに仕え続けた側近として、彼には深い思い入れがあります。
最初は「ダームエル様」なんて呼んでいたのにねー。
いろいろ、本当にいろいろありましたが、これからどうなるんでしょうかね。
まー、苦労した分幸せになってほしいので、フィリーネとうまくいくといいなと思っているんですが、そのあたりはどうなんでしょう?
相変わらず苦労している感じが伝わってきておもしろかったです。

いやー、登場人物が多くて…。
ちゃんとそれぞれに個性があって生き生きしているのが『本好きの下剋上』のいいところなんですが、いかんせん覚えられなくなってきている…。
とりあえず、いつかまた全部読み直したいと思っているところです。
でもまぁ、『今』じゃない…。
まだ次が出るような段階での再読ではなく、全部終わって半年くらい置いたら再読しようと心に決めました。
さて、それはいつになるんでしょうねぇ…。
もちろん、末永く『本好きの下剋上』が楽しめるのは嬉しいんですけどね。

[AD]本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません 短編集3
さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

さちこをフォローする
読んだ本
さちこをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました