『チ。-地球の運動について-』の魚豊さん原作の映画『ひゃくえむ。』を見てきました。
『チ。-地球の運動について-』は『アメトーーク!』のマンガ大好き芸人で知って(多分)、全巻購入しました。
なんだか本当にすごい話で、サクッと人が殺されていく様と、その時代や文化などの背景、当時の信仰や信念みたいなものが混ざって、どんどん読み進めてしまう漫画でした。
ちょっと、いえ、かなり怖かったです、正直。
で、Kindle Unlimited で同じ魚豊さんの『ようこそ! FACT(東京S区第二支部)へ』の1巻を読んだんですが、すみませんこっちはちょっと馴染めずに断念してしまいました。
なので、『ひゃくえむ。』はどうかな…と、ドキドキしながら見に行きました。
私は中・高と6年間、陸上をやってきました。
中学は女子100M ハードル(以下、100MH)で県1位、東北大会7位でした。
(中学生は標準記録突破しないと全中に行けない、私は突破していない)
高校は、3年生のときに100MH で県3位、東北大会4位、インターハイ予選落ち。
4×100M リレーで2年生のときにインターハイ予選落ちです。
高校・大学ともに推薦入試ではなく一般入試で入学しています。
要するに、話のネタにできるレベルには陸上をやってきて、内申点は加点された(と思う)けど推薦では使ってなくて、将来陸上で生計を立てることはまったく考えたことがない、という感じでした。
映画は、ときに笑えて、大いに泣いて、という感じで鑑賞しました。
おもしろかったです。
主人公・トガシの小学生のときの「大抵のことは、100M を誰よりも早く走れば全部解決する」という信念、聞いたときは笑ってしまいましたが、一通り笑い終えた後で「そうだなー」と妙に納得してしまいました。
まぁ、足が速くても、体育以外には関係ないんですけど。
でも、やっぱり私にとって、大きな自信になったのは間違いなかったです。
「足が速い」ことでいろんな人から褒めてもらえました。
「足が速い」ということが、当時の自分のアイデンティティの大部分を占めていたような気がします。
「足が速い」おかげでいろんな人に出会うことができましたし、大会でいろんなところに行かせてもらいました。
たまに考えるんですけど、もう一度タイムマシンで過去に戻れたとしても、やっぱり陸上をやると思いますし、記憶がない状態だったとしてもやるんじゃないかな、と思います。
別に「足が速い」ということでなくても、自分の拠り所とできるスキルがあるのはきっと自信につながるんだろうな、と思います。
ただ…河原で練習したことはないです、怪我しそうなので…。
小宮が転勤してきて、トガシが一緒に練習に付き合って、とっても楽しかっただろうな、と。
陸上の練習ってつまらないんですよ、多分。
私は、別の部活は仮入部程度しかしたことがないのであまりわからないんですが、陸上の練習ってずーーーーーっと同じことばっかりやっているので、多分つまらないんじゃないかなと思います。
高校のときに、他の部活から入部してきた子に聞いたら「変化がない」と言っていました。
まー、ボールがいろんなところから飛んできたり…みたいなことはないですからね…。
でも、なんかやっているうちに速く走れるようになって、本数多くやったりしてもバテることが少なくなったりして、少しずつタイムにも現れるようになると、ちょっと楽しくなってくるんですけどね。
映画で、高校の先輩が「陸上、いいよね」みたいなことを言っていましたが、そんな会話を部活の仲間としたことはなく…。
練習メニューがしんどくて、別のこと考えながらじゃないとこなせなかったな…と。
なので、熱く語り合う仲間、みたいな存在はいなかったので、羨ましくなりました。
熱く語り合うのは照れくさいというのがあったので…本当は語り合いたかったのかな。
話がちょっと前後しますが、トガシが高校に入って陸上部に入らなかったとき、「気持ちはわかる」と思いました。
私も、高2の秋の新人選で全然結果が出なくて、冬季練習前に辞めようと思っていました。
記録がぱたっと伸びなくなるとしんどいんですよね。
陸上だと、しばしばそういう時期があるので、そこで耐えられるか辞めちゃうか…という感じでしょうね。
でも、私は、結果としてやめなくてよかったなーと思っています。
トガシも、いろいろあったけど続けられてよかった。
高校卒業後のトガシについては、私にとって知らない世界でした。
いやー、しんどいですね…。
どんなスポーツでもそうなんだと思うんですが、『怪我』は必ずついてきいますよね。
私は、多分最後の東北大会の決勝のときに肉離れをして、そのときはテンションが上がりまくっていたのであんまり痛くなかったんですが、次の日はほとんど走れませんでした。
(そのせいで100M の予選は棄権しましたし、リレーも IH 行けませんでしたね…)
人生初の肉離れ、めちゃくちゃ痛かったんですよ…。
最後だったし「もういいかな」みたいな感じになっちゃったのも事実です。
大学に行って続けるつもりもなかったので。
でも、その先も走り続けるのであれば、怪我と向き合って行かないと行けないんですもんね…。
そのせいで契約を打ち切られてしまったり、自分の行く先が見えなくなってしまったり。
胃のあたりがずしーんと来る感じがしますね…。
心配事があるとすぐ寝られなくなるタイプの私は、やっぱりそっちの方に行かなくて良かったと心から思ってしまいました。
やっぱり、高校生(大学生)までの『部活』と社会人になってからそれを続けることとは、まったく違うんだなと。
まぁ、そんな引き合いもなかったですけど。
しかし、びっくりするほど女っ気のない物語でしたね…。
『男女混合リレー』には多少驚きましたが、女っ気はそれくらいでしたね…。
(私の時代にそんな種目はありませんでした。それから、うちの高校は私の時代は女子高でした)
物語最後の方で、大会に行くときもひとり、という感じでした。
この物語の趣旨とは外れてしまうかもしれないですが、トガシに妻や子供がいたら、なんというか彼の心理的な部分を守ってくれそうな感じがしましたね…。
まぁ、「この話は、そういう話ではない」的な感じですし、像がぶれそうだから敢えてそういうエピソードがなかったのかな、と思いましたけど。
あと、スピーチで変なことしゃべる人、多くないですか…。
高校のときに壇上であんなこと言う人見たら、呼吸困難を起こしてしまう自信があります。
ほら、あの頃ってなんでも笑えちゃいますし。
みんな真面目に聞いていて偉いな…と思いました。
また話が少しズレますけど、最近はバトンパスはやっぱりアンダーが主流なんですね。
先日の世界陸上でもそうでしたもんねー。
バリバリのオーバーハンドパス世代のオバハンとしては、ちょっとさみしいです。
オーバーだと、後ろの人からグッと押してもらえる感覚があって、多分タイム的には何の影響もないんでしょうけど、感覚的にすごく力をもらえる気がするんですよね。
ただ、中学のときの同級生男子の400MR チームは、当時からアンダーでした。
バトンパスがめちゃくちゃ正確で、「職人かな?」と思っていたほどです。
まぁ、トータルではやっぱりアンダーのほうがいいってことなんでしょうね。
腕を挙げたまま走る練習とか、手首がちゃんと下を向くように壁の前に立って手を出す練習をするとか、今はもうしないのかー。
しかし。
最後のあの終わり方はずるい…。
すごくずるい…。
まぁでも、あの終わり方にしてくれてありがとう、という気持ちも強いんですよね。
すごいなぁと思いました。
そして、エンドロールで流れる『Official髭男dism』さんの曲。
私は流行りの曲はあまり聞かないので、お名前くらいしか存じ上げなかったんですが、これはかなりグッと来ました。
あの終わり方の後にこの曲流しちゃだめでしょ…。
エンドロールの間はずっと泣いていました。
原作コミックは購入したんですが、まだ読んでいません。
「映画の感想を終えてから読もう」と思っていたので、これから読みます。
どうやら結構違うらしいと聞いたので、それも含めて楽しみです。
久しぶりに、競技場の感覚、スタブロの感覚、雷管の音、スタート直前の一瞬の静寂なんかをドバっと思い出しました。
私は100MH がメインだったので、100M のスタートのときはいつも「コース(レーンではない時代)がさみしいな」と思っていたのも思い出しました。
やっぱり、なんだかんだ言って陸上が大好きだったってことですかね。
映画、とてもおもしろかったです。
ありがとうございました。



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