教場0 刑事指導官・風間公親

読んだ本

長岡弘樹さんの『教場0 刑事指導官・風間公親』を読みました。
先日の『教場2』の続刊です。

『教場0』というタイトルから、いわゆる『エピソード0』、『教場シリーズ』の最初の話のようです。
…それに気付けなかったので、「急に異動になったのかな?」と混乱していました。
シリーズ1作目『教場』の前日譚のようですね。

今回も連作短編集となっていて、6つの話が入っていました。
ただ、今までと違うところもあります。
前回までは警察学校の同期の中で1回ずつフォーカスされる人物が違った、という形だったんですが、今回は毎回『生徒』が違いました。
『風間道場』と呼ばれるこの県警独自のシステムで、(ほぼ)新人を1人引き抜いて風間さんに付けて、マンツーマンレッスンを受けられるみたいです。
…端から見るととても羨ましい制度ですが、当事者はめちゃくちゃストレスでしょうね…。

1つ目は『仮面の軌跡』。
これは、本当によくわかりませんでした。
わからなすぎて「私が悪いのかな」と思っていました。
ネットで検索したところ、どうやらこの話はドラマにもなったらしいんですが、やっぱりみなさん思っていたようでした。
「一筆書きでは書けないよな」と。
…良かった、私だけじゃなかった…!
検索ではドラマで使用された地図がヒットして、それでようやくどういう道を通ったかがわかりました。

日中弓 一筆書き - Google 検索

私の認識では、『一筆書き』というのは、『同じ道を【 通らない 】でその図形を描く』という行為だったので、どうやったって『日中弓』という文字は『一筆書き』で書けないでしょう…と思っていたんです。
そうではなく、『同じ道を【 通ってもいい 】から、一度も紙からペンを離さないで描く』ということだったんですね。
…というか、そもそも殺される前にタクシーを降りればいいし、仮面を取って運転手に顔を見せればいいのでは…?
そもそも、この道を選んだということは、今日殺されるかもってうすうす思っていたから、ですよね?
だったら、誰かに言付けておくとか、そういうことはできなかったの…?
いろいろお戯れがすぎるのでは…? と思ってしまいました(笑)。
おもしろかったんですが、いろいろ疑問が湧いてしまう話でした。

2つ目は『三枚の画廊の絵』
これはねー、息子がかわいそうだなと思いました。
自分の本当の父親が、自分の義理の父親を殺した、ということですよね。
まぁ、絵の才能があるからそれを活かしてほしいと望む気持ちはわかります。
でも、『歯学部』に志望鞍替えして、そこでそれなりにやっていけていたのであれば、その道も悪くなかったのでは…と。
こういうことになってしまって、結局この息子にはいろんなものを背負わせる事になってしまったわけですもんね。
伊坂幸太郎さんの『あるキング』みたいですが、「人殺しの息子がプロ野球選手になれるのか」という感じですよね…。

塩田武士さんの『存在のすべてを』でもありましたが、美術の世界もいろいろコネとか必要ですし、これから大変だろうな…と思ってしまいます。

結局、『本当の父親』と同じ美術の道に行くことを決意しましたが、それが果たして本当に良かったことなのか…。
『趣味でやる』というのも1つの手ではあったと思うですが…。
まぁ、彼には「その決断が間違っていなかった」という結論を出せるよう、がんばっていってほしいと思います。
結局は『DNA 鑑定してしまえば一発で犯人が分かった』という話なのかもしれないですが、ここに至るまでの過程にぐっときました。
証拠も大事ですが、このような手法は『納得感』があります。

3つ目は『ブロンズの墓穴』。
凶器の想像はまったくついていかったです…。
でも、証拠が残っている『場所』は予想がつきました。
「多分そうなんだろうな」で、見事に的中しました!
私はもちろん殺人事件を起こしたことがないからわからないですが、こういうときって悪いことが変に重なったりしてしまいますよね…。
今の自分の環境がいろいろ大変なのは伝わってきましたが、『こういう方向』に労力を使うのではなく、『転校』とかは考えられなかったのかな…と思ってしまいます。
結局息子さんにも迷惑がかかってしまったわけですし。
お父さんがいないから、施設に行くことになっちゃったりするんでしょうか。
できる限り心安らかに暮らせるといいなと思います。

4つ目は『第四の終章』。
これはまったく違う方向に勝手に想像していました。
ひょっとして第一発見者にさせられた近所の男性にすり変わろうとしてるのかな、と。
なので、最初の『死体』はフェイクで、油断させた隙に殺したのでは…? と。
まー、全然違いましたね、勝手な早とちりでした(笑)。
首吊死体の偽装は、『金田一少年の事件簿』の小説版『鬼火島殺人事件』のにも書かれていたので、想像できました。

まぁ、『身長が伸びる』というのは…想像はしたくないしたくないですね…。

5つ目は『指輪のレクイエム』。
結果『感動的な話』みたいになっていましたが、これは結構ギリギリだったのでは…? という感じです。
ひょっとして、本人が頑として認めなければ、事故としてそのまま処理されてしまっていた、ということでしょうか…?
『良心の呵責』を突くしか方法がなかったってことですよね。
『証拠』は思わぬところで『消されて』しまっていたわけですし。
結局のところ、これがどれぐらいの罪に問われるものなんですかね。
何と言うか、犯人本人の心の重荷を取り除いてあげるためにも逮捕は必要なんだろうな、と思いました。
こういうケースでも、全然呵責を覚えない人間なのであれば、服役しても無駄なような気もしますしね…。

最後は『毒のある骸』。
てっきりその『事故』で亡くなってしまったのかと思いきや…生きていたんですね。
びっくりしました。
まぁ、結局殺されてしまったわけですけどね…。
「この県の事件にされたくない」というのは、すごい執念ですね。
仮に自分が同じ立場だとして、その瞬間にそんなこと考えて道を選べるかな、いや選べないだろうな…と思います。
…というか、風間さんの『目』の過去がここで明かされたわけですけど、こんな感じでさらっと終わっちゃうんだーと驚きました。
少なくとも1話分、いや、本1冊分くらいかけて語られるのかな、なんて思っていたもので、あっさりとしていてちょっとびっくりしています。
つか…ビジュアル的に…すごい…。
そして、胆力もすごい…。
いやー、風間さん、いろいろすごいです、本当に。

今回の小説には、解説がありました。
助かるー。
やっぱり、解説がある方がいろいろありがたいです。
以前読んだ中山七里さんの『作家刑事毒島の暴言』には、解説を書く書評家の方の苦労が描かれていましたが、本当に大変な仕事だと思います。

でも、解説があるとやっぱり内容がよく入ってくる…。
ここを読んで、ようやく「やっぱり『エピソード0』だったんだ!」と確信しました。
来年には映画も公開されますもんね。
楽しみですねー!

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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