少女

読んだ本

湊かなえさんの『少女』を読みました。
湊さんの小説は『残照の頂 続・山女日記』以来です。

ここ最近は、爽やかな湊かなえさんが続いていました。
でも、湊さんの初期の頃の作風である、いわゆる『イヤミス』もやっぱりいいですよね。
今回の『少女』は、久しぶりに気持ちの悪い(褒め言葉です)湊かなえ節が炸裂していて、なんだかとても楽しかったです。

相変わらず、狭い町の中の濃密な人間関係が描かれていました。
どこで誰と誰がつながっているかわからない気持ち悪さがあって、ゾクゾクしますね。
まぁ、援助交際とか女子高生を脅すとか、なかなか許されざることをしているファミリーもいて、そういう人たちにある意味ちゃんと罰が下ったと思えば、少し良かったような気もします。

Audible のレビューには「聞きにくい」「わかりにくい」という書き込みが結構ありました。
今回のナレーターは稲垣吾郎さんでした。
「吾郎ちゃんの滑舌悪いのかな…」と心配していたけど、そんなことはなかったように思います。
でも、今回の小説では2人の少女・由紀と敦子の視点が変わりながら進んでいく形式だったため、この2人の切り替えのタイミングがわからなくて、かなり混乱しました。
紙やKindleだと、空行が挟まれていたりなにか記号がついていたりしたんでしょうか?
でも、Audibleだとそういうのがなく、他の声優さんがよくやっているような声色を変えるということもなかったので、確かに「今は由紀視点なのか敦子視点なのか?」と混乱することがかなりありました。
もちろん、内容的にしばらく聞いていればどちらかはわかるんですけど…。
そうやってしばらく聞いていると、また視点が変わったりして、なかなか掴めないことが多かったです。
それがちょっともどかしかったかな。

今回ナレーションを担当した稲垣吾郎さんは、この作品が映画化されたときにおっさん・高雄孝夫を演じていたみたいです。
というか、映画化されていたとは知らなかった…。
由紀が本田翼ちゃん、敦子が山本美月さんだったみたいで、とても美しい二人だなぁとうっとり想像しました。
盗作ヤロウの小倉はアンジャッシュの児島さん。
雰囲気的には痩せててひょろりとしている人だと想像しながら聞いていたので、合っているけどなんだかかわいそうだなと思ってしまいました。

「人が死ぬ瞬間を見てみたい」というテーマの小説はたまにありますね。
それを、より『気持ち悪い感じ』でそれぞれが画策するのが、やっぱり湊かなえさんの小説っぽくて良かったです。
相変わらず、人の隠したい部分がさらけ出される展開でした。
知りたくないのに進めるのを止められない感じ。
話の流れが秀逸で、本当にさすがだなぁ、と唸ってしまいます。

紫織の最後は…。
さすがに嫌な想像しかできない展開ですね…。
若いんだからどうにか生きていってほしいと思うんですけど…どうでしょうか。
周りを舐めて生きていくのはダメですけど、だからといって悲しいことにはならないでほしい、と思ってしまいます。

Audible で読みました。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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