容疑者 X の献身

読んだ本

東野圭吾さんの『容疑者 X の献身』を読みました。

東野さんの小説は10代後半から読み始めて、多分ほぼほぼ読んでいたと思います。
ただ、私が本の購入を Kindle に統一してしまったので、Kindle で本を発売していない東野さんの小説から遠ざかってしまいました。
あ、でも『白鳥とコウモリ』のハードカバーが発売になった直後、新幹線に2時間ほど乗る用事があったので、購入して読みました。

この『容疑者 X の献身』も、今までに多分2回くらい読んだかな。映画も映画館で見ました。
映画はすっごくおもしろかったんですけど、見たときにすでに小説を読んでいたので、途中途中で展開がわかるから先に泣いちゃってたんですよ。
で、一緒に見に行ったのが、私の母と、なぜか前の夫…。あ、離婚前です。
母も東野さんが好きなので、「上京したときに一緒に見に行こう」って約束していたのですが、なんかしらんけど前夫もついてきたんですよね…。
いや、結婚してるんだから別についてきたっていいんですけど。
ただ、普段は小説とか全然読まない人だし、空気も何もかも全然読まない人だったので、私が泣いているのを見てずっとずっと茶化してきて。
ほんとーーーーーーーーーにウザかったのを覚えています。

…まー、このどーでもいい思い出まで思い出しちゃうのでちょっと避けていたんですが。
コロナ禍のときに東野さんの一部の作品が Kindle 化されたんですよね。その中にこの『容疑者 X の献身』も入っていました。
今回、なんか急に「久しぶりに読みたいな」と思い、購入に至りました。

先ほども書きましたが、2回も読んで、映画も見て、内容もほぼ全部覚えている小説を、なぜ読みたいと思うのか。
読み終えてから考えたんですけど、一番最後、石神さんと靖子さんが署内の通路で再会するシーンを読みたいからだったのかな、と思いました。
あのときの石神さんの咆哮というか慟哭というか、あのシーンをもう一度読みたいからかな、と思いました。
結果的に間違った方向に突き進んでしまいましたが、石神さんの靖子さんに対する愛情が深くて、本当に涙が出ます。
石神さんのような人こそ幸せになってほしいんですけどね。どうしてダメだったんでしょうね。
湯川先生に引けを取らないくらいの頭脳を持ち、でも環境や時勢に恵まれずにそれを発揮できなくて。それでも小さな幸せを噛み締めて生きてきたのにな。
花岡親子と共謀している間は、ひょっとして幸せだったのかも知れないですけど、それは終わりへのカウントダウンがされている中での束の間の幸せですからね…。
靖子さんたちのストーカーのフリをして、頭のおかしい人のフリをして、それで彼女たちが助かるならそれで良かったんですね。
本人のモノローグにもありました。「これは恩返しだと考えていた」と。
一生を費やしても、誰かのためにこんな境地に至れるか、私には自身がないです。
湯川先生のセリフにもありますが、素晴らしい頭脳をこんなことに使わなければいけなかったのは、本当に残念ですね…。

唯一の心配は、靖子さんの娘の美里ちゃんのことです。
まだ中学生ですし、自殺未遂もしてしまったことですし、この先どうなっちゃうのか心配です。
結果的に殺人に加担してしまいましたが、どれくらいの罪になるんでしょうか?
不幸な境遇とかが配慮されて、あまり大きな罪にならないといいな、と思いますが…。
お母さんは逮捕されて懲役刑になっちゃうだろうから、その間一人になってしまうのも心配です。
変な大人に漬け込まれず、まっすぐに育つといいな…。

にしても、何度読んでもすごい話ですね。
「幾何の問題に見せかけて、じつは関数の問題である」
1つのことを隠すために、もう1つまったく別の事件を用意する。
まったく関係のない日のアリバイを根掘り葉掘り聞かれたところで、本人にはなんのプレッシャーにもならずに堂々としていられる。
改めてすごい計画だと思いました。
まー、これを計画して実行してしまう石神さんはすごいし、これを解いてしまう湯川先生もすごいよねー。

映画もバッチリ見ているので、キャストは全部映画のもので想像しながら読んでいました。
なので、石神さんは堤真一さん、靖子さんは松雪泰子さんです。もちろん、湯川先生たちもドラマ・映画のキャストどおりで。
石神さんは「ダルマの石神」のあだ名の持ち主なので、堤さんとはちょっとイメージが重ならないこともありましたが、その辺りは脳内補完。堤さんは『やまとなでしこ』でも同じような背景の男性を演じていたので、たまにゴチャゴチャになってしまいますね(笑)。

にしても、やっぱり東野圭吾さんの小説はおもしろいですね。
もっとたくさん Kindle で出してくれないかなぁ…。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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