女の国会

読んだ本

新川帆立さんの『女の国会』を読みました。
新川さんの小説は『元彼の遺言状』以来です。

ラストの『真相』には本当に驚きました。
確かに違和感はところどころに散りばめられていました。
なんか、文章がすごく幼稚な感じがするし、『日本の』総理大臣という言葉のチョイスにもちょっとひっかかりましたし。
『女』を使うことを厭わなかった『お嬢先生』が『性同一性障害』で悩んでいる、というイメージがまったく湧かなくて。
さらに、顕造の殺害も全然繋がらなくて、「どういうこと…?」とずっとモヤモヤしていました。
本当最後で、なんだかスカッと霧が晴れたような感じがしました。
そして、それに対して高月さんの下した『結論』、それもなんだかちょっとすっとしました。

ただ、高月さんが国民党に移るというのは…なんかすごいな、と思ってしまいます。
直前まで民政党の候補者の応援演説をしまくっていて、その間橋さんがようやく受かった直後じゃないですか…。
私が間橋さんだったらなんか「はしご外された…?」って思っちゃうかも、と。
政治家だったらそんなことは思わないものなんでしょうか?
でもまぁ、背景を知ればまあ納得…はしますけど、やっぱりそういうところって国民には見えないですよね。
だから、唐突に離党という報道が流れるのかな、なんてぼんやりと考えました。

全体としてははすごくおもしろかったんですけど…。
やっぱり、女性が虐げられてるというか、女性が女性であるために攻撃されているシーンを見ると、やっぱりいい気持ちはしないです。
そして、それは小説の中だけの出来事ではない、というのが分かっているので、それもモヤモヤする感じです。
私自身は日常生活で、女であることで責められたり、そこを攻撃されたりという人生は、今までほぼ送ってきていないです。
それでも、こういう内容を見るとやっぱり嫌だなと思いますし、「なんで性別なんてあるのかなー」なんて考えたりもします。
でも、こんな風に男性と競い合って仕事をしている人たちは、常に毎日毎秒そういう思いを感じながら生きているんだなと思うと、本当に頭が下がります。

国会議員の高月さん、その議員秘書である沢村さん。
この2人は、このままがんばって国の中枢に食い込んでほしいなと思いますね。
今回当選した間橋さんも、もう高月さんとは政党は離れてしまいましたけど、それでも必要なところは協力してがんばっていってほしいです。
最後に新聞記者の和田山さん。
彼女の仕事もとても大変ですし、しかもマスコミの人ですからそういう方面でも叩かれることはあると思いますが、『正しい報道』だったらもちろんウェルカムなんです。
だから、がんばって欲しいなと思います。
こういう人生は、『自分では送らない人生』ですし、仮に次生まれ変わったとしても送らないと思いますが、こうやってがんばってくれている人がいることは本当にありがたいですし、忘れないようにしたいです。

SNS の誹謗中傷とか…嫌ですねー…。
本当に、なんでそんなことするんでしょうね…。
それから、選挙の妨害で『まったく同じ名前の候補者を立てる』というのには、本当にびっくりしました。
私はこの本を読んで初めて知った方法だったんですが…つい先日、同じようなことが起きたのを見て、またまたびっくり。
本当に、こんなことあるんだ…と驚きました。
物語の中では、政党同士の裏の駆け引きみたいなのも透けて見えて、本当にヘドが出る思いでした。
正しいことを正しくしてるだけでは救われない、そういうことってたくさんあるんだなーと。

高月さんが芸姑さんのようなことをしたり、「おっぱい触っていい?」って言われたり。
いやー、「死ねよ」って思いますよねー、自分のでも触ってろよ、と。
そして、「必要ない」「厄介だ」「邪魔だ」と思われたら、こんな風に簡単に消されてしまう。
「フィクションでしょ」って笑い飛ばすこともできますが、以前読んだ太田愛さんの「犯罪者」他、いろんな小説に同じようなことが書かれてると、本当にフィクションなのかな…と怖くなってしまいます。

だからこそ、『そちらの方面』には近づきたくないな、と思ってしまいますけどね…。
本当に頭のいい人たちが、ちゃんと自分の正義や想いを貫いてやってほしいなと思うんですけど…。
長い間のしがらみとか、自分やお世話になった人の利権とか、そういうものでガチガチに固められてしまって、もうにっちもさっちもいかなくなっちゃうんだろうな…と。
「気の毒だな」とも思いますけど「ふざけんな」とも思います。
こういうこと考え始めると、いろいろ複雑すぎて難しすぎて、思考を放棄したくなってしまいます…。
どうしたらいいんでしょうねー…。

そして。
間橋さんの弁当、豪華すぎるよ…。
この人忙しいのに、こんなに素敵な弁当作るのね…。
すごいなー、と思うと同時に、私にはできない…と落ち込んでしまいました(笑)。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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