アンデシュ・ハンセンさんの『多動脳 ADHD の真実』を読みました。
アンデシュ・ハンセンさんの本は『最強脳』以来です。
アンデシュ・ハンセン先生の新しい本です。
2025年4月発売とのことで、比較的新しい本のようでした。
相変わらず軽快な語り口で、分かりやすく説明してくれていて、とてもおもしろかったです。
私の中学1年になる息子は『発達障害グレーゾーン』との診断(?)が出ています。
私は、いまだに息子が ADHD 傾向が強いのか、ASD 傾向が強いのか、どっちも強いのか、そのあたりのことをよくわかっていないんですよね…。
今の小児精神科の先生は、もう6年くらいお世話になっているんですが、そのへんのことはなんとなくぼかす感じです。
精神科医の樺沢先生がいつも「名医は診断をぼかす」的なことを YouTube でおっしゃっているので、私もそんなに無理には聞き出そうとしていない、という感じではあります。
今回の本は『ADHD の真実』という副題がついているので、主に ADHD についての本です。
とりあえずはなにかの役に立つだろうし、そうじゃなくてもアンデシュ・ハンセン先生の本はおもしろいので読んでみようと思いました。
ADHD の人の傾向などがいろいろ書いてありました。
なるほどなと思ったのは、『ADHD 傾向が強い人は全員情熱を見つけ出す努力をするとよいと思う』というところですね。
そもそも、ADHD というのはドーパミンが出にくく、常に自分にドーパミンを出させる『何か』を求めて周りに気を散らす、というのが特徴だということです。
ドーパミンを自分に与えてくれるもの、強い興味を引くものを見つけて、そこを突き詰めることができれば、ADHD の人の人生に幸福感が多くなる、という理屈のようです。
…まぁ、でもなかなか難しいとは思います。
いわゆる『定型』と言われる人たちだって、そういう情熱を見つけてそこに打ち込める人はものすごく限られていますもんね。
まぁ、樺沢先生がよくおっしゃっている『ライスワーク・ライクワーク・ライフワーク』的な考えということなんでしょうし、仕事がつまらなくてもアフターファイブが充実していればそれで良し、というのも1つの考えではありますからね。
あとは、『常にご褒美が必要』というのも、なるほどなと思いました。
ドーパミンが出やすいものを、こちら側からも小出しに小出しにご褒美として提供し続けることができれば、ADHD の人の集中力は比較的長く続くんじゃないか、と。
それはなるほどなと思いましたねー。
アンデシュ・ハンセン先生はご自身を「教育の専門家ではない」と前置きしつつも、ADHD の人がどのようにすれば学校の学習環境に適用できるのか、というまとめを本書に付けてくださっていました。
それがとても分かりやすくて良かったんです。
- 課題は明確で内容を限定したものにする
- 一度にいくつも指示を与えずに1つずつ与える
- 分かりやすいフィードバックを継続的に与える
- 長い休憩1回よりも短い休憩を何度か設ける
- 毎日体育ができるようにする
などです。
参考にしていきたいです。
樺沢先生も、『発達障害傾向』というのはどんな人間にも多少はあって、それが『グラデーション』・『スペクトラム』となっているといつもおっしゃっています。
この本でも例に出されていたのは、『HIV 患者かどうかというのは明確に2択しかないが、ADHD というのはスペクトラムだから、非常に強く出てしまっている人とちょっとしか出ていない人、真ん中の人というようにグラデーションになっている』と。
それが、樺沢先生が言うところの『RPG のステータス』のようなものなんですね。
力がすごく強い人・弱い人、魔力がすごく強い人・弱い人みたいな感じでなので、その人の特性に合わせた行動・将来の選択などをしていけば、満足のいく人生が送れるということらしいです。
その他にも『人類の数%が ADHD の人で、そういう人がいたからこそ人類はアフリカから遠くに行こうと思えた』というところはおもしろかったですね。
集団の構成員の全員が全員 ADHD 傾向の強い人だったら、多分収集がつかなくなってしまって大変なんでしょうけど、ADHD の人が集団の中に数人いることで、問題解決能力が飛躍的にアップするんだそうです。
スパイス的な感じ、ということなんでしょうかね。
あとは、やっぱり運動ですよねー。
ドーパミンのレベルは運動した直後にも上がるので、運動によってドーパミンを上げて集中力を維持させる、という戦略です。
息子には運動させなければと思うんですけどねー。
なんか、運動部どころか部活動にも入らないらしいです…。
まぁ、最近エアロバイクを買ったので、ゲームしている時間のうち1時間は漕いでもらっています。
いいような気がしています、あくまで『気』ですけど。
アンデシュ・ハンセン先生のユーモラスな部分がところどころに散りばめられていて、とても読みやすい本になっているのがよかったです。
『デフォルトモードネットワーク・DMN』の説明が、ちょっとおもしろかったんです。
『DMN という名称は、ぼんやりするという行為にかっこいい化学用語の名前をつけただろうと思われるかもしれない』とか。
…確かに、中二病っぽいネーミングではあります、うん。
こういう風におもしろく教えてくれる先生が身近にいたら、きっといろんな興味を持って勉強できるんだろうなぁ、なんて思ってしまいました。
スウェーデンまで習いに行くのは今のところ予定にないですし現実的ではないので、他の本も読んだりしていろいろ考えを聞きたいと思います。
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