変な家2 ~11の間取り図~

読んだ本

雨穴さんの『変な家2』を読みました。
雨穴さんの小説は『変な絵』以来です。

変な絵
雨穴さんの『変な絵』を読みました。雨穴さんの小説は『変な家』以来です。いやー、『変な家』には大変お世話になりました。息子の夏休みの読書感想文を『変な家』にしたんですよ。まぁ、読書感想文の題材としてどうなの、というのは置いておいて(笑)。本人...

今回は『変な家2』ですが、『犯人に告ぐ』のようにガッツリとした続編というわけではありませんでした。

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ただ、間取り・建築物を扱っている小説だということ、テイストが似ていること、作者である雨穴さんの他に前回でもお世話になった栗原さんが出てきていることなどが『2』の『2』たるゆえんなんだと思います。

今回は短めの章が11個。
1つの章で1つの物件を扱っています。
各物件についての話の終わりにまとめとして栗原さんの考えがあり、最後に雨月さんの考えとしてまとまった長い章があるという構成でした。
細かい11個の章については、一つひとつは「ちょっと不気味な話だな」という感じで終わるんですけど、その一つひとつがなんだかちょっとずつ繋がっていて、ちょっとずつ気持ちが悪くて、一番最後にすべてまとまって1つの結論にたどり着く、という流れでした。

そして今回もまた、結局のところ宗教が絡んでくる感じなんですよね…。
前回の変な家で学習したので分かっていたし、今回は始めからその覚悟を持ってして読みました。
『ミステリー』ではなく『ホラー』だと意識していたこともあり、結構怖かったです。
中でも5個目の『そこにあった事故物件』という話が、本当に不気味で気持ちが悪かったです。
結局、別にどこにも『心霊現象』なんかは出てきてないし、結局は「人が怖い」っていうところに収束するんですけど、得体の知れない不気味さみたいなものがありました。

そして、登場する老女の数奇な運命。
今回の宗教団体の象徴として祭り上げられてしまった老女は、生まれた時から腕を失い、事故で足も失い、娘を辛い目にあわせてしまい、最期は悲しい感じで終わってしまいました。
まぁ、何と言うか…やりきれない感じでしたね…。
孫に愛されていたことは救いではありましたけど、結局それが引き金になってしまったということでもあります。
彼女は、一体どうしていたら普通の人生を送れたのかなと考えてみましたが…結局わかんないんですよね…。

あとは、今回出てくる住宅会社、同じような家をいろんなところに何軒も建てているというのがおもしろいなと思いました。
そういうビジネスモデルって、建築業界では普通のことなんでしょうか?
建築関係のことをまったく詳しくないからびっくりしました。

逃げ出した女性も、中学生の時のお友達については悲しい思い出として語っていましたが、結局本当は彼女にとっても楽しい思い出で、そこだけが青春って言っていましたね。
逃げ出さずに心を殺してそこに住んでいれば、きっと裕福で何の不自由もない人生を送れたんでしょうけど…どちらが良かったのかはわからないです。
でも、彼女には幸せになってほしいなと思いますけど…。
今のところ、あんまり幸せそうじゃないんですよね…。

最後に栗原さんの推理が披露されるんですが、そこにさらにかぶせて雨月さんの推理が展開されて、2人でどんどん練り上げていく様がおもしろかったです。
今回は『減築』という言葉がキーワードになっていました。
『減築』は『大改造!! 劇的ビフォーアフター』で初めて聞いた言葉だったので、ここでは普通に出てくるのかと驚きました。
普通に考えると、部屋数を『減らす』ってなかなかないよな…と思いつつも、こういう「宗教がらみで間取りを変更する」ような特殊な例って、結構あるもんなんでしょうか?
一番最初の妙に窮屈な家、なんか気持ちが鬱屈して健やかに暮らせなさそうですね…。
たまたまなのか必然なのか、結局悲しい結末になってしまいましたが、やっぱり家って大事だよなぁと思いました。
なんか「物理的に傾いてる」とか「壁がひび割れている」とかそういうのじゃなくても、間取り一つを取ってもなんだか「安心できない」っていうことはあるんだなーって改めて思いました。
やっぱり、家は安心できる場所であってほしいですからね。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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