小西マサテルさんの『名探偵じゃなくても』を読みました。
先日の『名探偵のままでいて』の続刊です。

『名探偵のままでいて』がとてもおもしろかったので、文庫化していないのについ続刊を買ってしまいました。
今作もとても楽しませてもらいましたねー。
でも、楓と岩田先生と四季くんの三角関係は…うーん、煮えきらない。
前作同様、連作短編集となっていて、5個の話が入っていました。
1つ目は『第一章 サンタクロースを見た男』。
岩田先生はかなり大変な幼少期を送っていたんですね。
それで今あんなに明るくて元気で児童たちに愛されて、養護施設の子たちからも愛されて。
本当に素晴らしい人生を送っている人なんだなと思いました。
岩田先生のお父さんは、もう出所してきているんでしょうか?
「子供に会いに行きたいけど、今更顔なんか出せない」みたいな感じになっているんでしょうかね…。
以前読んだ有栖川有栖さんの『鍵の掛かった男』をちょっと思い出しました。

四季君が楓に堂々と「不可侵条約だから」と言っているんですが、「それ、言っちゃっていいんだ…」っていう感じなんですけど…。
不思議な関係だなと思いますね。
みんなアラサーぐらいだと思うんですが、意外と真面目と言うか…何と言うか、中学生みたいだなって思ってしまいました。
まぁ、微笑ましいというか、誠実だというか。
次は『第二章 死を操る男』。
まぁ、フランソワが死んでないだろうとは予想がついたんですけど、彼の目的が『拡大自殺』だというのには驚きました。
それを、安楽椅子探偵としてその場から動かずすべて見抜いてしまう。
そのおじいちゃんにヒントを与えるべく、起こったことすべてをちゃんと話す。
おじいちゃんはもちろんですが、楓も本当にすごいなと思いました。
刑事の相方が出てきましたけど、普通に考えたら彼みたいな反応になるよなーって。
イライラして「こんな遠くまでわざわざ来たのに、何させてんだよ」となるのは当然だと思います。
でも、彼をちゃんと納得させられるだけの材料でねじ伏せたのは、すごいことですね。
今回出てきたヒッチコックの作品って、多分1個も見たことないと思います。
ヒッチコックの印象としては、昔トヨタの CM に吹き替えで出てたな…ってことくらいでした。
でも「今度見てみようかな」と思わせるような内容でしたね。
次は『第三章 泣いていた男』。
「ジョー、何やってるんだよ!」というのが第一声ですね…。
せっかく新しい準レギュラーだと思ったのにな…。
かなり残念です。
まぁ、最後の最後で彼の本性が浮き上がってきたので、深入りしなくてよかったなと思いましたけどね…。
しかし、まさか犯人がそう来るとはと思っていなかったので、途中で気づいた時にはゾワッとしましたねー。
楓がおじいちゃんの意図を汲んで警察に行ってくれていたから本当に良かったですけど、そうじゃなかったら前巻の最終話みたいなことになっちゃってたかもしれないですね。
それにしても、我妻さんの過去もちょっと明らかになって、『3つ目の好きなところ』がさらにグッときました。
実際はどうなのかはわかりませんが、きっとそう言いたかったんだろうなと思いますし、我妻さんもそう思ってるだろうと思いますね。
これで美咲ちゃんは…どうでしょうねー…。
難しいかもしれないですねー…。
ここで出てきた『夏への扉』、私も読みました。
ステキな話でしたね。

4つ目は『第四章 消えた男、現れた男』。
…2人ともよっぽど楓のこと好きなんだな、と。
「四季くんが急に態度を変えたのは、まー楓から嫌われるためだろーなー」と予想はついたものの、まさかこんなことまで考えていたとは。
結局、刺されたのがわざとなのか偶然なのか、今のところわからないですけど、どうしてこんなことしちゃうんだよー、もー。
もうちょっとうまくできなかったもんかな…って思ってしまいます。
楓に強烈なトラウマを植え付けてしまうことになっちゃうじゃないですか。
にしても、『親バカさん』がまさか不起訴になってた、というのは…。
本当こんなことある? って思ってしまいますが…。
でもまぁ、先日読んだ櫛木理宇さんの『監禁依存症』とかを読むと、あるのかもしれないと思えてしまいますね…。

私は司法にはまったく詳しくないですけど、こんなんじゃ司法制度とか信じられなくなってしまいますね。
やっぱり、電話は『全録』に限りますね、うん。
最後は『終章 時間旅行をした男』。
『唯一時間旅行ができる病気』というのが、なんだかグッとくるなと思いました。
確かに、『幻視』は害があるかもしれないですが、ない人もきっといるわけで。
こうやって穏やかに暮らしていけるんだったら、「無理に取り除く必要はない」というのも頷けてしまいます。
もちろん、幻視があることで困っている人はたくさんいるんでしょうけどね。
『すずちゃん』の正体がまさか…と、かなりびっくりしてしまいました。
確かに「そんな夜遅くに先生の家にいるもんかな」とは思っていましたが…。
幸い四季君も無事に退院できたみたいで、本当によかったです。
一瞬葬式を思わせるような演出をするのが、なんだか憎たらしいですね(笑)。
すっかり騙されてしまったじゃないか…やめてくれ…。
さて、楓にメリークリスマスを言ったのは、果たしてどっちなのか。
これも結局、明確な答えは出ないまま、次の巻に持ち越す感じですね。
ま、『三部作』という言葉があるぐらいだから、大体こういうのって2作目じゃ終わらないだろうなとは思っていましたけど、やっぱり「次回へ続く」という感じでしたねー。
あー、残念。
続刊いつ出るかなー?
とっても楽しみです。
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