今野敏さんの『同期』を読みました。
今野さんの小説は『スクエア 横浜みなとみらい署暴対係』以来です。
『殺人ライセンス』を読んだとき、今野さんの小説は初めてって書いたんですが、ずっと「何かおかしいな…」って思ってました。
で、ちゃんと調べたら、持ってたんですよ、この『同期』を。「だよねー!」って感じでした。ちゃんと調べようよ。
購入したのは2021年だったので、いい機会だと思って再読しました。
警察学校で同期だった公安配属の人が、なんかいろいろ巻き込まれる話だったよな…と、ぼやっとした感じで読み始めました。
宇田川亮太は本庁の捜査一課に配属している巡査部長。若いので周りからは「ボン」と呼ばれています。
宇田川は同期の蘇我を密かにライバル視していました。蘇我は公安配属、いつも何をしているのかいまいち掴めません。本人も飄々としていて掴みどころのないキャラクターです。でも、宇田川と蘇我はなぜか気が合っていたので、同期の中では仲良くしていました。
ある日、宇田川が四課の応援で殺人の容疑のある暴力団事務所へ強制捜査をしたとき、事務所から何かを持って逃げ出した組員がいました。宇田川が追跡したのですが、なんと宇田川は相手から発砲されてしまいます。しかし、その直前に何かにぶつかられて地面に転がっていたため事なきを得ました。宇田川の傍らには蘇我が立っていて、どうやら彼のおかげで殺されずに済んだようなのです。
ライバルの蘇我に命を救われた宇田川は、例の暴力団事務所のそばにいた理由を彼に問いただします。しかし、いつも通り飄々とかわされてしまいました。そしてその3日後、なんと蘇我が懲戒免職になったという話を聞ききます。人事に詳細を尋ねても「教えることはできない」と言われるばかり。そうなって初めて、宇田川は蘇我の出身や家族など何も知らなかったことに気づきました。
なぜ蘇我が懲戒免職になったのかを探ろうとすると、様々な方向から圧力がかけられました。そのせいで蘇我の行方を知ることができません。
一方で、宇田川はは例の暴力団事務所の殺人の捜査に参加していましたが、あの日事務所から逃走した男も殺害されたため連続殺人事件となり、なんと蘇我が容疑者になってしまいました。蘇我は殺人などはしないと確信しているものの、捜査本部では聞き入れてもらえません。
蘇我を無実を晴らすにはどうしたらいいのか? そもそも蘇我はなぜ懲戒免職になったのか? 蘇我は今どこにいるのか? 宇田川は蘇我を救うために、周りを巻き込んでいきます。
いやー、『公安』って聞くだけで、何というかちょっと怖いですね。警察の警察、何をしているかわからない、潜入捜査やおとり捜査、司法取引のようなこともしている…様々な小説でそんな事が書かれていますが、どこまで本当なんでしょうか…? 怖い。
この小説では、同じ警察内部でも公安のことが全然分からなくて戸惑っています。そういうもんなんですかねー、不思議です。同じ会社(『会社』じゃないけど)で、特定の部署が何をしているのかわからないとか…あるところはあるのかな。私の勤めていたところだとなかったですけど…。私が無知で説明できない、ってのはありますけどね。
この『同期』も登場人物がなかなかおもしろい人揃いでした。『みなとみらい署暴対係』でも諸橋と城島、笹本や同じ係の面々がみんないい味出してましたけど、今回もいいキャラ揃いでしたね。宇田川は「ボン」と呼ばれて新人扱いが抜けないものの、みんなからかわいがられているし本人もやる気がある。
直属の上司の植松や、植松の同期で今回の宇田川の相棒になる土岐なんかは、ベテランのいい雰囲気を醸し出しています。土岐の捜査手腕なんてベテランそのものです。
そして、蘇我。掴みどころのない人です。背が高いけど威圧感はないみたいなので、なんかサラリーマンっぽい感じなのかな、と。
展開もダイナミックな感じで、宇田川はいろんなところに突っ込んでいって、その場その場で結構いい働きをしています。気に入られやすいキャラクターですね。
『同期』はシリーズ化されていて、これと合わせて3巻出ているようです。まー、買っちゃいましたよね。ははは。
次も読むぞー。
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