十戒 - hibikaizen

夕木春央さんの『十戒』を読みました。
夕木さんの小説は『方舟』以来です。

『方舟』を読み終えて、興奮も収まらぬままにこっちも買ってしまいました。
『十戒』の表紙、なんとなく『方舟』とテイストが似てますよね。
初めて見たときは漠然とそう思っただけだったんですが…。

この『十戒』も、いろいろ二転三転しましたね～!
いやいや、期待を裏切らず、むしろかなり上を行ってくれました。
爆弾魔たちの仲間割れか、と思いきやそうではなく、むしろ助けてくれようとしているための殺人だった…? と思いきや、さらに…という感じです。
最後の最後「じゃあ、さよなら」に違和感と既視感を覚え、『公式ネタバレサイト』で確証を得て、また驚きました。
いやー、すごい。
また『息苦しく』なってしまいますよ…。
表紙のテイストは似ているし、始まり方も似ている感じだったので、『方舟』の続編になるのかな、なんてぼんやり思いましたけど。
途中でそんなことは吹っ飛んでしまっていて、でも最後にそれが戻ってきた感じです。
いやー、すごい。
前回のラストが頭から離れていなかったので、でっかい爆弾が来るのかも知れない、とビクビクしていたんですが。
それと同じような衝撃が来ましたねー。

今回も、『舞台』に上がってから考えたとは思えないくらい理路整然した流れで、『犯人』の頭の良さには本当に舌を巻きました。
でもまぁ、前回のような物理的な『息苦しさ』はそこまではなくてよかったです。
それは舞台が『閉じ込められた空間』ではないから、ということ以外にも、「言いつけを守っていれば殺されずに済むかも」という考えがあったからかもしれないですね。
私は言われたとおりに動くのは得意ですよ、日本人ですからねー。
あとは、途中でわかった被害者の共通点『爆弾魔』が自分(主人公)には当てはまらないとわかったので、「きっと殺されないんじゃないか」とは思いました。

今回もいつも通り Kindle の読み上げで聞いていました。
クライマックス以降は画面を見ながら聞いていたんですけど、うっかり数行先を見てしまわないように気をつけていました。
やっぱり、視覚と聴覚の衝撃は同時に味わいたかったので(笑)。

今回もまた、切断された遺体が出てきました。
まぁ、前回の理由よりは納得がいったというか…。
でも、要するに『以前に経験あり』だったわけですから、比較的すんなりできたんでしょうかね…。
何事も『経験』が大事、という教訓でしょうか。
違うか。

いろいろ『嘘つき』なところもあって、かなり騙されたと思います。
それでも、「そういうものだ」と思って楽しめました。
小山内さん死んでない説、バラバラ死体は入れ替わり説、いろいろ考えたんですけど、どれもこれも違いましたねー。
犯人は当てられなかったし、まさか『続編』だと思っていなかったし、いろいろ本当にびっくりです。
いやー、いっそ清々しさまでありました。

ただ、続編は…どうなるんでしょうか?
『方舟』では『夫』が行方不明になっているわけですし、今回も『デスゲーム』的なものに巻き込まれていますけど、まぁここまでだったらなんとか言い訳できそうな範囲ではあるかもしれないですね。
でも、でも、もう1回何かあったら。
警察に「あいつが裏で糸引いてるだろ」って、絶対に目をつけられますよね…。
いわゆる、『金田一くんや江戸川コナンが実は真犯人じゃないのか』的な感じで。
今回は、前回から『名字』も『職業』も変えているじゃないですか。
だから、全然気づかなかったんですよ(いいわけ)。
同じようにして、続編も『何か』を変えてくるかもしれないですね。
でも、さすがに性別は変えられないでしょうから、同じような表紙の小説が発売されたら、『女性』を疑いの目で見ながら読むことになってしまいそうです。
いや、もしかして、性転換もありえる感じでしょうか…?
もしくは「あれから50年後」的な結構未来の話で、読者には『時制』が隠されている、とかでしょうか?
ここまで来たので、ぜひとももう1回くらい出してほしいです。

先日『法廷占拠爆弾2』を読みました。