壺井栄さんの『二十四の瞳』を読みました。
壺井さんの小説は初めてです。
『二十四の瞳』というタイトルはめちゃくちゃ有名なので知っていました。
ですが、『二十四の瞳』は「にじゅう【 よん 】のひとみ」じゃなくて「にじゅう【 し 】のひとみ」なんだそうで…無知は恥ずかしいですねー。
「女の先生が主人公の話」ということだけは知っていたものの、どういう話なのかはまったく知らないで読みました。
思ったほど学校の部分が多くなくてちょっと拍子抜けでした。
もっと生徒が少なくて、全校生徒が12人とかの学校なのかなと思いきや、そうではなかったですね。
先生が赴任してきたときに1年生だった子たちが全部で12人、という話でした。
その生徒たちは、低学年のうちは本校ではなく分校に登校していて、本校には高学年になってから行く感じでした。
先ほども書きましたが、意外と学校のシーンが少なく、さらに主人公の大石先生が怪我していなくなってしまいます。
時代が戦中戦後の辺りの話で、せっかく卒業していった生徒たちが、出征していったり、亡くなって帰ってきたり、帰ってこなかったりということが繰り返されます。
悲しいですね。
大石先生もせっかく結婚したのに、旦那さんのことはほとんど出てきませんでした。
旦那さんは船乗りだったんですが、結局最後は兵隊に取られて亡くなってしまいました。
子供も3人いましたけど、1人は食糧事情が悪くて変なもの食べて亡くなってしまいました。
なんか、そういう時代だったんですね。
そんな中で大石先生は、先生として初めて知り合った子供たちの、その子供たちが入学してくるときに、また学校の先生に復活します。
物語の最後は、歓迎会を開いてもらっているところでした。
想像していたような『学園モノ』っていう感じではなかったですが、当時の時代背景とかそういうのを垣間見ることができておもしろかったです。
…というか悲しかったですね。
というか、以前読んだ三浦綾子さんの『銃口』のときもそうでしたが、やっぱり自分が一生懸命教えて立派になって卒業していた生徒たちが戦争で死んでしまうっていうのは、子を失った親のような悲しみなんでしょうね。

そして『銃口』にも出てきましたが、『赤』とかで思想的に逮捕されちゃったりとかそういう話もあって、嫌な時代だなって思いましたね。
まぁ仕方がないんでしょうけど…。
今リメイクされたら、もっと学園パートとかが多くて、さらに大石先生の恋愛事情とかその辺のことも濃密に書かれそうな感じですかね。
でもまぁ、これぐらいさらっとしてた方が、以前に読んだ『羆嵐』みたいに淡々としていて、かえってよかったのかもしれません。

小豆島が舞台だったと思うんですが、『島』っぽさはあったものの『小豆島』感は特に出ていなかったかな、という印象でした。
でも、風が吹いてきて歩くのが大変だったり、ハイカラさんみたいに女性が自転車でさっそうと駆けていったり、なんか情景が想像できて楽しかったです。
Kindle Unlimited で読みました。
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