世にも奇妙な君物語

読んだ本

朝井リョウさんの『世にも奇妙な君物語』を読みました。
朝井さんの小説は『どうしても生きてる』以来です。

前回も書きましたが、やっぱり朝井さんの小説はちょっと身構える感じがあります。
そして、今回もとてもおもしろかったです。
今回も短編集、5個の短編が入っていました。

最初は『シェアハウさない』。
いやーーー、怖い怖い!
Perfume の『だいじょばない』みたいなかわいらしいタイトルのくせに、めちゃくちゃ怖い話でした。
とある女性がシェアハウスに潜入取材するも…、なんというかきつい話でした。
最後の怒涛の畳み掛けが、ちょっと展開早すぎでびっくりしました。
でも、確かになんだか曰く有りげな雰囲気がプンプンする人たちだったので、ある意味納得ではあったんですが。
どういう経緯でこの4人になったのかはわからないですが、できれば一人『保護司』的な人も一緒に暮らしていればよかったんでしょうけど…。
やっぱり女性が被害者の話、辛いですね。
なんで『性別』なんてあるんだろう、といつも思ってしまいます。
雌雄同体だったら良かったのに。
最後、尻切れトンボのようになってしまったんですが…どうか、どうか無事でありますように…。

2つ目は『リア充裁判』。
これはひどい。
確かに、読んでる間、あまりにも展開がうまくいきすぎてて「少女漫画みたいだな」と思ったんです。
オチで『あの人』が出てくるところも、まさに運命の出会い的な感じの少女漫画。
「さすがにできすぎだろ…」と思ったら、さらにもう1段階落とされた感じでびっくり。
初めは急にぶん投げられた感じで意味がわからなくて、最後のパートが急に取ってつけられた感じになっていて、混乱しました。
要するに、夢落ち的な感じなんでしょうけど…、これって一体どこまでが妄想だったの? っていうのが、すごく気になるところです…。
『リア充裁判』だけが妄想なのか、この法律から妄想なのか。
はたまた『お姉ちゃん』なるは存在するのか…?
とりあえず、キシタニとサユリはいるんだな、というのは分かったんですけど。
知子だけリクルートスーツ着てるってことは、要するに彼女だけまだ就職が決まってないっていうことなんですよね。
前に読んだ『何者』を思い出し、そして自分の就活時代を思い出し、また苦い気持ちになるんですね~。
相変わらず朝井リョウさんの小説だなー…と思いました。
にしても、小百合、口悪いな…。
もう少し取り繕わないものなんでしょうか…?
クラスメイトなんて男のうちに入らない、ということなんでしょうかね。
でも、こういう子に限って、最初の『シェアハウさない』に出てきたような被害者にはならないんですよね…。
なんか不公平だなって思ってしまうのは、私の心が汚いからなんでしょうね…。

3つ目は『立て! 金次郎』
「うへぇ…」という感じの話でした。
まぁ、前の2つの話から考えて、今回も最後に落とされるんだろうな、と思ってはいましたが…。
見事なまでにいやぁな感じ…。
本当にこんなギスギスした感じなんでしょうか…?
少なくとも、私の娘が通っていた幼稚園では、先生たちにはちゃんと経緯が払われていたなと思運ですけどね…。
しかし、つくづく幼稚園の先生は大変な仕事だなと思います。
もう少し大きくなれば、その子たちの適正などを親の方も理解できるんですけど、これくらいの歳の頃だとまさに『自分の分身』みたいな感じで全部手をかけてしまっているので、それに対応する先生たちは苦労が絶えないでしょうね…。
にしても、うちの娘は運動が結構苦手なタイプなので、運動会とかで目立たされたらすごくストレスになるだろうな、とは思ってしまいます。
あと、Enter を押すたびに星が変わる Excel って、使いづらくないかな…と思っちゃうんですけど…。
印刷したら原本のファイルはいらないってことなんでしょうか?
ファイルコピーして値貼り付けして、ファイルとしての原本も残したほうがいいのでは? と言いたくなってしまいます。
どーでもいいですかね。

4つ目は『13.5文字しか集中して読めな』。
(タイトル、誤植ではありません)
いやー、これこそ夢落ちであって欲しかった内容でした。
授業参観でこれやられたら、死んでしまいたくなるわ…。
まぁ、私は息子の授業参観には行かないんですけどね…。
(幼稚園のときに懲りたので、夫に丸投げしています)
今回のオチは、「そうは言ってもやっぱり旦那が浮気してるみたいな感じかな」と思ってたんですけど、もっとしんどい方に落とされてしまってめちゃくちゃドキドキしてしまいました。
やっぱり、想像のはるか斜め上を行く感じがすごいです。
自分で取材したリソースで記事を作っているわけではないので、こういうのも『コタツ記事』というんでしょうか?
作ってる本人たちが自分たちの仕事に誇りを持てているでしたらいいんですけど、まさに『暇つぶし』だよなー…と思ってしまいます。
まぁ、そんなこと言ったら、世の中のほとんどすべてのものは暇つぶしかもしれないですけどね…。

最終話は『脇役バトルロワイヤル』
これを読んで、なんかある意味安心しました。
これは今まで全部『世にも奇妙な物語』だった、ってことでいいんですよね?
そうじゃなくても、そうだって解釈しておこうと思います。
そうすれば、悲しい運命を辿った女性はいなかったってことになりますね…。
まぁ、小説だってわかっていますけどね。
この小説のタイトルが『世にも奇妙な君物語』だったというのを、すっかり忘れていたんです。
確かに言われてみれば、テイストが『世にも奇妙な物語』そっくりでしたね。
急に理不尽な世界観で始まったり、急にめちゃくちゃ怖い展開になったり。
でも、なんだか「『世にも奇妙な』だし」と納得してしまうんですよねー。
終わりも、たとえ尻切れトンボだったとしても許される的な。
そして、今回の登場人物が「ここまで名前似せちゃって大丈夫!?」と心配になるほど、リアルの俳優さんたちとリンクした名前だったのはおもしろかったです。
おかげで、本当にその通りのキャストが演じている様を想像できました。
この、『急に穴に落ちる』とか『たまたま入ったトイレでも続けられてしまう』とか、本当に『世にも奇妙な物語』あるあるだな、と思いました。
そして、最後に天才子役が全部持っていっちゃうのもおもしろいです。
本当にこういう話がありそうで困っちゃいます。
直前に、『自分の本分を理解する』という流れも、とっても好みな感じでした。

あとがきで朝井さんが「『世にも奇妙な物語』が大好き」と書いてあって、「まー、そうじゃないとここまで書けないよねー」と納得しました。
そして、例として挙げた中に『大人になるための試験が存在する世界』というのがあって、これは私もよく印象に残っている物語だったので、なんだか嬉しかったです。
というか、変な事件とかが報道されるたびに「『オトナ受験』が本当にあればいいのに」と何度思ったことか。
…その『オトナ受験』、メインの出演者の2人がちょっと悲しいことになってしまったので、再放送的なことは無理っぽそうですね…。
第二弾も書いてほしいです。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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