有栖川有栖さんの『マジックミラー』を読みました。
有栖川さんの小説は『海のある奈良に死す』以来です。
この本は、その『スジ』では有名な本らしくて。
私は、以前読んだ『アリバイ崩し承ります』に書かれていたので知りました。
この本には、『アリバイの講義』が書かれているとのこと。
作中に出てくる小説家がアリバイ講義をするシーンがあるとのことで、アリバイの分類などで引用されることが多い本なんだそうです。
Wikipedia を調べてみても、この話はシリーズものではないとのこと。
推理小説家が主人公ですし、「なかなかおもしろそうなのに、なぜシリーズものじゃないのかな」と思っていたんですが…最後まで読んで「なるほど、そういうそういうことか」と納得しました。
悲しいですね。
今回は大きく分けて2段階の事件でした。
1つ目は別荘で女性が殺害された事件。
その夫がとっても怪しいんですが、アリバイが成立してしまっています。
その夫は双子なんですが、二人がバラバラに旅に出ていて、『入れ替わり』だったとしてもどうしても説明ができないんですよね…。
彼らがそれぞれ持っていた乗車券についていた指紋が、『入れ替わりでない』という証拠になってしまっているんです。
私は、そもそもその指紋の時点からして入れ替わってるんじゃないか? と思ったんですが…、今見事に外れでした(笑)。
まさかまさかの方法でしたね…すごいわー。
新卒の頃、帰宅時に乗った電車の吊り革にご飯つぶがついていたことがあって、「朝乗った人が夕方の帰宅時のために残したのかな」なんて考えてしまったことがあったんですが(疲れていたんでしょうね)、その時のことを思い出しました。
…全然関係ないですかね。
どうも『時刻表トリック的』なものは難しくて、自分でちゃんと考えることができませんねー…。
以前読んだ『こうして誰もいなくなった』でも、有栖川さんが鉄道の話を書いていましたが、やっぱり鉄道が好きなんだなーと思いました。
2つ目の事件ですが、正直本当に本当に驚きました。
第一の事件と犯人は同じだと思ってたので、「なんでそんなことになっちゃうのか」と考えたんですけど、なるほどそういう繋がりだったのかと納得です。
でも、とても悲しい気持ちになりましたよね…。
自分を捨てて別の男と結婚した女性が殺されたからって、復讐しようと思うなんて…やっぱり『男性の方がロマンチスト』という俗説は当たってるんだなって。
…ま、小説ですけどね。
この小説を有名にしている、第7章の『アリバイ講義』。
普段そんなに饒舌な印象のなかった主人公の空知さんが、こんなに長々としゃべるなんてすごいなというのが一番最初に感じたことでした。
しかも、その前に彼が行ったことを考えると…よくもまぁこれだけ語れたな…と。
やっぱり、神経がものすごく高ぶっていたから、こんなにも饒舌だったんでしょうか?
講義の内容としては、正直難しくてよくわからないことも多かったんですが、ここに挙げられた小説はいつか読んでみたいなと思いました。
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