湊かなえさんの『ブロードキャスト』を読みました。
湊さんの小説は『落日』以来です。
湊かなえさんの青春小説でした!
湊さんの小説にしては本当に、本当に珍しく(笑)、誰も死んだり深く傷ついたりすることがなかったです。
爽やかな感じで終わって良かったです。
主人公の男の子・圭祐くん、中学時代は陸上部でした。
高校入学直前の春休みに事故にあって怪我をしてしまい、陸上での夢は絶たれてしまいます。
高校で『放送部』という新しい場所を見つけて、そこで仲間たちと1つのものを作り上げていく喜びを知っていきます。
でも、「それは果たして、陸上で得ることができた満足と同量のものなのか?」というのを、ずっと考えているだろうことがよくわかります。
別に、「どっちが上」とか「どっちが下」とか思っているわけではないですが、スポーツの喜びはスポーツでしか叶えられない、という気持ちはどこかにはあるかもしれません。
それとは逆に、こういう文化部で「一緒に協力して作り上げていく」ということも経験できて、羨ましいと思いました。
私は中・高と陸上部に所属していて、短距離でしたけど、駅伝にも3回くらいは出たことがあります。
陸上って、やっぱりそこまでの団体競技じゃないというか、『一致団結感』というのは他のスポーツに比べるとちょっと薄いかなとは思っています。
リレーや駅伝はかなり団結はしていますけど、普段は短距離なので、まぁ正直「よくわからない」という感じかな。
私は怪我とはそこまで縁がある競技生活ではありませんでした(最後に肉離れしたけど)。
引退した後、何回も走れなくなる夢を見ました。
なので、なんだかんだ言って好きだったんだなと思います。
練習は本当に嫌いで(笑)、何度辞めたいと思ったことか…という感じだったんですけどね。
彼のように、走ることがすごく好きだったなら、余計につらかっただろうな、と。
にしても。
放送部の3年生の、頼りないこと頼りないこと。
「なんだこいつら」という感じでした…。
2年生の子たち、よくこんな3年生の先輩で入部したなーという感想ですよ。
その上の人たちがよっぽど優れていたんでしょうか?
2年生の、特に男子部員の2人は、本当によく入ったな、と。
まー何というか、幼いし、他責思考すぎるし、なんだかなーという感じです。
顧問とか関係なくないですか?
参加校が多くて、でも地区の分割はされない県ということで、甲子園のイメージからなんとなく神奈川県をイメージして聞いていました。
なので、「東京ぐらい自腹で行けばいいのに」と思っていたんですが…そうじゃないっていうことなんでしょうかね。
私も高2のインターハイのとき、ちょっと似たようなことがありました。
いろいろあって開会式に出られなかったんですよね(本番は出ましたけど)。
それがすごく悔しくて、そのときは「来年、絶対自力で出てやる(高2はリレーで出たので)」と思いました。
まぁ、彼らもその悔しさをバネに、来年もがんばってほしいです。
先程も書きましたが、私も陸上をやっていたので、『9分間』と聞いた瞬間すぐに『男子3000m』を思い浮かべて、「一緒だ」と嬉しく思いました。
中学校のとき、1つ上の先輩で全国レベルの人がいて、彼がいつも3000m を9分1秒とかそれぐらいで走っていたの思い出しました。
走ってる姿は、ステキだったなー。
あと、「たすきリレーを安易な比喩に用いるな」というフレーズが出てきたんですけど、首がもげるほど首肯してしまいます。
私もハードルをやっていたので、「ハードルが高い」とか言われると「高くねーよ、越えられるのが出場最低条件だよ。高いのは高跳びのバーだよ」と思ってしまうんですよね。
「好きなだけならオタク扱いされないのに、制作側に行こうとするとオタク扱いされる」と書かれていました。
これについてはまぁ、いろいろ思うところはあります。
私が学生のときなんて、もう「アニメ好き」「ゲーム好き」というだけで「イコールオタク」として蔑まれる感じでした。
私はスポーツをやっていたので、比較的外交的なオタクとして認識してもらえていたようで、別にいじめられた経験はそんなにないんですけど。
まー、でも裏でいろいろ言われてただろうなー。
もちろん、ここに書かれているように、「制作側に回るうんぬん」というのもあるかもしれないんですが、オタクは得てして『自分の好きな話題を大声で語りがち』というところも、嫌われる一因じゃないかなと思っています。
大学に入って同じような人がいたりして、バスに乗ってるときに大声で喋られたりすると、すごく迷惑だったんですよね…。
「もうちょっと声のトーンを落として…」という感じでした。
そういうところを見て顔をしかめている人を見て「あ、こういうのが『気持ち悪い』と思われる原因なのか」と勉強にはなったんですけどね。
昨今は芸能人なんかでも「アニメ好き」「ゲーム好き」と大きな声で言えてて、人権が確保されてきて良かったね、と思いますけど、人からどう思われているかをちゃんと意識することも必要だとは思いました。
今回の咲良さんの長い前髪とか、別に本人に「キモい」なんて絶対に言わないですが、多分ちゃんとかわいい格好すればそれなりにかわいくなるわけですし。
できるのであればした方がいいんじゃないかな、とも思います。
社会人になったら、身だしなみを整えることも最低限必要なので。
ただ、いじめていた女は非常に性格が悪いなと思いました。
高校生で、しかも偏差値が高い学校という設定だと思うんですけど、こういうやついるんだなーと。
私の高校時代は、他人に興味がある人がほとんどいなかったので…休み時間とかもみんな授業の予習していたような感じだったから…(私は寝ていましたけど)。
最後に明かされた推薦の条件『県大会に出場しないこと』、なんだか本末転倒な気がしますね。
県の陸上競技委員会とかに申し出てコースを変えてもらうとか、そういう働きかけをした方がいいんじゃないかなと思ってしまいます。
怪我するために出る、みたいなことになっては、それこそ誰のためにもならないので。
確かに、中学でがんばりすぎて高校で伸び悩むというのは本当によく聞く話ですし、私の中学は練習がきつくて有名だったので、高校で思ったほど伸びない人がたくさんいました。
なので「県大会に出場しないこと」というのもわかるような気がしますけど…なんだか本当に本末転倒だなーと思ってしまいます。
全体的に、本当に爽やかな感じでおもしろかったですし、続きものとして2年生・3年生になった彼らも見てみたいなと思います。
…というか、続編があるんですね!
そっちはまだ Audible にはなっていない、と。
待っていればなるかな?
期待しています。
Audible で読みました。
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