またまた、最近読んでおもしろかった漫画の話をさせてください。
前回『あそこではたらくムスブさん』を読んで、十分堪能したんですが、他にもなにか読みたくなってしまいました。

『あそこではたらくムスブさん』で『あせとせっけん』のことを思い出した、と書いたんですが、その『あせとせっけん』の山田金鉄さんの漫画でなにかないかと探したところ、見つけたのが今回の『テレワァク与太話』でした。
『あせとせっけん』とは違い、ほぼえっちなシーンはナシだったんですが(べ、別にソレ目当てではない)、本当に本当に心温まる素敵なお話でした。
つい数年前まで我々が実際に経験していた『コロナ禍』を題材として、たまたま隣に住んでいた男女が少しずつ交流を深めていく物語です。
たった1巻の短いお話なんですが、本当に、本当に良かった…!
これは初日で10周はしましたし、今でも思い出したかのように数日に1回は読みます。
主人公の三橋残(みつはし・のこる)というブラック企業に務める SE の男性と、隣人の泉奈津(いずみ・なつ)という大学院で考古学を選考している女性が主な登場人物です。
というか、それ以外はほぼ出てきません。
(あ、あとは奈津さんの研究室の須賀教授くらいかな)
コロナ禍でテレワークを命じられ、自宅の改造をしているうちに凝りだしてしまって、ベランダを『アンコールワット』のように仕上げたところ、隣に住む女性が釣れてしまった、という感じでしょうか。
基本的に、残さんの視点で物語が進んでいきます。
コロナ禍前は毎日遅くまで会社にいたであろう残さんが、テレワークをするようになったことで『睡眠』が改善されて思考がクリアになります。
いやぁ、睡眠、本当に大事。
第1コマ目では目の下にクマを何匹も蓄えている(単位は間違っていると思いますが)残さんが、話が進むごとにスッキリとしたお顔になっていくのも見ものです。
途中、2人でベランダでお鍋を食べるシーンがあるんですが、そこで残さんが「僕は人脈もそれほど広くはありませんので “隣人”以外のルートで泉さんと出会うのはなかなか難しいだろうと感じました」というモノローグが出てくるんですが、思わず「まー、そーだよなー」と感じてしまうほど、2人は何もかもが違う感じがします。
もちろん、どっちがいいとか悪いとかじゃなく。
私はどちらかというと残さん側の人間かなと思うんですけど、奈津さんのような女性が友人だったらすごく楽しいだろうなと思ってしまいますね。
私は前職の同期にすごく旅行好きな友人が複数いてくれたおかげで、こんなに『インドア大好き』な私でも、実はアンコールワットに行ったことがあるんです。
誘われたときはすごく迷ったんですが、「多分、こんな機会がなきゃ一生行かないだろうな」と思って一緒に行かせてもらいました。
めっちゃくちゃ暑かったし(昼寝する前に干したものが、30分程度の昼寝のあとにカラッカラに乾いている)、どこの店に行っても同じ食べ物しか出てこないし(全部同じチェーン店、というわけではない)、水は飲めないし(水より安いからコーラばっかり飲んでた)、小さな子供がたくさん寄ってきて大変でしたけど(「一人にあげると全員にあげなきゃいけなくなるからダメだよ」と言われた)、もう行かないと思いますけど、行ってよかったと思っています。
(ちなみに、この同期たちには富士登山にも連れて行ってもらいました。感謝しかないです)
最後の方で、奈津さんが外国に行ったところで現地がロックダウンしてしまって帰れなくなってしまい、PC なども水没させてしまって全然連絡が取れなくなってしまうところがあります。
「まるで地獄のようでした」というのが、本当にかわいそうでした。
ただの恋人同士(しかも付き合いたて)なので、いざ彼女がつらい状態になったときに手助けすることができない、というのは、以前読んだ『カフネ』と同じような状況だなと思いました。

その問題への回答が、この物語の冒頭ですでに掲示されてきた『妻』ということだったんですねー。
すごく、2人らしい回答だなーと思いました。
連絡がつかなかった奈津さんと連絡が取れたとき、残さんが「もう待つのは嫌なんです」と彼女に会いに行く決心をします。
初海外がこんなヘビーな状況下でのヘビーな移動で凄いなーと思いますけど、このときの残さんのお顔がすごく良くて。
更に、スーツケースを持って自宅を出ていく後ろ姿のコマがすごく良くて。
ここでいつも泣いてしまいます。
一番最後、残さんが転職して海外に積極的に行くようになって、奈津さんと一緒についにアンコールワットを訪れます。
今まで基本的に、残さんは奈津さんに敬語で話しているんですが、このときは敬語が取れているんですよねー!
わずか数文ですし、独り言とも読めるのでたまたまかもしれませんが、なんだかそういうところも嬉しく感じてしまいます。
それでも、呼び名は相変わらず「奈津さん」「残さん」なのも、イイ。
先程も書きましたが、基本的に残さん視点での物語です。
あとがきで作者の山田さんが、「奈津さんは『男をまどわす美女』みたいなイメージ」と書いていました。
別に「残さんと誰かを天秤にかける」的な展開は一切ないので、そこまで『惑わす』要素はないんですが、確かに行動が(いい意味で)不可解なところはあったし、不敵に微笑む(?)シーンもいくつかありました。
まーでも、初期の頃から奈津さんは残さんに好意を持っていたようですし。
なのでですね、ぜひとも『奈津さん視点』の同じ物語が読みたいですね!
隣の人のベランダに興味を惹かれ、自分を心配してくれたことをちょっと喜び、深夜のコンビニで偶然会って…という一連の物語を、ぜひ、奈津さんの視点でもう一度楽しみたい…!
二人が初めてキスした夜、残さんは全然寝付けずに悶々として過ごしていたのに対し、奈津さんはスッキリした顔で朝を迎えた、あの夜の奈津さんの気持ちを知りたい!
(あのシーン、往年の名作『タッチ』のタッちゃんと南が初めてキスしたシーンと一緒でジーンとしました)
たった1巻なので、少しのスキマ時間で読めますし、本当に幸せな気持ちになります。
Amazon の口コミでも、約1000件で星4.9という脅威の評価。
わかりますわかります、本当に良かったですよね…!
いやぁ、この物語を知ることができて本当に良かった、本当にそう思いました。


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