恒川光太郎さんの『スタープレイヤー』を読みました。
恒川さんの小説は『竜が最後に帰る場所』以来です。
なんか、すごく不思議な話でした。
毎回書いてるような気がしますが、恒川さんの小説って独特の『味わい』があるように思います。
今回のこの『スタープレイヤー』は、まぁ今流行りすぎていて若干食傷気味になっている『異世界転生』モノに、『ドラゴンボール』の要素とか、えんどこいちさんの『死神くん』の悪魔くんの要素とかが混ざっている感じの話、でしょうか。
主人公の夕月が異世界に飛ばされてしまって、『スタープレイヤー』と呼ばれるものになって、もうなんかよくわからないすごい存在から「10回だけ願いを叶えてあげる、地球に戻れるのは100日後から」と言われます。
「どうしようかな…」と思いますよねー。
まぁ、普通に、「地球に戻れるのは100日後、願いは一つ分使わなければいけないとなると、9回使っちゃって1回分だけ持っとくか」みたいな考えになってしまうんですよね。
話が進んでいくと、どうやら自分は異世界に飛ばされた瞬間に2人に分かれてしまっていて、1人はまだ元の場所で生活をしているらしいということがわかってしまうんです。
そうなると…もう戻れないじゃないですか。
ここで暮らしていくしかない、と覚悟を決めなければいけない。
夕月は、それ以外にもちょっとした過去がいろいろありました。
別れた旦那さんの話、通り魔に襲われた話…。
自業自得のところもありつつ、通り魔なんかはひどいなと思いました。
頭のおかしい人っているんだな…怖いなって。
ちょうど最近も、そんな事件がリアルで起きてしまって、本当にかわいそうに思っていたので…。
しかも、夕月はその通り魔に対して星を2つも使っちゃってるんですよねー…。
もったいないっちゃもったいないですけど、悲しいかな、気持ちはわかるような気がしました。
願い事10回っていうのも、本当に厳密に1回に1個しか叶えてくれないのではなくて、複合的にうまくやれば何でもかなえてもらえるというのがすごいんですよね。
「カップラーメンを出してほしい」じゃなくて、「カップラーメンのたくさん入った家を100個出して欲しい」みたいなことも言えるわけなんです。
やりようによっては、ものすごい数の願い事を叶えます。
それを考えると、こういうのって大体いつもそうなんですけど、始めの方でわからないで適当に叶えてもらってしまった願いっていうのが、すごくもったいなかったなって思っちゃいますよねー。
そして、個人で生きていくだけならきっと楽しい人生を送れるんだと思うんですけど、人と人が出会って『スタープレイヤー』か『スタープレイヤー』じゃないか、『地元の人』なのかはたまた『スタープレイヤーに呼ばれてしまった人』なのか、みたいな感じで、それぞれの人の待遇もあって、なんか一筋縄では行かない感じの展開になります。
それが本当に怖いところですね…。
スタープレイヤー同士で争うような事態になっていたら、すごく大変だったと思います。
だから、話の最後の方に出てきた戦争のときに、相手側にスタープレイヤーがいなかったっていうのは本当に良かったな、と。
いたら、もっとひどいことになっていたでしょうね…。
個人の願いを叶えるのであれば10回は多いけど、国レベルの願いになると10回では到底足りないって、最後の方で言っていました。
まさにその通りだなと思います。
誰それを生き返らせる・生き返らせない、インフラを整える・鉄道を敷くとか、そういうことを願ったりすると、もう10回じゃ到底足りないですね。
夕月は、結局9回まで願いを叶えてもらって、最期の1回は保存。
もし仮に、それを使わないで人生を終えることになったとしても、後悔しない。
…こんなスタンスでこれから生きていくみたいですが、結構理想に近い感じなんじゃないでしょうか。
…まー、いつも考えることですが、自分だったらどうするかなと考えると、なんだか途方もない気持ちになってしまいます。
途中襲われたりして、めちゃくちゃ命の危機を感じて、本当に怖かったですね。
また、夕月は女性だしの美人に整形しちゃってるから、なんだか嫌な展開になりそうで…。
なんとか最後までたどり着けてよかったです。
夢がある話ですが、その分リスクも大きいですね。
まー、なんだって都合がいいことばっかりじゃないですもんねー。
Kindle Unlimited で読みました。
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