今野敏さんの『イコン 新装版』を読みました。
今野さんの小説は『トランパー 横浜みなとみらい署暴対係』以来です。
今野さんの小説は、今まで結構いろんなシリーズを読みましたが、まだ読んでいないシリーズもたくさんあります。
今回もその1つ、『安積班シリーズ』とのことです。
ただし、今回の『イコン 新装版』では、安積さんはそこまでメインではなかった感じですね。
まず、タイトルの『イコン』という言葉。
カタカナで書かれているわけです。
普通に考えると『遺恨』なのかな、と思うんですけどね。
私は本当にたまたま、ついこの間『一次元の挿し木』を読みました。
この『一次元の挿し木』に、カタカナでの『イコン』という単語が出てきていていたんです。
パソコンのデスクトップに並んでいる(いない人もいますけど)、いわゆる『アイコン』という言葉の語源的な言葉だと、そこで知りました。
なので、ピンときちゃいまして。
表紙をよく見ると、『ICON』と書いてありました。
「きっとそういう話なんだろうな」と思って読みはじめました。
話の内容から、最初『時代設定』にちょっと混乱しました。
でも読んでいくうちに『千葉麗子』さんのお名前が!
「なるほどそのあたりの時代かー」と、ようやく理解しました。
よくよく奥付などを見ると、初版発売が1995年とのこと。
この本の登場人物で高校一年生ぐらいの子たちが出てくるんですが、その子たちと私はたぶん同い年ぐらいなんだなー、と思いました。
私は1980年1月生まれ、1995年は中3とか高1とかそのあたりです。
自分の当時のことを考えると、確かに友達の家に行ってパソコン通信のログを見せてもらったりもしていました。
当時、『クロノ・トリガー』のクロノがしゃべるエンディング『12. 反省会?』の情報が全然なくて、パソコン通信で友達に調べてもらったんですよね。
なので、これぐらいのこと知ってる子がいても不思議ではないな、と感じました。
…けど、この題材を当時小説として発売するというのは、かなり画期的だったんじゃないかな、と思いましたねー。
今でこそ、こういう『土壌』は当然受け入れられていますけど、当時は完全に『ヲタク』『変人』扱いでしたもんね…。
今回のメインの人物である『有森恵美』。
『初音ミク』とか、もっと昔だと『スペースチャンネル5』の『うららちゃん』とかとはちょっと違う…かな。
初音ミクもうららちゃんも、比較的わかりやすい『アイコン』ですけど、この『有森恵美』は CG でもアニメキャラクターでもない『人物』で、ただ誰もあったことがない、という…。
私がこれを発売当時に読んでいたら、なかなか理解できなかっただろうなーと思います。
その有森恵美に近づいていく過程、なかなかおもしろかったです。
どこの誰だか分からない人を探す大変さ。
しかも、当時の私が読んでもなかなか理解しづらかっただろうことを、私の父親ぐらいの、普段パソコンなんか触らないような『おじさん』たちが理解するのは…本当に大変でしょうね。
まぁ、結果的には犯人を捕まえることができたわけですが、そのままなんともならないままだった可能性もあるよなーと思いました。
『不良』という感じの高校生が3人出てきます。
その3人が、中学時代にやっていたことが徐々に明らかになっていくにつれて、なんというか…もう気持ちが悪いというか、恐ろしいというか。
ゾッとしっぱなしでした。
私も今では女の子の母親なので、「こういう子が娘の同級生にいたらどうしよう」と正直思ってしまいます。
そして、うちの上の息子は4月で中2になるんですが、この『不良』たちの年齢と近くなるわけです。
息子がこういう犯罪に関係する可能性が「無い」とは…断言できないわけですね。
そういう意味でも、本当に恐ろしいです。
途中で自殺した男の子の話が出てくるんですが…。
なんというか、「そこで自殺しちゃうんだ…」と…、ごめんなさい、正直そう思ってしまいました。
以前、森博嗣さんの『冷たい密室と博士たち DOCTORS IN ISOLATED ROOM』を読んだときも思ったんですよ。
自殺したいのはこの男の子ではなく、被害者の女の子の方ですよね…と。
まぁ、人それぞれいろんな感じ方があるから仕方ないとは思うんですけど、なんかちょっともやっとしてしまいます。
別に、この小説が悪いとかではなく。
後半の方で、その女の子が『そういう行為』を『何度も重ねた』と書かれているのは、まぁ一見不可解にも感じますが、「やけっぱちとか、一種の自傷行為とか、そういうこともあるんだろうな」と納得できます。
いやですけど。
本当、こういう『心の殺人』は本当にやめてほしいと思います。
苦しいです。
途中で出てくる、生活安全課の宇津木さん。
彼は、仕事にかまけすぎて家族をおろそかにし、家庭が崩壊寸前でした。
でも、今回のこの『有森恵美』の話をきっかけに、家族が少しずつまた元の形に戻っていく様が描かれていました。
そこが結構とグッときました。
『昭和のお父さん』って、こういう感じだったよな…と。
(1995年は『平成』ですけどね)
私の父親も仕事・仕事でほとんど家にいなかったのでねー。
もちろん『警察官』のように命を張っている仕事ではなかったですし、私はむしろ放っておかれすぎて逆に『ファザコン』になったタイプなので、ちょっと方向は違いますけど。
まぁ、当時こういう家庭ってたくさんあっただろうな、と思います。
宇津木さんの家は、『元の形』には戻らないかもしれないですが、『違った形』『納得できる形』に新しく作られていくといいな、と思いました。
『安積班シリーズ』はまだまだあるらしいので、他にもいろいろ読んでみようと思います。
Kindle Unlimited で読みました。
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