アリバイ崩し承ります

読んだ本

大山誠一郎さんの『アリバイ崩し承ります』を読みました。
大山さんの小説は初めてです。

4月の頭に実家の仙台に帰りました。

「車で CD を聞きたい」と言われたので、CD レコとタブレットで Android Auto にしてきました
何を言っているかよくわからないタイトルですね。すみません。先日、実家の仙台に帰ってきました。4月から中学生の息子のチケットを、間違えて『子ども』で取ってしまったときは焦りましたが、無事取り直しもできて、実際にちゃんと使うことができたので良か...

実家には今、父と母が二人で暮らしています。
まー、もう70歳の老人になってしまったんですが、あるあるだと思うんですけどずーーーーっとテレビがついているんですよね。
息子と娘も連れて行ったんですが、普段あまりテレビを見ないからなのか、そこでついていたテレビをずっと食い入るように見ていました。
で、そのときやっていたのが、浜辺美波さんのドラマ『アリバイ崩し承ります』。
私は浜辺さんがとても大好きなんですが、このドラマは見ていなかったので、私も楽しみながら見ていました。
その際、息子が「こういうのもおもしろいんだね」と。
息子とは以前『シャーロック・ホームズ』を一緒に読んだことがあったので、だったらこの『アリバイ崩し承ります』もきっと読めるんじゃないか…と思って購入しました。

10歳までに読みたい世界名作6 名探偵シャーロック・ホームズ
息子があまりにも国語の文章題がダメダメでびっくりしています。一緒にやるとそれなりに解けるんですが、ずっとそうしているわけにもいかないのでどうしようかなーと。で、とりあえず本を読ませようと思いました。本であれば結構何でも買ってあげちゃうんです...

結果、息子はまだ読んでいませんが(笑)、私はどっぷりハマりました!

時計屋を営んでいる若い女性・時乃ちゃんと、捜査一課の刑事である「僕」がアリバイ崩しに挑む短編集です。
今回は7個の短編が入っていました。

1つ目は『時計屋探偵とストーカーのアリバイ』。
記念すべきファーストエピソードです。
妹も元夫も怪しいけど、タイトルが『ストーカー』となっているから、本ボシは元夫の方なのか…? などと考えながら読んでいました。
時計屋の主人の『安楽椅子探偵モノ』ということで、やっぱり浜辺美波さんで想像してみます。
ため息が出るほど美しいですね…。
食べるもので死亡推定時刻を誤認させるというテクニックは古今東西いろいろあると思いますが、まーさーか本人が協力している、というか、首謀者は本人の方だったわけで…。
そりゃ、アリバイ偽装も簡単だったよね…というところです。
『ハンバーグに似せたケーキ』、頭が混乱しそうですね…。
まぁ、それぐらいしなきゃいけないぐらい必死だったのに、見破られてしまって残念だっただろうなとは思います。
その後妹はどうなってしまうんでしょうか…?
それがちょっと心配です。
まぁ不正に手に入れたお金っていうのは良くないですから、仕方ないんでしょうけどね…。
「妹さんの方がこの話に噛んでいたのかどうなのか」と考えましたが、まぁ多分知らなかったんだろうな。
そうであると思いたいです。

2つ目は『時計屋探偵と凶器のアリバイ』。
時乃ちゃんにアリバイ崩し仕込んだおじいちゃん、めちゃくちゃ優秀…という感じです。
そのレッスン、私も受けたかったわーーー。
銃の種類を孫に教えるじいさんて、すごいですね。
しかも何、「口内を打つと旋条痕が出ない」とか、初めて知りました…!
今日の豆知識ですね。
活かせる時が来ないといいですけど。
にしても、平根は本当頭の回るやつだったんだなーという感想です。
まさか、2つの銃創が時間差でつけられていたなんて。
にしても、いくらモルヒネを打っていたからといっても、銃で太ももを打たれた後は痛かっただろうな。
…痛くないものなんですか…?
もしそうだとしたら、モルヒネって本当にすごいんですね…。
「横流ししただけで、本当に彼自身は打っていないのか?」という疑問もありますが、まぁそんなことはしないんでしょうね、きっとね。
映画の『日本で一番悪い奴ら』も、最初はそうでしたからね。

恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白
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しかし、自分のアリバイのためにヤクザと警察を利用するなんて、何て頭が回るんでしょう。
その知恵をもうちょっと違う方に向けていれば、と残念でならないです。

3つ目は『時計屋探偵と死者のアリバイ』。
これもまったく思いつかなかった…!
共犯者なんてそうそういないだろう、と思っていたところ、いましたよ。
びっくりです。
しかも、本当の意味での『共犯』ではなくわいせつ目的かと思いきや、本当に共犯でした。
『耳が聞こえないことを隠す』っていうのは、確か昔読んだ小説で、『家中に鏡を置き、普段はイヤホンをして、耳が聞こえないのを隠す』という話があったような気がするんですよ。
宮部みゆきさんの話だったように思っていたんですが、ChatGPT に聞いてもよくわかりませんでした。
何だったんだろう…?
しかし、まさか悲しい行き違いでこんな事件になってしまうなんて、思いついたときは誰も想像していなかっただろうな、という感じでした。

4つ目は『時計屋探偵と失われたアリバイ』。
いやー、なかなか痛そうな話でした…。
「グランドピアノの角に何度も頭をぶつけて」って…。
痛そうだ…。
たまたま『似ている姉妹』だったからできたトリック、ですね。
私にも4つ下の妹がいるんですが、身長も10cm 弱違うし、顔もあんまりにてないよな…他人よりはにてるかも知れないけど…。
なので、多分無理かな…、もちろんそんな事する予定もないですけどね。
現実で起きていることが夢に反映されるというのは、以前読んだ『お電話かわりました名探偵です リダイヤル』の『CASE1 宇宙人にさらわれた少年』のようだなと思いました。

お電話かわりました名探偵です リダイヤル
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私自身がベッドで寝ないことって、電車か車で寝るくらいしか経験したことがないと思うので、こんなに反映されるものなのか、とちょっと驚きです。
まぁ、大半の人がそうでしょうけどね。
にしても、殺された女性も、まさか自分が殺されるとは思っていなかったでしょうねー。
もちろん犯人が悪いのは当たり前なんですが、やっぱりそそのかされてそういうことを企てるのはよくないってことですね。
まぁ、『金田一少年の事件簿』の『異人館村殺人事件』の時田若葉ちゃんのような感じになってしまった、ということでしょうか。
オチも、なんだか気が抜ける感じがしちゃいましたけど、まーそうなっちゃうかなー。
残念でした。

5つ目は『時計屋探偵とお祖父さんのアリバイ』。
やっぱりこういう話を挿入されるとグッときちゃいますねー。
アリバイの内容については、正直比較的すぐわかりました。
まぁ、たまにあるパターンですし、『鉄棒にぶらさがった』のような話も読んだことがありました。
それよりも何よりも、やっぱりおじいさんの心意気にあっぱれです。
しみじみ。
自分がやってることに興味を持っていろいろ教えて欲しいとせがむ、かわいらしい女の子。
たまらく愛おしかったでしょうね…。
しかも浜辺美波さんですし。
おじいちゃんも正直、「そんなキナ臭いこと教えたくない」という気持ちもあったかもしれませんね。
だって、ひょっとしたらそのせいで犯罪に巻き込まれちゃうかもしれないわけですから。
でも、やっぱり「教えて欲しい」ってせがまれたら、嬉しいですよね。
自分がやってる仕事を認めてくれたっていうことですもんね。
楽しかっただろうな、毎日。
何となく、FF6 のストラゴスとリルムのような関係を想像しちゃいました。
いい話でした。

6つ目は『時計屋探偵と山荘のアリバイ』。
なるほどー、かなりの偶然が重なってアリバイが作り上げられてしまっていた、ということでしょうか。
にしても、まさか中学校1年生の男の子しか犯人たりえない、という状況ができるとは思ってイなかったでしょうね。
男の子にとっては不幸な体験でしたけど、この経験を糧に立派な警察官になってほしいなと思います。
『足跡』といえば、先日読んだ『雪密室』を思い出します。

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あれもなかなかトリッキーな感じの足跡でのアリバイでしたけど、今回もどの足跡が誰のものなのかわからないようにしていました。
しかし、「たまたまその姿を目撃していた」という『金田一少年の事件簿』の『タロット山荘殺人事件』的な感じ(あれは犯人側でしたけど)で、やっぱり悪いことはできないなと思ってしまいます。
でも、いくら捜査一課の刑事さんだからといって、休みの日まで殺人事件とはかわいそうですねー。

最後は『時計屋探偵とダウンロードのアリバイ』。
日付を誤認させるのは確かに難しいですけど、わずか15分程度の時間を誤認させるのであればそんなに難しくないというのは、先日読んだ『時計館の殺人』でも実証済み(?)ですね。

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ダウンロードの日付は、「削除してもう1回ダウンロードし直せばいい」というのにすぐに気づけましたけど、どうやって誤認させたかというのは「なるほどなー」と唸りました。
せっかく真面目で正義感に溢れる青年だったにも関わらず、このような事件になってしまったのはとても悲しいことですね。
でも、人を殺したことよりも親友を騙してしまったことの方が心苦しいという彼の優しい気持ちは、このまま持ち続けてほしいなと思いました。
…もちろん人殺しちゃダメですけどね。

さて。
これまで7個のアリバイ崩し、もしくはアリバイ探しをお願いしてきたこの刑事さんと、かわいい店主の時乃ちゃん。
私としては、いつもながら下世話にこの先の関係が気になります。
結局、刑事さんの名前は1回も出てきていないんですよねー。
「新人」と呼ばれているので若い人でしょうけどね。
ただ、Wikipedia にもあったんですが、「限界まで余分なものを削ぎ落とし、必要最小限の素材だけで物語を構成している」と書かれていました。
なので、余計なことは蛇足にもなりかねないですかねー。
難しい。

解説書いてあったんですが、作者の大山さんは『京都大学推理小説研究会』のご出身とのこと。
すごいですね、名だたる作家ばかりですからね…。
内容は『本格』が多いとのことですので、続編や他の作品も読んでみたいです。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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