どうすればよかったか?

藤野知明さんの『どうすればよかったか?』を読みました。
藤野さんの本は初めてです。

もともと映画が話題となった作品でした。
ですが、『ノベライズ』と言っていいのか…正直よくわかりません。
映画は2024年公開だったようで、この本は2026年発売です。
本書の中でも映画の公開について触れられています。

そもそも、とても勇気のある内容の映画だったんですね…。
藤野さんのご一家は4人家族。
藤野さんご自身は北大卒業後に映画などのクリエイターの道を目指されていたようですが、ご両親は医師(研究者)、お姉さんも医学部に入学されている医師一家だったようです。
その、家族しか知らない一家の内情を、藤野さんがビデオに撮りためて公開したのが映画『どうすればよかったか?』です。
上記の字面だと一見とても幸福そうな医師一家ですが、医学部に通っていた姉が統合失調症を発症し、そこからご両親がどのようにお姉さんを扱ったかなどが、実際の映像として上映されたようです。
ものすごく、勇気を必要とした公開だったでしょうね…。

読み終えて、人の一生って何なんだろうな、と思いました。
人間は幸せになるために生まれてくるわけではない、というのはたまに聞くことですし、きっとそうなんだと思います。
でも、幸せになれるように生きていきたい、と誰しも思うと思うんですよね。
人間の一生なんて、地球や宇宙の大きな長い歴史の中からしたら一瞬のどうでもいいもの何でしょうけど、本人からしたらそれがすべてなわけで。
もちろん、『幸せ』がなんなのか、正解はないわけですから、どうやって生きていくかの正解もないんですけど…。
でも、この藤野さんのお姉さんのケースを見ると、もうちょっと早くになんとかできなかったのかな、と思ってしまいます。
お姉さんの幸せはあったのかな、と。

家庭内に医者がいることで、かえって精神的な病気に対して対策が遅れる、というのはたまに聞くことですし、近年にもそれで事件に発展したケースが記憶に新しいです。
対面を気にして何もできない、という感じなんでしょうか。
藤野さんは1966年生まれとのことで、私より14歳年上の男性です。
今でこそメンタルクリニックはそこそこ当たり前の存在になってきていますが、私が小さかった頃は正直こわい存在でした。
「メンタルの病気なんて…」的な偏見はとても強かったように思います。
最近だって、だいぶ和らいできましたが、完全に払拭できているとは言い難いですもんね。
お姉さんが発症されたのが1980年前後だと思うので、当時の風潮からするとご両親の対応も仕方なかったのかもしれない、とは思ってしまいます。
今発症されたのであれば、その当時とはぜんぜん違う治療体制とか世間の認識とかになっているので、お姉さんの人生もまったく違うものになっていたかもしれません。
それが、必ずしも幸せなのかどうなのかはわかりませんが、お姉さんが実際に経験された状況よりはいいものなんじゃないのかな…と思います。
それを思うと、涙が出てしまいます。

本の紹介文には『我が家の25年は〝失敗例〟です。』とあります。
これは、藤野さんがおっしゃるにはあまりにも重い言葉です。
『どうすればよかったか?』の答えは、…わからないです。
時代的にしかたない部分もあった、とは言えるかもしれないですが、他の方法もあったんだと思います。
その時代に同じように統合失調症を発症した方でも、今普通に生活されている方はたくさんいらっしゃると思うので。
「姉はたくさん才能を持って生まれましたが、発症してからは、それを十分に発揮することなく、ほとんど独りで生きていました。」と、映画のサイトの『監督メッセージ』にありました。
そうですよね…お姉さんは医学部に入学されるほどの才媛だったようですし、他にもいろんな趣味をお持ちだったようです。
お姉さんご自身の幸せを自分が追求していくのを、誰も阻むことはできないはずだったのに。
本当に、「どうすればよかったか?」ですよね…。

映画、機会があったら見てみたいなと思うんですが、今このタイミングだと近くで上映していないんですよね…。
それに、恥ずかしいですが、スクリーンの大画面で見てしまうのがちょっと怖いかもしれません。
なので、この本に出会えてよかったと思いました。
すごい映画だったんだなと思います。
いつか、見られるといいな。
ソフト化や配信の予定はないとのことなので、難しいかもしれませんが。

さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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