W の悲劇

読んだ本

夏樹静子さんの『W の悲劇』を読みました。
夏樹さんの小説は初めてです。

『W の悲劇』は1982年の小説です。
でも、思ったよりも古さは感じませんでした。
それが、名作が愛されるゆえんなんでしょうねー…。

今回読もうと思ったのは、以前読んだ『W 県警の悲劇』がきっかけです。

W 県警の悲劇
葉真中顕さんの『W 県警の悲劇』を読みました。葉真中さんの小説は『コクーン』以来です。 何やら顔に影を落とした二人の女性、その脇に1匹の犬。乱雑で赤に満ちたライトで照明で白く浮き出る…。表紙からしてなんだか不穏な感じがひしひしと伝わってきま

『W 県警』って、わかやま県? って程度の知識しかなかったんですが、「言われてみれば『W の悲劇』っていう小説あるな…読んだことない」と思いまして。
Kindle Unlimited にありまして、読ませていただきました。
なんか、こういう名作を読むときって、身の引き締まる思いがします。

なるほど、良家の内輪もめはこういう風に起きるのか、というような感じがしました。
『W』には、Woman(女性)、Watsuji(和辻・『良家』の姓)の他に、エラリー・クイーンの『X/Y/Zの悲劇』に続く第4の『変数』という意味合いがあるとのこと。
犯人にたどり着くまでに4回の紆余曲折がありました。
まさか、最初の犯行の発覚時点からすでに騙されていたとは、という感じです。
しかも、真犯人は…ねぇ。
莫大な遺産に目が眩むのは、良家の方々よりも一般の方々だということなんでしょうか。

しかし、主人公である春生先生は、完全に巻き込まれ事故だなぁ、とかわいそうに思いましたよ。
私が先生の立場だったら、事件がおきた時点で辞去させてもらうわ…。
偽装工作とか手伝いたくないし。
「絶対絶対、秘密は守りますので…!」とか言って帰らせてもらいたい。
その時点では部外者にも関わらずとどまっていたのは、ひょっとして摩子に気があるのか…? などと勘ぐってみたものの、そういうことではないみたいだし。
だって、ねぇ、なんかそういうシーンもあったし。

摩子の犯行を隠すための一連の流れで終わるのかな、と思いきや、「実はそれを暴き立てたい人がいる」と持っていくのがまたすごいですね。
最近の小説では2転3転は普通かもしれませんが、なかなかアクロバティックでおもしろかったです。
署長が毎回前言撤回させられるのもコミカルでした。

摩子の母親・淑枝は…なんというか男運のない人だな、と。
せっかく自分を犠牲にして、更に娘の人生までも賭けてやったことなのに。
結局こういう事態になってしまったわけで。
最後の最後でちゃんとけじめを付けたのは、ある意味偉かったのかも知れませんね。
しかし、お金って改めて怖いです。

さすが名作ということで、何度も映像化されているようです。
一番最近だと2019年、摩子が土屋太鳳さん、春生先生が美村里江さん(元・ミムラさん)、淑枝が中山美穂さん。
なるほどねー。
しかし、薬師丸ひろ子さんが主演での映画の方は、Wikipedia を読んでもよく意味がわからず…。
劇団で『W の悲劇』を演じる役者たちが、いろんなスキャンダルに巻き込まれる…的な?
はぁ…。
普通に、普通に映像化すればいいのにね!

夏樹静子さんの作品には、これの他に『M の悲劇』『C の悲劇』というのもあるみたいですね。
どういう内容なのか気になります。
どちらも Kindle Unlimited にあるので、機会があったら読みたいですね。
レビューのレートがあまり高くないのが気がかりですが…。

『W の悲劇』、本を開くと文字のみの表紙しか表示されないんですよね。
以前読んだ『逃亡刑事』のときと一緒です。

逃亡刑事
中山七里さんの『逃亡刑事』を読みました。中山さんの小説は『月光のスティグマ』以来です。 この本、いつもはある表紙の画像がありませんでした…。そんなこともあるんですねー。なので、Kindle の1ページ目でパシャリ。 表紙は整備されていない河

出版社も違うので、表紙が表示される本とされない本の違いがわかりませんが…。
「たまたま」でしょうかね。

Kindle Unlimited で読みました。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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