綾辻行人さんの『霧越邸殺人事件 下』を読みました。
先日の『霧越邸殺人事件 上』の続刊です。

あとがきの対談のところまですべて読み終えて「なるほど」といろいろ納得できました。
やっぱりおもしろかったですねー。
まず、上巻の一番最初に出ていた「もう1人の中村誠司に捧ぐ」という一文。
これはどうやら奥様のこと、とのこと。
確かに、館シリーズの時でも館の見取り図とかのところに、いつも奥様の名前が書いてありました。
そういう意味では、奥様は『中村青司』だと。
なるほどねー!
今回の『霧越邸』も、奥様が見取り図を書いてくれたそう。
ある意味夫婦共作ですねー、仲睦まじくてうらやましいです。
奥様は、あの小野不由美さん。
普段どういう感じで生活しているのか、とっても興味がありますねー。
奥様の小説はまだ読めていない…いつか読んでみたい『十二国記シリーズ』とか…。
でも、「ちょっと怖そう」というイメージがあるので、ホラーが苦手な私は大丈夫でしょうか…?
この『霧越邸殺人事件』が世に出たあたりというのは、宮部みゆきさんの『レベル7』のころとのこと。

『レベル7』を読んだのは…大学生くらいのときかな?
でも、その前に中学生くらいのとき『スペシャルドラマ』的な感じのをテレビで見た記憶があります。
結構昔の話なんですねー。
『レベル7』もおもしろくて大好きなんですよね。
「あの頃の小説は分厚いね」的な話があとがきで繰り広げられています。
宮部みゆきさんについては、『蒲生邸事件』とか『模倣犯』とか『ソロモンの偽証』とかの方がもっと分厚くなっていますけどね(笑)。
綾辻さんの作品の中では、やっぱり『暗黒館の殺人』が最も長い、と。

まー、4冊分ですもんねー、あれは長かったです。
本書の中でも凶器として本が用いられていましたが、確かに京極夏彦さんの本とか「凶器」ってたまに言われますね。
『【推しの子】』にも「サイコロ本」って書いてあったような気がします。
綾辻さん的時系列だと、どうやら『時計館の殺人』のあたりだったようです。

内容としては、始めあっさりと犯人が分かってしまって、なんだかちょっと拍子抜けな感じがありました。
でも、そこからもう一転する感じでしたねー。
先日『ノックス・マシン』を読んだばっかりだったので、「『ノックスの十戒』的にそれは禁じ手なのでは!?」と思ってしまったんですが…確かに直前に『別の人』が出てきてたから、大丈夫なのかなと。

しかし、終わってみると、殺されたのは全員劇団の人間だったわけで、犯人もゴニョゴニョだったわけで。
霧越邸の人たちにとっては、本当にいい迷惑でしたよね…。
自分の家で次々と人が殺されるの、本当に迷惑以外の何物でもないわ。
『見立て』にもちゃんと意味があって、それがまたおもしろかったです。
ただ、ちょっと残念だったのは、『雨』も『かなりや』もどちらも知らない曲だったんですよね…。
ま、私が悪いんですけど。
本の帯には『本格ミステリと怪奇幻想の究極的融合!』とありました。
なので「ホラーっぽかったら嫌だな」と思いましたし、「超常現象が多発するのも嫌だな」と思っていたんですが、そんなことはありませんでした。
あとがきの対談にも書かれていたんですが、「超常現象っぽいのは確かにあるけど、謎解きには超常現象は関係ない」というのが、本当に良かったです。
まぁ、私の好きな宮部みゆきさんの『クロスファイア』とか『龍は眠る』あたりも『超常現象』的なものが絡んでいましたけど、結局どちらもそこまで影響がなかったというか。
結局どちらも大好きですからねー。
とても不思議な雰囲気の小説で、確かに濃厚でした。
そりゃ『評判』になるでしょうし『代表作』と言われる様になるだろうなーという感じです。
おもしろかったです。
表紙の人物は…深月さんなのか美月さんなのか、はたまた彰さんなのか…?
美しいひと、ですね。
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