豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件

読んだ本

倉知淳さんの『豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件』を読みました。
倉知さんの小説は初めてです。

なんともなんとも直球なタイトル…。
なぜか私の Kindle にずっと『おすすめ』として表示されていました。
以前、早坂吝さんの『○○○○○○○○殺人事件』を読んでいたからでしょうか?

短編集になっていて、6つのお話が入っていました。

まずは『変奏曲・ABCの殺人』。
これはオチはなんとなく予想がつきました。
ただ、まさか『D』がこんなに増えるとは思わなかったです…。
「逆に弟が殺しに来るかな?」って思い、ビクビクしていました。
『近所に住んでる』って書いてあったのでそう思っていたんですが、まだかこんな終わり方になるとは…。
ちょっと笑ってしまいました。
しかし、他人を「有象無象」だの「社会貢献してないクズ」だの散々言うけれど、自分がそうじゃん…。
こういう『選民意識』というのは、どこをどうしたら醸成されてしまうんでしょうか。
少しでも社会的地位が高い人ならば、気持ちが悪いけど仕方ないのかなと思いますが…。
失礼ながら、こんな本人クズみたいな人なのに、なんでこんなになってしまうんでしょうねー。
そして、この事件の結末はどうなるんでしょうか?
やっぱり『Z』まで行くんでしょうか?
それとも、このまま『D』がやたらめったら増えて、どんどん殺される人がたくさん出てくるんでしょうか?
どっちでもおもしろそうですけど、まぁ実際あったら怖いですね。
自分のイニシャルと同じ町には住まないようにした方がいいかな? なんて。

次は『社内偏愛』。
まぁなんでしょう、システムに『ゆらぎ』を入れてしまったからだめだったんですかね…という感想です。
『MFM』なんていらないんじゃないですか?
全員分の、遅刻とかの出欠のデータ、仕事の成功・失敗のデータ、全部全部ぜーんぶ入れて、それをすべて加味して人事評価にすればいいじゃない、と思ってしまいます。
その中で、みんな遅刻してる中で1回もしてない人がいるんだったらそれはそれで『優秀』なんでしょうし、みんなが失敗してる中で1回も失敗してない、もしくは失敗が少ないという人も『優秀』なんでしょうから、それを『贔屓する』っていうことでいいんじゃないんですかね。
別に普通にそういうシステムを作ればいいんじゃないかと思います。
中途半端に『ゆらぎ』みたいなものを作って、ピンポイントで優遇・えこひいきする人を作るから、こういう結果になっちゃうんじゃないかなと思うんですけど…。
まぁ、小説に文句つけても仕方ないですね。
仮に自分がそういう対象になってしまったら…やっぱり同じように考えて、辞めるだろうなと思います。
誰も自分には心を開いてくれないでしょうしねー。
しんどいですね。
ふと思ったんですけど、『杉村三郎シリーズ』の杉村さんって、『今多コンツェルン』にいたときはこんな感じだったんでしょうかね…。

ペテロの葬列 上・下
宮部みゆきさんの『ペテロの葬列』を読みました。先日の『名もなき毒』の続刊です。 『杉村三郎シリーズ』問題の第3弾。嫌な結末だけ覚えていたので、読み進めるのが結構つらかったです。 正直、『あの結末』に至るまでの内容はほとんど忘れていました。バ

3つ目は『薬味と甘味の殺人現場』
確かに気持ち悪い状況ですね。
狂気を感じる現場もありますけど…そこまで言うほどかな、とも思います。
現実の事件でも、ちょっと狂気を感じるものもありますしね…。
まぁ、そもそも『殺人』自体が、もはや常軌を逸しているわけですからね。
少なくとも『その瞬間』は尋常じゃない精神の状態の人がしている犯行ですから、そういうちょっとした儀式めいたのものになっている可能性も、なくはないんじゃないかなって思ってしまいます。
…ネギが突っ込んである死体があったら、まぁびっくりするでしょうけどね。
でもまぁ、そういうこともあるのかなって、まだ思えるレベルかなと思います。
もしくは、金田一くん風に言うと「口の中をネギ臭くすることで何かを隠している、もしくは何かの見立て殺人」とか。
実際犯人に聞いてみないと本当のことは分からないでしょうし、この後の続きがないってことは、これで確定ってことでいいんでしょうか…?
少なくとも、私はそんな現場を第一発見者にはなりたくないです。

4つ目は『夜を見る猫』。
これは、なんとなくピンときました。
「なにか『ダメなもの』を埋めてるんじゃないかな」って。
しかし、猫を飼ったことないから全然わからないんですが、こんなに撫で回せるものなんですか!
15年も生きてる猫だったら、普段一緒に暮らしてなくてもこんだけなついてくれるものなんですね…。 そう考えると、本当にかわいいでしょうねー。
猫好きな人多いですしね、
いわゆる『田舎のおばあちゃん』っていうと、このおばあちゃんみたいな穏やかな感じの人を想像してしまいますが、私の祖母は本当に過激な人だったので…休みがあっても絶対遊びに行きたいとは思わないタイプでしたね…。
6年くらい前に亡くなってしまいましたけど。

表題作の『豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件』。
私も凍らせた豆腐で殴ったのかなと思いましたけど、なるほど真相はきっと彼が想像した通りなんでしょうね。
時代背景的にも、このままうやむやになってしまうんでしょうねー。
殺された子はかわいそうですけど、あまり交流がなかったみたいですし、そこまでの同情心がわかない感じなんでしょうか。
それもかわいそうな感じがします。
しかし、博士の研究もこの先どうなるんでしょうか?
なんか理論的にはすごいこと言ってる風ですけど、なんか「ふーん」「そっか頑張って」っていう感じで流されてしまいそうです。
結局終戦まで、このよくわからないばかばかしい実験をやらされ続けて終わる、っていうことでしょうか?
彼はまぁ、どこかに出兵したりとかするよりは、その方がよっぽど良かったのかもしれないですね。
終戦後に『秘密保持』とかで抹殺されないといいですけど。
にしても、「いろいろ取り去った後に残ったもの」、それが真実なんだろうなっていう感じです。
それは意外とあっさりとしていて、何と言うか、劇的とかではないかも知れませんね。
この状況下なら事件にもならないかもしれません。
まぁ、本当、時代ですね…。
タイトルからはまったく想像のできなかった事件でした。

最後は『猫丸先輩の出張』。
『猫丸先輩』というのは、作者の倉知がずっと書き続けているキャラクターなんですね!
ただし、私は今初めてお目にかかったので、「今回の事件、この猫丸先輩が犯人なんだったら、意外とあっさり片付いちゃうんじゃないの」的な考えになってしまいました。
長くファンをしている方に怒られてしまいそうですね…。
「猫丸先輩が廊下を見張っていたし、その偶然を犯人が知るわけもないから、ここの建物から犯人は逃げることができなかった」的なロジックで説明されていましたが、「猫丸先輩が真犯人を手引きして共犯関係になってたらその辺はクリアできるんじゃないの」って思ってしまって。
だって、超偶然で後輩と一緒に秘密の研究所に忍び込めるなんて、そんなのあるのって思ってしまったんです…。
500円玉の使い道はなかなかおもしろいなと思いました。
途中まではずっとゆるキャラに扮していて、なんだかひょうきんな感じの猫丸先輩でしたが、最後の怒涛の謎解きで、「なるほどやっぱり『主人公』なんだな」と改めて思った次第です。
反省してます。
Amazon のレビューにも「猫丸先輩の話が入っててすごく嬉しかった」とたくさん書いてありました。
たくさんの人がそう思うくらいの味のあるキャラクターなんでしょうね。
機会があったら他の『猫丸先輩』も読んでみたいと思いました。

Kindle Unlimited で読みました。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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