宮部みゆきさんの『誰か Somebody』を読みました。
宮部さんの小説は『理由』以来です。
杉村三郎シリーズの第1弾です。
当時購入して読んだんですけど、事件の結末とストーリーの結末しか覚えていませんでした。
細かい枝葉はほとんど忘れていましたね…。
確か、第3弾の『ペテロの葬列』まで読んだんですが、杉村さんの人生が『破壊』されてしまって、(元)妻の菜穂子に対して嫌悪感しかなくなってしまって…。
そこから先は嫌になっちゃって、読むのをやめてしまったんですね。
今回の『誰か』では、まだ幸せな家庭を築いていて、嫁のこともとっても愛してるし、子供もとてもかわいがっています。
杉村さんは、ちょっと特殊な事情はあるけど、普通のマイホームパパです…今は。
でも彼の結末がどうなるか知っているので、なんだか切ない気持ちになってなかなかにつらかったです。
前作・前々作と、宮部さんの『傑作』を読んでいました。
今回の話は、結局のところ梶田運転手が自転車でひき逃げされたっていうのと、妹が姉の恋人を取ろうとしていたということがわかっただけだったので、規模としてはちっちゃくまとまってるなという感じは否めませんでした。
『火車』も『理由』も事件の規模が大きかっただけに、ちょっとその差が際立ってしまったように感じました。
「事件に大きいも小さいもない!」ではありますが、エンタメとしてはね。
そして、『こぶりな事件』の割にいつも通り描写が丁寧だから、なんとなく事件が遅々として進まないような印象を受けてしまいました。
それでもやっぱりおもしろかったですけどねー。
梶田夫妻の『誘拐事件』の顛末のこと、私はすっかり忘れていたので、「あーなるほどこういう感じか」と思いました。
改めてすごいことに巻き込まれちゃったんだなと。
杉村さんが想像していたように、やっぱり野瀬さんのお父さんは途中で生き返ったんじゃないかなと、私も思いました。
そしてそれを手にかけたから、これ以上ないくらいに消耗してたんじゃないかなって。
もちろん、遺体を始末するっていうだけでもかなりの大仕事ですから、それだけだったかもしれないですけど。
なんとなく「生き返ったんじゃないか」って想像しちゃいます。
そして、普段子供に慣れていない人が子供を持て余す感じもよく伝わってきましたね…。
いろいろ混乱していたでしょうし、ね。
それにしても、妹と姉の恋人をペアルックとか…キモいですね…。
本当に趣味が悪い。
この男、ただ単に『姉妹丼』というか、両方から愛されて困ってる俺、みたいなので悦に入っているだけでしょ…。
キモい男しか想像できなくて本当に嫌でしたねー。
でも、最後の最後で「私、頼んでませんよね?」って…それはとってもきつい言葉だなぁと。
杉村さん自身が、一番それを感じてたでしょうしね…。
確かに頼まれてないし、誰も幸せにならなかったかもしれないけど、こういう場合どうしたらいいんでしょう…。
わからないです。
私にも4つ離れた妹がいますが、妹とはそういう争いになったことがないので、ちょっと想像できないですね。
幸せなことなんでしょうけど。
梶田運転手については、若い時に山っ気たっぷりで危なっかしいことしてた人でも、歳を減るごとに落ち着いてとってもいい感じになるって言うことがあるんだなって思いました。
そういう人って、きっと人相も変わってるんでしょうねー。
昔はギラギラしてたかもしれないけど、杉村さんの知っている梶田さんはとても穏やかな人だったんでしょうし。
物語の中で、愛子さまの手押し車『カタカタ』の話が出てきました。
愛子さまは現在22歳、この小説の単行本が2002年発売でした。
「この小説ってそんな前だったのかー」としみじみを思いましたね…。
とりあえず既刊は全部 Audible 化されてるみたいなので、最後まで読んで彼がどうなったのか確かめたいなと思います。
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