東野圭吾さんの『誰かが私を殺した』を読みました。
東野さんの小説は『容疑者 X の献身』以来です。
東野さんの Audible 作品はこの1冊だけです。
電子書籍化と同じ感じで、東野さんご自身が認めてらっしゃらなかったようですが、今回は『オーディオファースト』の企画の一環でできあがったようです。
Audible 界隈では宣伝もたくさんされていたんですが、反響はどうだったんでしょう?
これを機に、他の作品も Audible 化すればいいなー…なんて思っているんですけどねー。
東野圭吾さんの作品にはいくつかシリーズがあって、この『加賀恭一郎』シリーズもその1つです。
どうやら13作目だそうで…そんなにたくさん出ていましたか。
Wikipedia の作品一覧を見たところ、『卒業』から『麒麟の翼』までは読んだ記憶がありました。
加賀恭一郎シリーズとしていちばん有名なのは、やっぱり『新参者』ですかね。
阿部寛さん主演でドラマ化・映画化もされていました。
その影響で、「加賀くんといえば阿部寛さん」という方も多いと思いますが…。
私は何となく、本当になんとなくなんですが、ずっと『龍が如く』の『桐生一馬』のイメージだったんですよね…。
ヤクザじゃん、真逆じゃん、って感じですが。
なんというか、あんまり人と群れない感じとか、背が高くてガッチリしてそうなところとかが、そういうイメージでした。
といっても、桐生一馬を見るよりも先に加賀くんを読んでいたので、それまではどうしてたのかな…とも思います。
ちなみに、今まで誰からも賛同してもらえていません。
『麒麟の翼』以来だったので、10年以上ブぶりの加賀くんの物語でした。
私は Audible はだいたい2.5倍速以上にしていますので、『2時間47分』のこの話ですと1時間ぐらいで聞き終える感じです。
Audible で聞いた中では短いものでしたが、これぐらいの方が集中して全編聞いていられるような気もします。
『静おばあちゃんと要介護探偵』のときは、男性と女性で声優さんが分かれていました。
その時も「お、人件費かけてんな」と思いましたが、やはり複数人いると幅が出るなーと思っていました。
今回はなんとそれぞれの登場人物で演者が分かれていたので、本当に豪華でしたねー。
しかも、寺島しのぶさん、松坂桃李さん、高橋克典さんと、有名どころのキャスティングです。
さらに、他の登場人物もそれぞれ別の人が演じていて、本当に CD ドラマ・ラジオドラマみたいな感じでしたね。
普通の Audible だと最初と最後に Audible のサウンドロゴみたいなのが入るだけで、それ以外はナレーションの音声だけという感じですが、今回はそれ以外にも銃を打ったりする音なども入ってたし、オリジナルテーマ曲みたいな音楽も流れました。
ただ、2.5倍以上の速さで聞いていたため、そのテーマ曲が古いレコードみたいにすごく歪んで聞こえたので、ちょっとびっくりしてしまいました。
戻して1倍で聞いて、こういう曲だったのねと納得しましたけど。
寺島しのぶさん演じる女社長が殺されましたが、その社長は成仏せずに肉体の傍らに立っていました。
高橋克典さん演じる加賀くんとの邂逅で彼に魂が乗り移り、加賀くん視点として進んでいくというでした。
東野さんというと『ガリレオ』のような科学的なイメージ(語彙力…)だったので、『魂』のような書き方は「おっ」と思いました。
でも、それもまた良し。
新澤さんという女刑事が出ていて、「この子知らないな」って思ってたら、今回初登場だったみたいです。
加賀くんとずいぶん馴染んでいたのでちょっと気になる存在ですね。
殺された女社長は「女帝」と呼ばれていて、ビジネスシーンでは敵も多かったみたいですが、一旦自分が気に入った人に対してはとことん幸せを願うタイプだったようです。
それは人間味のあるエピソードですごくいいとは思うんですが…物語の一番最後に「これからもずっと息子のそばで見守っていく」と言っていたのがちょっと怖かったです。
まさにホラー。
そこは早く成仏して、主導権を息子本人に戻してあげてほしい…。
まぁ、魂だから何もできないでしょうけど。
本人もそばにいるって気づいてないでしょうし。
でも…怖いです。
過保護すぎです…。
今まで加賀くんが手掛けてきた事件に比べて小粒な感じもありますが、短くまとまっていてわかりやすくて、おもしろかったです。
いくら刑事だとはいえ、毎回毎回『どちらかが彼女を殺した』や『私が彼を殺した』のような難解な事件ばかりだと困ります。
ちなみに、私はどっちもよくわかっていません(笑)。
銃を使ったあたりにちょっと特異性があったかもしれませんが、普通の事件はこういう感じなんだろうなーと思いました。
さて、東野圭吾さんの Audible 作品、これから増えますかねー?
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