アラン・ピーズさん、バーバラ・ピーズさんの『話を聞かない男、地図が読めない女』を読みました。
旧版を読んだ後に新装版が出ていることを知り、連続で読んでみました。
『話を聞かない男、地図が読めない女』、一時すごく話題になったのを覚えています。
その頃は小説ばっかり読んでいたときだったので、この本は読んでいませんでした。
今回初めて読んでみて、あぁなるほどおもしろいなぁ、と思えました。
多分、発売当時読んでいたら、ものすごく反発して最後まで読まなかったかもしれません。
若かったのでねー。
旧版と新装版の違いは、まずはボリュームでした。
Kindle での換算かもしれませんが、旧版のページ数は321ページと書かれています。
一方で新装版は186ページ。旧版の60%くらいのボリュームしかありません。
章立てでいうと、旧版の一番最後に当たる『第11章 新しい未来へ』は新装版には存在していませんでした。
新装版の『あとがきにかえて』は旧版の第11章の一番最後の項目の文章からの抜粋のようです。
両方を読み終えて、大筋は同じだと感じました。
当たり前ですが。違うのであれば、違う本として売ったほうがいいでしょうし。
旧版の冗長的な部分や、旧版から10年以上経って変わってしまったところ(なのか?)をザクッと減らしてコンパクトにまとめた感じなのが新装版、といった位置づけですかね。
どちらもおもしろかったですが、どちらか一方しかおすすめできないのであれば、旧版のほうがたくさん書いてあるからおすすめかなぁ。
男女の脳には違いがあるというのは、科学者などの間では常識とされているそうです。
でも、今現在のジェンダー平等的な世の中ではもちろん、この本の発売当時(2002年)でもすでにそういうことは口にすることをはばかられていたようです。
たしかにそうだったかもなー。もう20年以上前なんですね。
男女雇用機会均等法が施行されたのが1986年、私が学生のときにはそれがテストに出るような時代でした。
私自身は『男女の壁』みたいなものに強く押しつぶされそうになったことはありませんが、やっぱりぼんやりいろいろ思うことはありました。
私は陸上をやっていたんですが、「男子よりもキツイ練習をしたとしても、男子よりも早く走れるようにはならないんだよなぁ」くらいは思っていましたね。
この本を読むにあたり、「あくまで平均的な男性・平均的な女性について語っているのであって、特定の個人について言及しているのではない」ということをきちんと理解していないと、読み進めるにつれて「私はこんなんじゃない!」とムカムカしてくるシーンもあるかもしれません。
そして、もちろん中身は著者の方々がきちんと調べて、証拠を固めて書いているであろうことはわかっていますが、『ちょっとエンタメ寄り』であると考えて読めばもっと楽しめるかもしれません。
なんせ、結構言葉が過激だったりします。
男女の役割、と書くと本当にどこかから苦情が出てしまいそうな世の中ですが、それでもやっぱり今のところ子供を産めるのは女性だけですし、男性は女性よりも(一般的に)体が大きくて力も強いというのは誰もが知っていることです。
そして、私達のこの体は原始の時代からほとんど変わっていない。
なので、女性は子供を生む前後に身動きが取れなくなるから、きちんと自分の面倒を見てくれる男性を選ばなければいけないし、せっかく産んだのに死なれては困るので生まれてくる自分の子供の世話をする必要があります。
男性が自分の子孫を残すには女性に産んでもらうしかなく、無事に産んでもらうために狩りなどをして食料を確保したり外敵から守ってあげたりしなければいけません。
それから、男性はその性質上、別に『特定の女性』だけとつがう必要はないんですよね。
それらの特性が、原始時代から長い時を経てもなお我々に受け継がれているというのは、本当におもしろいというか、業が深いというか…。
大学のときに一般教養で生物を取ったんですが(高校では化学と物理でした)、一般的な生き物はそんなに子を残すことしか考えていないのか、と愕然としたのを覚えています。
人間は、いろんな技術や思想なんかが発達して、子孫繁栄以外のことを『自分の人生の目的』として考えられるようになりましたが、それに身体の方が追いついてないんですね。
性別って自分の努力ではどうにもできないことだからなー。本当に難しいですね。
性別に限らず、自分の特性を理解してそれを生かせる道を探して歩んでいくのがいいんでしょうけど、それじゃ嫌な人たちもいるだろうからなぁ。
私自身はいろいろ折り合いをつけて、今は結構幸せな生活ができていると思っているんですが、自分の子供がこういうことで悩まないとも限らないですからね。
本当に本当に悩ましいです。
Kindle Unlimited で読みました。
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