横溝正史さんの『蝋面博士』を読みました。
横溝さんの小説は『金色の魔術師』以来です。

タイトルから「ジュブナイル小説っぽいな」と思いましたが、やはりジュブナイル小説でした。
今回は中編1つと3つの短編という構成でした。
最初は表題作『蝋面博士』。
今回も怪しげな中年男性『蝋面博士』が事件を巻き起こしています。
『大迷宮』の『怪獣男爵』、『金色の魔術師』と続いていますね…。
東京は変な人ばっかり出てくる魔境なんでしょうか…。
で、この『蝋面博士』なんですが、この事件の『動機』自体が前の二人とちょっと毛色が違っていて、それがまたおもしろかったです。
なんというか、自己顕示欲というか…。
今の、この令和の世の中でも、「こういう人いるかもね(超迷惑だけど)」なんて思ってしまいますね。
今回は御子柴進という少年とともに、この不気味な蝋面博士を追います。
蝋の中から出てくる死体。
…横溝先生は、どうにも石膏とか蝋に死体を埋めるのがお好きなようで。
パッと思いつくだけでも、『貸しボート十三号』の『堕ちたる天女』(石膏像)、『金田一耕助の冒険』の『棺の中の女』(彫刻)、『悪魔の寵児』(蝋人形)でしょうか。



発見者はさぞかし気持ち悪いでしょうね…。
今回は、前回の『金色の魔術師』にも出ていた『オリオンの三姉妹』が再度出てきていました。
彼女たちはまたさらわれてしまうんだけど(「また」って…)、その救出劇もかなりドラマチックでしたし、「すごい建物もあったもんだ」と思ってしまいました。
解説には「私もかつて事件記者をしたことがあるので、この犯行の動機には切実な共感を覚えずにはいられない」とありました。
「大変だなー」と思う反面、「こんなことで事件を起こさないでくれ」と思ってしまいますね…。
2つ目は『黒薔薇荘の秘密』。
今回は鏡を使ったトリック的なの話でした。
金田一さんは出てこず、です。
鏡を使ったトリックといえば、やっぱり『金田一少年の事件簿』の『学園七不思議殺人事件』ですよねー。
にしても、『迷路研究家』ってすごい職業ですね。
中村青司(館シリーズ)の研究とかもしてそうですね。(時代が違うか)
まー、だったら、自分が建てた建物にも秘密の抜け道とか作りたいですよね。
この登場人物の中で、達子夫人をちょっと疑ってしまっていた自分が悲しいです。
だって、未亡人(ではないけど)を疑うのが定石じゃないですかー。
3つ目は『燈台島の怪』。
金田一さんとともに『金色の魔術師』でも活躍した立花滋くんが再登場です。
しかしこれは、短いながらもなかなかに壮大な物語でした。
暗号自体は『小学◯年生』とかの付録にありそうなものでしたが、まさかの大金塊、それを狙うクサリの輪の入れ墨のある悪漢ども、彼らに復讐しようとする青年。
この古河青年もなかなかえげつないことはしていますが、まーそのへんはねー。
以前読んだ『黄金の指紋』を思い出すような内容でした。

見つかった金塊、ちゃんと有益な社会事業のために使ってほしいなと、切に願います。
最後は『謎のルビー』。
これも金田一さんは出てこず。
ここで出てくる『花売りの娘』は、文字通りの意味、ですよね?
昔、FF7でエアリスがこれを名乗ったときに「違う意味の方だ」という噂が流れて、その時初めてこの言葉の『裏の意味』を知りました。
今回は…まー、ジュブナイルだし、本当にお花を売っているんでしょうね。
サンドイッチマン(お笑い芸人じゃない)との謎のメッセージのやり取り、なくなったルビー、これまたミステリアスな展開でした。
隠し場所は…「よくなくならなかったなー」、と思いましたね…。
無実の兄とその妹を助けられたのは良かったです。
Kindle Unlimited で読みました。
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