芸能界

読んだ本

染井為人さんの『芸能界』を読みました。

染井さんの小説は、以前『正体』を読みました。
横浜流星さん主演で映画をやっていましたが、私が読んだときは WOWOW で亀梨くんが主演のドラマを放送するタイミングでした。
読んでボロッボロに泣きました。
一番最後、一応は「報われた」のかもしれませんが、でも彼がいないなら…と思ってとても悲しかったです。
でも、そういえば樺沢先生がこの映画の鑑賞後に「最後は報われて良かった」とおっしゃっていたんですが…。
その時の違和感を思い出したので、小説の Amazon レビューを見たら、「映画版のように主人公は生かしておいてほしかったかな」とありますね…!
そっかー、映画では生きてるのか…!
機を逸してしまった感があるので映画は見に行かないと思いますが、家で見られるようになったら見てみようと思います。
まー、その前にもう1回小説読もうかな。

『正体』の話が長くなってしまいました。
今回の『芸能界』は短編集で、7つ入っていました。
タイトル通り『芸能界』にまつわる話ばかりです。
まー…入ったことないし入ることもないでしょうが、本当に特殊な業界ですよね…。

1つ目は『クランクアップ』。
やーーー、怖かった…。
途中からなんとなくそんな感じなんだろうなと思っていましたが、最後は「このまま殺されちゃうかな…」って。
むしろそっちが本当かなって思い始めて、すごくドキドキしました。
まぁ、他の人も含めて全員いい人だった、ということで、丸く収まってよかったです。
にしても、たまたま声をかけてきた人が『反社』の人で、それが原因でこんなに落ちぶれてしまうっていうのは、なんだかなと思いますね…。
少し前だったら「そんなことあるわけないじゃーん」て思っていましたが、今のこの状況を見ているとまぁあるんだろうなって思ってしまいます。
大変だなー…。
主人公の彼は、この話の中ではそんなに悪いところはなかったような感じでしたが、きっとその反社の人の件も誰かの陰謀かもしれないですね。
スタッフに当たる態度もちょっと横柄な感じもあったから、いろいろ改めてもらって、これからは大人しくがんばっていってほしいなと思います。
まー、いい『薬』になったんじゃないですかね…怖かったですけど。

2つ目は『ファン』。
『子役でデビューして、芸能界が生活長い女性』とのことで、なんとなく芦田愛菜ちゃんを想像しながら読んでしまったんですけど…。
読み終えた時点で芦田愛菜ちゃんに申し訳なくなってしまいました。
芦田愛菜ちゃんはこんな子じゃないよね、きっと…。
といっても、今回の件は別に彼女が直接指示したわけではない…ということ、ですよね…?
マネージャーさんを前の人に戻したくて、ファンが勝手に動いたということでいいんでしょうか?
ちょっと曖昧だったんですが…。
まぁファンも行きすぎると狂信者みたいになるっていうのは、なんとなく分かるような気がします。
昨今の『推し活』的な感じも、ちょっと行き過ぎてる人は怖い感じがしますね。

3つ目は『いいね』。
タイトル的に Twitter とかインスタとかの話なんだろうなと思ったら、その通りでした。
ただ、最後の最後の『いいね』が違う『いいね』で、本当によかったと思います。
最初の『クランクアップ』の主人公も今回の恵子もですが、やっぱりなんだかんだいって『事務所』ってすごく守ってくれるんだなっと思いました。
『契約書を交わしてない』というワードが何回か出てくるけど、それにしたってやっぱりもう10年以上一緒にがんばってきている仲間だから家族同然って言っていますし、そうやって守ってくれるんだなと。
『ヤクザの業界』だとは思っていましたが、やっぱりそういう『人情』みたいなものがすごい強いんですかね。
娘の日向ちゃんの『行動』ですが、そんなことをしたらひょっとしてお母さんが自殺しちゃうかも、とか思わなかったのかな…。
だから、ちょっと前にそういう話題を出して『フリ』にしていたということなんでしょうか。
今回はいい方に転がりましたが、これで恵子がもっとインスタにどっぷりハマっている人だったら、ややもすれば思い詰めて自殺しちゃうかもしれないと思うんですが…。
結構危うかったんじゃないかなと思うんですけど…。
にしても、最後の最後、元夫の言葉で目が覚めた的な感じでしたが…。
まぁ、何でしょうね、「お前が言うな」って感じに思ってしまいますけどね。
別に私は恵子じゃないからいいんですけどねー。
「お前がそんなでかい口聞くなよ」ってカチンときちゃうと思います。
だからまぁ、恵子は大人だなと思いました。
あとは、やっぱり美容意識の高さには素直に感心しました。
そういう感じでないと、やっぱり芸能界では生きていけないんでしょうね。

4つ目は『終幕』。
これはすごくびっくりしました。
多分美人局的な感じだろうな、というのは予想がついたし、今までそういう行いをしてきたんだから、被害者の誰かが復讐のために近づいてきているんだろうなとは思っていましたが。
まさか、『その子』だったとは。
『努力』が実ったのだから、一応報われたと言っていいんでしょうか…?
でも、なんかかわいそうだなと思ってしまいます。
お父さんも、そんなことは望んでなかったんじゃないか、と思いますしね…。
しかも、そこでネタバラシしちゃっていいんですかね? という気持ちもあります。
せっかくなんだったら、もっとガンガン貢がせて、最後にマスコミとかに暴露してやればよかったのに、と。
でもまぁ「疲れた」って言っていたので、潮時だったんでしょうね…。
にしても、『普通の人』がこんな劇場を作ることまできるんだなという単純な驚きがあります。
もともとそういう『才能』があったということなんでしょうか?
それとも、がんばれば何でもできるってこと?

5つ目は『相方』。
いやー、まさに『短編集の醍醐味』という感じです。
前の話とは打って変わってハートフルな感じで、泣かされてしまいました。
まー、手紙の主は奥さんか相方のどっちかだろうとは思っていましたが、結構早めの段階で奥さんという結論に達していたので、まさかこう来るとは思わなかったです。
思い上がって偉そうな態度で、それが芸風なんだったらいいんですけど、日常生活もそれだったら早々に人間関係が破綻しちゃいますよね。
芸人さんでも、見えないところでは謙虚でいる人も多いでしょうし。
だから、今回相方の深い深い愛情で気づけてよかったんでしょうね。
まぁ、今日日笑いの質も変わってきているし、センシティブな話題は避けられるような感じで、「おもしろくなくなってきた」という人もいますね。
「コンプライアンスがどうのこうの」みたいな感じで、テレビ業界の人は大変かもしれないですけど。
そういう中でも生き残っていける人は生き残っていくんでしょうし、テレビ好きな人はずっと見るでしょうからね。
結局、息子の結婚式には相方と2人で並んで参加したのかな?
思わぬ感じでいい話でした。

6つ目は『ほんの気の迷い』。
…いや、ハートフルな話でほっこりしたのに、今度はこれかー…。
ヘビーです。
こういう心境になっちゃうんだな、辛いだろうな、と。
いろんな芸能人の顔もちらついて、ちょっと本当に泣けてきました。
これはきつい。
SNS とかもきっかけのひとつなんでしょうけど、こと今回に限っては、社長の電話が本当に余計だったな…。
彼はこのあとどうなるんでしょう…。
あまりにいろんなことが起きて押し潰されそうになっていて、支えになってくれる人がいればよかったんですけど…。
この場合、マネージャーさんは支えになってくれようとしていたんですけどね、それも全部社長の電話で壊されてしまいました。
どうか、無事でいてほしいと、本当に思います。
若手の俳優さん、イケメンの人って芸能界にたくさんいるから、『誰』が当てはまるのかいろいろ想像してしまいます。
もっとみんなが安全で生きやすい世界になればいいのに。

最後は『娘は女優』。
今回は、芸能人ではない男性が主人公でした。
ただし、彼の娘が女優の卵として東京に通っているという設定。
お父さんとしては反対なんだけど、娘の夢でもあるし、マネージャーとしてついてきてくれている男性が「必ず守る」と言ってくれているので、何とか折り合いをつけて出してやっているような状態です。
修学旅行で東京に行ったときに、そこでスカウトされてきてしまったという娘が、勉強も活動も一生懸命やって少しずつ有名になっていくんですが、父親の複雑な心境が描かれていました。
まぁ不安ですよね。
特にここ最近ではいろんなことが報道されてますし。
なんだかんだでどこも業界も大変なんでしょうけど、芸能界はやっぱりとりわけ特殊な業界だから、いろいろ誘惑も多いでしょうし。
子供を行かせるとなるとかなり不安だろうなとは思います。
娘は楽しんでやってるし、学校の成績も上がってるみたいだから、反対するところがなくて…という感じ。
それで、タイトル『娘は女優』の回収。
なるほどな…と。
娘を取り巻く人々がみんないい人だったから、本当によかったです。
『いい人じゃない人』もたくさんいるでしょうからね…。

『芸能界』というキーワードでも、いろんな立場の人がいる物語でした。
とてもおもしろかったです。
さすが魅せるなぁと思いました。

Kindle Unlimited で読みました。

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さちこ

40代2児の母。2011年からフリーランスやってます。東京の東の方在住。
第一子が発達グレー男児で、彼が将来彼の妹に迷惑かけずに生きていけるよう、日々奮闘中です。

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