殊能将之さんの『美濃牛』を読みました。
殊能さんの小説は『子どもの王様』以来です。

『キマイラの新しい城』と同じ石動戯作シリーズで、これが第1弾とのことでした。
『キマイラの新しい城』のときは、石動さんがどうにも脇役っぽいなーっていう印象でした。
今回もやっぱりそういう感じだったので、石動さんが必ずしも絶対的な『主役』っていう感じではなく、でもなんか関わってきてて事件を解決してくれる、みたいな存在だっていうことなんですかね。
以前に読んだ『さよならドビュッシー』の岬洋介みたいな感じかな。

結構長い話でした。
だからといって冗長的だったとかつまらなかったということはまったくありませんでした。
ところどころ笑えるところもあり、怖いところもありという感じの、いろいろ詰まった話でしたねー。
途中で急に俳句を読み始めたりしてびっくりしたり。
さらに、この地方に伝わるわらべうたからくる「見立て殺人か?」という雰囲気になったんですが、その見立て殺人の元になる歌をみんな全然知らない、みたいな。
「ここ、笑っていいところ?」みたいなおもしろいシーンもありました。
寝たきりのおじいさんに関しては、ちょっと前に読んだ『探偵学園 Q』の『雪月花殺人事件』を思い出しました。
あれは『寝たきりだと思っていたおじさんが犯人だった』という話だったんですけど、「これもひょっとしてそうなのかな?」って思いながら読んだものの、『(足は)筋肉がすっかり落ちていた』と書かれていたので、その線はないかと早々に消してしまっていました。
なので、まさかそう来たかーと。
しかも、彼の正体を知って…驚きました。
いやー…ひどいですね…。
もちろん悪いことした人だから、相応の罰は受けて欲しいなとは思いますが…。
だからといって、それをやっていいのはあなたではないでしょう、という感じです。
そして、そういう職業なのにそういうことしちゃダメじゃない、と声を大にして言いたいですね…。
羅堂家はほぼ全滅してしまったわけなんですが、実は窓音ちゃんが一番怖い存在だったっていうのが、じわっと来ますね。
視線を絡み取られたら、もうすくんじゃって動けない感じなんでしょうか…?
結局、天瀬さんは彼女にターゲッティングされちゃって、結局巻かれていくんでしょうね…。
不思議で不気味な存在です。
まぁ、そういう『長いもの』に巻かれていった方が、こういう場合は楽なのかもしれないですね。
彼女のことがそんな嫌いじゃないのであれば、それが安全なのかもしれないと思ってしまいます。
最後の方にちょっと書かれていましたが、なんかいろいろちぐはぐな感じがおもしろかったです。
殺される側の人が待ち伏せしたりとか、動かないはずの角に殺されてたりとか、首吊りのはずなのに他殺に見せかけられていたりとか。
奇跡の泉は嘘だと思ってたのに、実は本当だったのかもしれない、ということなんかも。
本当不思議な話でおもしろかったです。
『キマイラの新しい城』に出てきてたアントニオさん、今回は出てこないんだなーって思っていたんですが、本当に最後の最後ちょこっとだけ出てきていました。
あと、最後に石動さんの名刺がありましたが…。
『名探偵』ってすごいですねー…。
胡散臭いことに変わりないですけどね…。
Kindle Unlimited で読みました。
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